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「メールアドレス変えました」を懐かしむ

みんながスマホを持つようになって(というかLINEが普及して)、「メールアドレス変えました」のお知らせを受け取ることがなくなった。

そもそもあまり個人のメールを見ないし、見たとしてもアカウント登録とかに使っちゃってるから、面倒くさくてアドレスは買えないだろう。
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中高生の頃、「メアド変えました」は、恋愛のお助けツールだった。

送る方も送られる方も、好きな人にさりげなくメールすることができる。だいたい「了解です」とか返ってくるから「なんとかくん久しぶりだね! クラス離れちゃったけど元気?」とまたまた自然な流れでラリーを続けられる。
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トーク画面という「集合場所」にお互いがやってきて、ぽんぽんとメッセージを投げ込んでいくのがLINEだとすると

メールは「相手の陣地」まで歩いていき、受け取ってくれるかもわからないまま、手紙をそっと置いていくようなイメージがある。
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だから、既読か未読か以外は比較的モヤる要素が少ないLINEと違って(個人の見解です)

わざわざ返事をもらうための工夫や気遣いが生じ、それに伴って、モヤモヤとヤキモキの震源地も増える。

デコメ絵文字をサイトからとってきて、文面をかわいく仕上げたりとか、件名を推敲したりとか、

知らない間に相手のメアドが変わってて、メールが不達だと傷ついたりとか、返事くれるかなと、何度もメールセンターに問い合わせたりとか。

メッセージそのものより、周辺のあれこれに、いちいち悩んだ思い出のほうが、胸がきゅっとする。
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アナログなほうが手間がかかるぶん、どうしても、記憶に残るエピソードが増える。インスタントなツールも便利で大好きだけど、不便さを愛するのも好きだった。

……というようなことをもう、書く年齢なのか。10代の頃に、まわりの大人たちが、カセットテープを懐かしみ、ポケベルを懐かしみ、写ルンですを懐かしんでいた気持ちがわかってきてしまった。

きっと、順番なんだろうなあ。

#エッセイ #コラム #日記

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