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今の小学生が生まれたとき、スカイツリーはもう建っていた

昔から、夜の首都高から見える東京が好きだった。

免許を持っていない私にとっては、誰かと遠出しないと見られない特別な景色だ。旅の終わりを実感して、毎回すこし切なくなる。
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先日も、羽田空港からの帰り道、車の窓越しにスカイツリーを発見し「あぁ、帰ってきちゃったんだなあ」と、感傷的な気分にひたりかけていた。

のだが、次の瞬間、すっかり東京のシンボルとしてスカイツリーを認識していた自分に衝撃を受けた。「なんかさ、東京タワーの方が好きなんだよね」とかあんなに言っていたはずなのに、いつから慣れちゃったんだろう。
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Wikipediaによると、着工は2008年の7月14日らしい。なんと今年で10年も経つということだ。恐ろしい……。

竣工・開業したのは2012年。この春小学校に上がった子どもたちは、スカイツリーのある東京しか知らない。
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たぶん私たちは、近い将来自分の娘や息子をを浅草に連れていって「お母さんが小さい頃は、とうきょうスカイツリー駅なんてなくてさー」と、とうとうと少女時代の思い出を語りはじめるのだろう。

都市のランドマークは「今ここにあるものがなかった時代」の記憶を呼び起こすきっかけになる。

そしてその記憶を人に話せるようになったときが、ジェネレーションギャップに「驚く側」に足を踏み入れる瞬間な気がしている……。

きっとその日は近からずも遠からず。正直、ワクワクでもドキドキでもなく、ひたすらそわそわだ。時が経つのは本当に早い。今も楽しいけど、あの頃もとっても楽しかったよ、と、胸をはって言えたらいいなと思う。

#エッセイ #コラム #スカイツリー #東京 #思い出

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