6.運命の分かれ道。引越しの日

2015年1月25日。

ついに運命の分かれ道。引越しの日がやってきてしまった。

半年間この部屋で過ごした思い出が、走馬灯のように蘇ってくるも、センチメンタルになる暇がないほど、引越し業者さんの手際はよく、あっという間に荷物が運び出され、思い出の部屋はすっからかんになった。

挨拶をすませると、引越屋さんは一足お先に大きなトラックにゴウキさんの荷物を積んで、福岡へ向かった。

残された私たちはというと、身軽な状態で青いミニクーパーに乗り込んだ。

本当は、ここでお別れして、ゴウキさんが一人でフェリーに乗って、ミニクーパーを福岡まで運ぶ予定だったのだが、手配がうまくいかず、千葉から福岡までの1200kmを自走して、持って行くことになった。

「それなら私も一緒に乗っていく!」ということで、最後まで諦めきれなかった私の悪あがき。良くも悪くも、これが二人の運命を分けるドライブとなったのだ。

いざ車に乗り込んだ時の私の気持ちは、50%50%といったところで、

「ゴウキさんの気持ちが、どうか変わってほしい。」

そんな風に願う反面、「29歳まで抱いていた結婚観が1ヶ月でガラリと変わらないだろうな。」そうとも思っていた。

私は自分と同じくらいの熱量で向き合ってくれる人と、結婚して幸せな生活を送りたい。

そう思っていたので、これで気持ちが変わらなかったら諦めよう。そう覚悟していた。

この旅の、どのタイミングで返事をもらえるかは全くわからなかったので、1日目は京都に泊まる予定だったが、果たして楽しめるのか不安だった。


その時は、突然やってきた。

その日の夕方。あれは多分、名古屋か大阪あたりを走っていた時だったと思う。

それまでは、隣の車が可愛いとか、コンビニで最近買ったお菓子がやたら美味しいと思ったら、やっぱりあの工場が作ったものだったとか、そういう何気ないマニアックな話ばかりをしていたが、突然ゴウキさんが違う話を始めた。

「あのね。桃ちゃんに言われて考えたんだけど、やっぱり結婚したいと思った。」

「え?」

突然すぎて、心の準備も何もしていなかった時に、ふいに言われた一言。

一瞬、耳を疑った。

(え?え?えーーー!)

トンネルの中、私は久しぶりにゴウキさんの目をちゃんと見れた。

「なんで?」

「前も話したけど、結婚には全く魅力を感じてなかった。子供は欲しいけど嫁はいらないとも思ってたw 今まで一人で生きてて困ったことなかったし。でも、あの夜、桃ちゃんにあんなに泣かれて、結婚について真剣に語られて、結婚て、そんな風な考え方もあるのかと思った。で、こんなに結婚について真剣に考えている人が、自分と結婚したいと言っている。今後、そんな人は現れないんじゃないかって思った。だから、結婚したいと思った。しばらくは遠距離になるから、婚約しよう。」

奇跡が起きた!!!

私はその場で、「よかったぁぁぁ。もう無理かとおもった。。。これでお別れだと思ってた。。。」と安堵と喜びの涙と鼻水を流しながら、笑った。

きちんと想いを伝えてよかった。本当に良かった。

それから、ゴウキさんはこんなことを言い始めた。

「一緒に口座を作って、毎月2人で10万円ずつ貯金していこう。それで、それが溜まったら結婚式資金にしよう。」

すごい具体的なことまで考えてくれていた。

それから、こんなことも。

「これは、プレプロポーズだから。プロポーズはまたちゃんとするよ。オレ、プロポーズは絶対に無くならない場所で、しかも日常な感じのところがいいなぁとおもっているんだよね。まだどことか決まってるわけじゃないけど、なんとなく、そういうところでしたい。レストランとかでもいいんだけど、プロポーズしたレストランがなくなっちゃったっていう話を聞いて、そういうのは寂しいなと思った。だから、絶対に無くならない場所でするから、まあそれは楽しみにしててよ。」

はぁ。。。

天国と地獄とはこのことで、、、数分前の気持ちとは裏腹に、私、結婚することが決まってしまった!

(お父さん、お母さん、私もついに、プレプロポーズされてしまった!こんな日がきちゃった!!!)

そう、心の中で叫んでいた。

いざ、結婚すると決まると、あとは楽しいドライブだった。

一瞬立ち寄った、京都の伏見稲荷も笑顔で楽しめた。

新しい仕事の話

福岡での新しい仕事の話も、ようやく聞くことができた。試用期間中とはいえ、この1ヶ月は契約書まわりや、お店の内装、使う道具、装飾など、オーナーと一緒に色々なところを巡って教わっていたとのこと。

「何から何まで、新しい世界で、すごく楽しい。」

そう、目を輝かせていて、念願のクリエイティブな仕事につけてよかったなぁと思った。同時に、今の仕事が軌道に乗る2〜3年は、福岡を離れないだろうなぁと思い、それくらいの遠距離恋愛はこの時、覚悟した。

(ま、33歳くらいまでに結婚できればいいか。もしくは、福岡で私が新しい仕事をみつけようかな。)そのくらい、楽観的に色々なことが考えられた。

ゴウキさんと、これからも一緒に人生を共にできる。そう思うだけで、全てが前向きに考えられるようになっていた。


具体的な話

なぜだろう。いざ結婚する!と決まった途端、今までちょっと聞きづらくて話せてなかったような事も話してみようという気持ちになっていた。

広島あたりの車中、お互いのお財布事情を暴露し合った。毎月のお給料や貯金額は、この時に初めて知ったのだ。

私が驚いたのは、ゴウキさんの貯金額だった。

暮らしぶりや、益子での爆買いっぷりから見て、私と同じように、あまり貯金せずに散財する人なのではと、勝手に思っていた。

ところがどっこい。さすがの天才ゴウキさん。社会人2年目までに貯めた200万円の貯金をFXでしっかり運用していた。

「リーマンショックで、1ドル80円代になった時に、なんかチャンスだと思ってその200万をぜんぶドルにして、そのあと数年くらい間違って25倍くらいで運用してたみたいで、途中で気付いてもう戻しちゃったんだけど、、、今、1ドル120円くらいでしょう?多分、5倍くらいにはなってるんじゃないかな。」

(え、まじで?200万円の5倍は1000万円ですけど、そんな貯金があるの?)滝汗

「ちなみに、桃ちゃんは?」と聞かれて、「ご、ごめん!今の家に引っ越してくるとき、貯めてたお金、全部使っちゃった!笑!!!」と言ったら、「おい!!!バカか!」と笑って怒られた。

(余談ですが、、、そうです。この1年後、私たちがお家を購入し、リノベーションすることができたのは、この時、ゴウキさんが運用してくれていたお金を頭金として支払うことが出来たからなんです。でもね、ローンが組めたのは私が会社を辞めないで働いていたからなんだよ。と、自分のフォローもしておく)

要するに、お互い様!ということ。

この時、ゴウキさんは本気で怒ったり、じゃあ婚約破棄!とは言わなかった。お金にはあまり興味がないのか、運用していたお金もいくらまで増えているのか、きちんと把握していなかったくらいで、私のことを、お金とかステータスとか、そういうものではない「人」として見てくれているんだと思えて、それがすごく嬉しかった。そして、ダメなところも含めて、私であって、それを丸ごと受け入れてもらったように思えた。

「二人はこれから一心同体なんだ」

そんな意識がなんとなく芽生え始めていた。(この時点では完全におんぶに抱っこですが笑)


節約しようね

私の金銭感覚に危機感を抱いたようで、その後の車内は、ゴウキさんのクレジットカード講座を受けることになった。

「ライフカードは誕生日月にポイントが5倍つくから、大きい買い物は4月にこのカードで買うでしょう。Amazonで買い物するときはリーダーズカードを利用してジャックスのサイトから買うのがいいのと、セブンで買い物するときは、nanacoを使うんだけど、nanacoにチャージするのは年会費無料のリクルートカードでクオカードを買って、クオカードでnanacoチャージするのがいいよ。そうすると、2万円で2万3000円の買い物ができる!あとは…」(※当時の話で今は変わってたりする)

何を言ってるか途中でよく分からなくなったので、「とりあえず今日から、無駄遣いはしません!家計簿はちゃんとつけます!」と約束をした。

福岡空港にて

福岡に到着したが、私は次の日が会社だったので、とんぼ返り。帰りの飛行機はすでに取っていて、かなりギリギリの時間に福岡空港に到着。別れを惜しむ間も無く、ダッシュで空港へ向かい、無事チェックイン。

ホットしたのもつかの間、搭乗口で当時話題だったクレミアが売ってるのを発見してしまった。

ソフトクリーム510円。。。

(今日から無駄遣いはダメだよ!)というゴウキさんの天からの声。

「うーん。。。まぁ、プロポーズされたし、これは無駄遣いじゃなくてお祝いってことで!」

そう心の中で呟いて、クレミアを完食。

家計簿の「食費」の欄に、510円と記入した。

めでたしめでたし。


次は、ちょっと一息、遠距離恋愛編です!

(ちなみにこの後、もう一回事件がおこるので、気は抜けませんよ!)





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井上桃子

第二章:二人のこと 〜出会いから結婚までの物語〜

ペアーズ がきっかけで結婚しました!そう言うと驚かれますが、私たち夫婦にとっては、それは必然でした。と、いっても何事もなくすんなり付き合って、結婚したわけではありません。右葉曲折、めちゃくちゃなドラマがありましたw

コメント2件

相変わらず面白いです!僕もプロポーズは無くならない場所で...参考になりました笑
>かとーこーだいさん
ありがとうです^^ ラジオで話したのですが、無くならない場所っていうのが「月の下」で、「月がとっても綺麗でしたね」が正式なプロポーズだったのです^^
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