見出し画像

『懐中電灯の月』について

9/29に下北沢THREEで行われた『懐中電灯の月』のフライヤーをデザインさせていただきました。

死ぬまでずっと誰かに話したい、心に残るライブでした。こんな経験自分の人生にあると思っていなかった。
最近はそういうことが続いています。

物心ついた頃から絵を描き始めたけど7年くらい前に筆を折ってしまって、そこから本当に5年位絵を描けませんでした。
その頃のわたしに今のわたしを見せたら泣いちゃうと思う。想像するだけで泣いちゃう。

リハを聴いてる時間、取材を受けながら壁に絵を飾ってる時間、ライブ前に穂高さんと一緒に月を探しに行った時間、ライブハウスの入り口のドアノブが取れちゃった瞬間も全部大事です。
一生味が消えないガムみたい。

ライブはほたるたちの1曲目から泣いちゃって、もうずっと泣きながら見てたのだけど、本当に素晴らしかった。手に力が入ってたみたいで、終わったら持ってたカップがベコベコになってました。
優しくて繊細で弱くて、でも鋭く叫びのようで強い。
共存しないはずの表現だけど全部あるのが、ほたるたちだと思います。

「うそ」という曲が特に好きでよく夜中に聞いていて、ライブでも聞けたの嬉しかったです。
ほたるたちはCD音源とライブが全く違うので、そこもまた面白いんだ。こんな歌詞が書けるなんて穂高さんはすごい。

ゆめの中では 時間も戻せるって
ゆめの中では 失敗もやり直せるって
ゆめの中では 大好きな人を傷つけたりしないって
ゆめの中では みんな幸せだなんて
うそだよ そんなの うそだよ うそだよ

ほたるたち『うそ』より

ほたるたちの歌が終わった時、誰もお酒を飲もうとか、喋ろうとか、何もなくシーンとした瞬間があって、それがライブの素晴らしさを物語ってたと思います。

壊れかけのテープレコーダーズはのっけからの爆音で飲み込まれて、ほたるたちのライブとはまた違うものが迸っていて、ほたるたちからの壊れかけ、最高の流れだったな。

壊れかけのテープレコーダーズというバンド名も好きです。
それを体現するようなサウンドの刹那さ、真っ直ぐで純粋で突き刺さります。
すごくいいグルーブを持ったバンドだな、と思いました。

最後の割礼は、纏っている空気がもう違っていてラスボスでした。ワンパンでやられる、と思いました。凄みがあった。
きっと続けてきた歳月とかもう全部、見えない部分の全部を背負っている、すごくかっこよかったです。
軽いようで重い、すごく重い、でもふっと軽い、不思議な感じでした。

この日は、沢山の人の好きなことの熱気に満たされた空間になっていて、これはやろうとして出来ることじゃないし、付け焼き刃でも無理で、途方もない歳月を経た一つの結果、一起点であると思いました。

音楽が絵に流れていく、色が音に繋がる。
その相互関係が、この日は見えた気がします。

当日のドキュメンタリー、ぜひ見てください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?