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教室をどうやって観るのかって話

 私は小学校の教諭をしています。教室の中で子どもたちの姿をどうやって観るのかが若い時には分からなかったように思います。でも、サッカースクールに勤務していた時の経験をきっかけに教室の様子をどのように観ると良いのかを最近分かってきたように思います。どのように観るかに正解はないと思いますが、私の中の今の答えをこのnoteにまとめていきたいと思います。

1.教室を俯瞰してみる

 サッカースクールで働いていたとき、よく上司から聞かれたのは、子どもたちの練習している姿から「何に違和感がある?」でした。本当のゲームで起こりうる姿に近づけるには、練習中の子どものプレーの違和感を見つけて、それを修正するように、条件やプレーする距離などを変えることを求められました。その時に、「違和感」を見つけるには、全体を俯瞰して観察することが大事なことに気づきました。一か所に集中すると分かりにくいけれど、全体を捉えようと、少し引く意識でみるとその違和感に気づくことができたように思います。
 それを教室の中でも意識しています。教師をしていると、教室でよく目に映る姿は、子どもの気になる姿(マイナス面)だったりします。そこに集中しすぎるとそこばかりに気がいき、全体が見えてきません。ですから、その気になる姿を見つけても、それを少しスルーして、全体をぼーっと見ることにしています。そうすると、気になるあの子に隠れていた、とっても素敵な子の姿が目に映ってきたりします。そうやって、いつも全体を俯瞰して観ようとしています。これは、授業にも当てはまって、俯瞰して観ると、子どもの動きがよく観えて、スイッチが入る瞬間を見つける事ができたりします。

2.カメラで観るのか、ビデオカメラで観るのか

 サッカースクール時代に、上司に子どもの良くなかった姿を報告したときに、「カメラで切り取った一面を観るのじゃなくて、ビデオカメラで観ろ。」と教えていただいたことがあります。子どもの行動の一瞬をカメラで切り取ると、その瞬間には良くないと見られる行動が映る場合があります。しかし、そのカメラで切り取った一瞬の出来事の前後には、そうせざるを得なかった事情がある場合もあります。ですから、良くない一瞬が映ったときには、自分の中で子どもの姿をビデオカメラ的に観るようにしています。
 逆にカメラで観る瞬間は、子どもの良い姿を映すときです。その子のキラっとした一瞬を切り取ることができるように意識しています。良くない行動をしていた子や、普段はあまり目立たない子をビデオカメラ的に観ておいて、その子がキラっと輝く一瞬を逃さないように、カメラで切り取ろうと思っています。ステキな行動の前後の事情は、必要ないと思っています。ですから、その瞬間をたくさん切り取り、子どもに返すことで、「この先生は自分を見てくれているんだ。」と思ってもらえるのではないかと思っています。そういう積み重ねを大事にしています。
 もちろん、指導の場面でマイナス面を切り取って指導することもありますが、カメラで写し取るなら「良い姿」をと思っています。

3.カメラで切り取った今日の一枚

 ちょうど本日カメラで切り取った一枚があります。それは、私の学級で取り組んでいる「給食プロフェッショナル制度」で起こった一枚です。「給食プロフェッショナル制度」については、以下の記事をご覧ください。

 4月から取り組んだこの取り組みで、給食準備の時間はほぼほぼ5分程度で安定してできるようになりました。タイムを縮めるのは難しそうかなと思っていたのですが、本日ステキな瞬間が訪れました。ある子が、先生分の給食を準備してくれて机に置こうとしたその瞬間に「あっ!スプーンの位置が!」と言ってスプーンをお盆に合わせて置いてくれました。私は、それがステキだなっと思って、その瞬間を切り取り、子どもたちに、「そんなところまで気を遣っていてすごいよね、プロフェッショナルだね!」と伝えました。
 もっと丁寧に準備をするように伝えるのに、マイナス面を切り取って伝えることもできますが、少しビデオカメラで流して、ステキな瞬間をカメラで切り取ることで、良い姿から子どもたちの行動を良い方向へ導くことができると思っています。私の仕事は、その瞬間を見逃さないことです。

 最後になりましたが、自分の中で、全体を俯瞰してみて、カメラで観るのか、ビデオカメラで観るのかを意識するようになったのはサッカースクール時代の学びからでした。教室で起こるいろんな出来事をどのように観て、どう切り取るか、教室以外でも当てはまることはあるのかなって思ったりしています。


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