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微力をかけ合わせて世界を変えていく。

ここ数年で、子ども食堂と同じように無料塾も次々に新しい団体が立ち上がっています。
私が無料塾を立ち上げたのは2014年の4月ですが、その1年半ほど前、2012年9月に活動をスタートしていたのが「八王子つばめ塾」。立ち上げの際にはお話を聞きに伺い、「連絡先の設定どうしてますか」「親御さんとの対応はどうしてますか」など、いろいろな質問をさせてもらいました。
そんな八王子つばめ塾の代表、小宮さんの最新インタビュー記事がコチラ。

小宮さんとは無料塾全体を盛り上げようと一緒に活動することも多くて、どんなふうにインタビューで話していたかが目に浮かびます。とにかく熱い男です(あと声がかすれているのにデカイ!)。
この記事の中で、「あ、これ私も言いたかった」と思ったのが、この部分。

「資本主義の理屈だったら1万円かけたら1万円の対価しか生まないかもしれないけれど、無料塾の生徒には0円でも、ともすれば1万円以上の価値が提供できます。自分にとってものすごくいい教え方をする先生と出会って、勉強を頑張ろうと思ったとか、自分もボランティアをしてみようと思ったとか。こういう“化学反応”は金額に換算できないし、いつ起きるかも実は分からないのが、醍醐味ですね。お金をかければ、かけた分だけのことはあるかもしれないけれど、『お金をかけられなくなったら、それまで』になってしまいます。寄付で成り立っている活動ですから、寄付ありきではなく寄付してもらえるような活動を作り、続けることで、いつ起こるか分からない化学反応に出会える可能性も上がると思うんです」

ごそっと引用してしまってすみません。。。
私の無料塾でも、これはすごく感じていることで。生徒たちの成長の内容というのが、単に「偏差値が上がった」「志望校に合格した」というような学力の面だけではなく、実に多岐にわたっているのを常々感じるんですね。
中学生たちに高校のことを話してくれたり、勉強を教えてくれたりする卒業生たち。後輩たちが楽しく過ごせるように話しかけたり、「こういうことをやってみたらいいんじゃないか」とアイデアを出してくれる3年生たち。いろいろな環境の子がいる中で、傷ついたり困ったりしている仲間にどう声をかけるべきか、自分に何ができるのかを大人・子どもが一緒に話し合い、考えるという場面もあります。
大学生や社会人サポーターたちをロールモデルとしながら、将来の自分を想像し、何かをやってみようとそれぞれに動き出す子どもたち。
こうした種類の子どもたちの成長というのは、無料塾だからこそ生まれやすいのではないかなと思います。

そして、その活動を支えてくれているのが「寄付」です。小宮さんの「寄付ありきではなく寄付してもらえるような活動を作り、続けること」という言葉は、代表としてきちんと考え続けていかなくてはならないこと。
私の無料塾には現在、毎月寄付をくださる方がいらっしゃいます。さらに「冬期合宿をやる!食事は自炊!」とか「受験生たちの勉強部屋として自宅を開放して、夕食も出してる」ということを言うと、地域の方や友人・知人たちが、お米や肉野菜などの食材や、お菓子、文房具などいろいろな物資で支援してくれます。辞書を持っていない子のために(結構多い)、英和辞典を届けてくれる人や、塾で使ってとたくさんの問題集をくださる人も。

とにかく、いろんな形の寄付で、この活動は成り立っているわけです。
この状態を維持していくためにも、子どもたちを取り巻くさまざまな問題について多くの人に知ってもらい、かつ私たちが関わってきた子どもたちがどのように変わっていくのか、それが周囲にどんな結果をもたらすのかということを、発信し続けなければならないなと思います。それが私の役目。

昨年は、こんな本の執筆協力をさせていただきました。

渋沢栄一氏の5代目で、コモンズ投信会長の渋澤健さんと、日本ファンドレイジング協会代表理事の鵜尾雅隆さんによる「寄付」をテーマにした1冊です。この本の中では、アフリカの子ども兵を救う活動をしているNPO法人テラ・ルネッサンス代表の鬼丸さんの言葉を紹介しています。

「我々は微力ではあるかもしれない。けれども、決して無力ではありません」

渋澤さんはこの言葉をとても気に入られており、取材中にも何度もこのフレーズを出していらっしゃいました。無力はゼロだけど、微力はどんどん足したら大きな数になるし、かけ算で膨らますこともできる……と。だから1人1人の寄付というのはとても大切で、チャリンと寄付したときにはわずかな額に思えるかも知れないけれど、その寄付を使って熱い思いを持った人がどんどん行動をして、それを見て共鳴する人がまた増えて、できることが増えたり規模が大きくなったりしていく……そうやって、世界を変えることは絶対に可能だ、というのが、渋澤さんと鵜尾さんのお考えです。

私も5年前に無料塾を始めたときは自腹で会場費や教材費などを出していたけれど、そして生徒数もボランティア数もそんなに多くはなかったけれど、続けていくうちに今では新年度の生徒募集は2週間もすれば定員オーバー、ボランティアとして活動してくださる人たちも90人ほどになり、寄付をいただいてより子どもたちに多様な経験をしてもらうことができ、その子どもたちの成長する様子を見て、さらに支援してくださる方が増えて……というふうに、雪だるま式に活動が膨らんできています。
私が動いたのは、最初の一歩。「無料塾をやるぞ」の一歩は、とても小さな小さな一歩だったと思います。今は結構、大股歩きができる感じになってきている。それはたくさんの人の力が集まって、私の背中をどーんと押してくれるからです。
関わる人はみんな「いやいや自分なんかそれほど……」みたいに言いますけど、実はその力ってものすごいんですよ。
だから、何かしたいと思っているけど「自分の力じゃ大したことできないしな〜」なんて思っている人がいるなら、その謙遜を一度捨てて頂きまして、わずかでも動いてみていただければと思います。

その小さな力が、小宮さんの言う「化学反応」を起こして、何かとてつもない大きな価値を生み出すことにつながるはずです。


※個人的に最近おすすめの寄付先は、犬山紙子さんたちが行っているコチラ。

第一弾のクラウドファンディングは終了していますが、継続して寄付を集めていらっしゃるようなので、個人様も企業様もご検討ください。

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