9. もらえるものはもらっておくべし

配偶者と死別したことでもらえるお金がある。ただでさえ、世帯年収が半分以下になる危機に直面しているのだから、この際もらえるものはもらっておいたほうがいい。そして、ただお金を受け取るだけではなく、割引になったり免除されるものがあればそれも受けておいた方が良い。

もらえる可能性があるお金
・遺族年金
・児童扶養手当・児童育成手当
・埋葬料
免除される可能性があるお金
・子供の医療費
・子供の給食費
割引される可能性があるお金
・保育料
かけていた保険
・生命保険
・医療保険

もらえる可能性があるお金:遺族年金

もし亡くなった配偶者が年金を納めていたのであれば、遺族年金はもらえる可能性がとても高い。ただし、遺族年金を受け取るためには、いくつかの条件がある。そして、この国の年金制度というのはとても複雑で、その仕組みは素人には到底理解できない。個別ケースは年金事務所の窓口でしっかりと話を聞くべきだが、一般的に18歳未満の子供がいて、厚生年金に加入していた配偶者を亡くした場合は、このような形になる。

遺族基礎年金 780,100円
18歳未満の子供:第一子・第二子 各224,500円
第三子以降 各74,800円
年額合計:1,303,900円、月額:108,658円

ここに、遺族厚生年金が、旦那の加入月数に応じて加算される。
もちろん、年金にどの程度加入していたのか、どの程度支払っていたのかによってここは変動する部分なのだが、例えば年齢40歳で年収600万の方だと、遺族厚生年金の年額が約50万、月額約4万円となるそうだ(参照サイト)。上記遺族基礎年金と合わせて、年額約180万円、月額約14万円支給されるという計算となる。
年収600万円の配偶者を亡くしたとして、たとえ遺族年金を受給したとしても、亡くなった方の稼ぎには到底及ばない。この点を踏まえて、保険をかけることが望ましい。掛け捨ての保険ではなく、養老型の保険にすれば、もしものことが起こらなかった場合は、夫婦で老後を楽しむために使えば良いのだから。

遺族年金は、もちろん、妻を亡くした夫にも支給される。しかし、みなさんご存知だろうか。遺族年金を受給するための条件というものを。
夫を亡くした妻、妻を亡くした夫、ともに、前年度の年収が850万円以下であることが条件となる。ということは、共働き夫婦で、配偶者を亡くしても、遺族年金をもらえない人もいるのだ。一生懸命働いて、それなりに稼いでいて、税金も年金もたんまり納めていた人たちなのに、配偶者との死別という人生最大の危機に直面しても、年収850万あったら大丈夫でしょ、あーた。と、政府から言われてしまうのである。世の中の高収入世帯はこの辺を踏まえた上で、もしもの時にはどうするのか考えておいた方がよい。ただでさえ、配偶者と死別して心がズタボロな時に、例えば保険もなく、遺族年金もなく、ただただ世帯年収が半減して、そこに生活を合わせていかなければならないというのは、とても辛い。ちなみに、遺族年金申請時に、前年度の収入を証明する書類を提出するが、その後お代官様からのチェックが入るわけではない。なので、遺族年金をもらいつつ、その後の努力で自分の年収を850万以上に持っていってもなんのお咎めもございません。そして、遺族年金は非課税です。

遺族年金の手続きには、非常に時間がかかります。まず、年金事務所に電話をかけて、必要書類を聞くところから始めましょう。その中には、戸籍謄本や住民票の除票が含まれます。最初の記した通り、戸籍謄本に死亡が反映されるまで、死亡届を提出してから2週間ほどかかります。そして戸籍謄本と住民票の除票を取得するので、少なくとも死亡届を提出してから2週間は手続きができません。また、年金事務所はとても混雑しています。窓口はいつも大賑わいです。予約をしていくことをお勧めしますが、予約がまたなかなかとれません。私は電話した日から3週間後の予約しかとれませんでした。窓口での手続きには1時間かかります。同じような書類をなんどもなんども書いて、ハンコついて。。。そしてその作業が終わると、担当の方から”今から50日以内に年金額が決定されます。年金のお支払いはそのあとになります”と通告を受ける。
旦那が亡くなったのが6月、初めての年金を受け取ったのは9月。もちろん、手続きを行なった時から年金取得の権利を得ているので、過去遡って支払いをしてくれるが、旦那が亡くなってから現金が振り込まれるのに約3ヶ月かかりました。遺族年金だけをあてにしていたわけではないし、私も仕事をしているのでお金のことで困ることはありませんでした。もし仮に、私が専業主婦で、貯金もなくて、保険もなくて、家計も火の車だったら。。。遺族年金をいただくまでの3ヶ月、大変だったかもしれません。

もらえる可能性があるお金:児童扶養手当・児童育成手当

詳しくは、厚生労働省のホームページに出ています。ざっくりことをいうと、年収が200万を超える方、すなわち扶養されていなかった方は対象外です。たとえ、シングルになっても。この手当は、あくまでも底辺の生活をしている方々を救うものであって、昨今のお互い扶養されていない共働き夫婦には該当しません。

もらえる可能性があるお金:埋葬料

これは、加入していた健康保険組合によるので、問い合わせるのがよいでしょう。会社員であれば、会社の方が申請書などを手配してくださる可能性が高いです。聞いてみると良いでしょう。

免除される可能性があるお金:子供の医療費・子供の給食費

各市町村の保育課の窓口に直接いくことをお勧めします。が、これも児童扶養手当と同様、扶養内で働いている人にとっては何かと免除があると思いますが、普通に働いているとまずこの恩恵は受けられません。たとえ、配偶者が亡くなって、世帯年収が半減したとしても。

割引になる可能性があるお金:保育料

子供がいる共働き夫婦であれば、間違いなく保育園を利用し、保育料を納めていると思います。保育料は、世帯年収ごとに階層が設定されていて、金額が決定されるわけです。印西市では、世帯年収が500万を超えると、収める保育料にさほど差が出るわけではありません。よって、扶養内で働いている方以外は、保育料の割引もあまり恩恵を受けないわけです。たとえ、配偶者がなくなって、世帯年収が半減したとしても、今までとほぼ同じ保育料を払う可能性が高いのです。

かけていた保険

これは各家庭の経済観念によって様々だと思います。加入している保険会社、すべてに亡くなった連絡をすることをお勧めします。死亡保険金の支払いに関して、各社対応は様々です。私たちがかけていた養老保険に関しては、死亡届のコピーをファックスするだけで、2日後には保険金が支払われるというリビング特約が付いていました。これは、手続きも非常に簡単で、お金もすぐに手元に来て、大変ありがたかったです。
他の医療保険、その医療保険に付帯していた死亡一時金に関しては、戸籍謄本、病院の診断書、住民票の除票、などなど、ものすごくたくさん書類を提出する必要がありました。書き換えられた戸籍謄本を入手するのに、死亡届を提出してから約3週間、病院の診断書(保険会社の指定書式)をもらうのに2ヶ月かかったので、6月に旦那が亡くなって、書類を準備して提出したのが8月入ってから。そして、保険金を支払ってもらったのは、ちょうどお盆のころでした。
配偶者が死亡したときに、保険金によって色々賄おうと思っている場合は、保険金の支払い条件をもう一度確認しておくとよいでしょう。死亡届のコピーだけで保険金を支払ってくれるクイックな保険会社、お勧めです。

ということで、配偶者と死別し寡婦・寡夫になった場合、国や地方自治体から受けられるサポートはいくつかあります。しかしこれは、遺族年金でいうと年収850万円以下の方に限られます。その他のサポートは扶養内で働いていた方、あるいはそれと同様の年収の方に限られます。
良い暮らしがしたい、子供に良い教育を受けさせたい、そういう一心で、一生懸命働いて稼いできた人たちに対しては、死別して世帯年収が半減するという危機に直面しても、自力でなんとかしてね、というのが今の日本です。今まで、税金も年金も、人よりも納めている人に限って、そういう扱いをされます。
うちは、決して金持ちではありませんが、旦那も私もそこそこ仕事してたので、それなりに満足のいく生活をしていました。もちろん、旦那の方が年収が多いわけで、突然旦那を亡くし、世帯年収が半分以下になる危機に直面していました。悲しいことがあったからといって、今までの生活を大きく変えることなく、子供達に早く日常を取り戻したい。そんな思いから、少しでも家計の負担を軽くできる方法はないかと、市役所の窓口に相談に行きました。その時のこと、私は一生忘れることはないと思います。話を聞いた人たちみんな、”あぁ、かわいそうに。未亡人になっちゃって、子供3人もいるのに”という哀れみの目でみるのですが、昨年度の納税状況を確認すると、それまでの哀れみはどこへやら、顔つきが変わった挙句、”お母さんは収入あるから大丈夫ですね。こちらからサポートできることは何もありません。頑張ってください。”と冷たく突き放された。

幸い、かけていた保険のおかげで、3人の子供達を大学卒業させられるだけの教育資金は確保できたし、彼らが巣立つまでに私に何かあったとしても、なんとかなるだけの保険も手配できた。そして私には仕事がある。とても理解があり、助けてくれる上司や同僚がいる。行政に突き放されたとしても、死にはしない。今まで通り、善良な市民として納税もするし、ありがたく遺族年金を受給しながら年金も支払います。腹立たしくはありますが、国民としての義務ですからね。

今、共働きで頑張っているご夫婦の場合、配偶者を亡くしたとしても行政から受けられる金銭的サポートは限られる、あるいは全くない可能性があります。そういう方々はぜひ、保険の見直しからはじめてください。頼れるのは国でも行政でもなく、自分だけですから。

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