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【書評/感想】「あなたの人生、片づけます」を読んだら、一歩ふみだす勇気をもらった

こんにちは、もんちょすです。

読書が趣味のわたし。小説からビジネス書まで、読んだ本の感想や書評を書いていきます。まず初回は、読書感想文にもおすすめの一冊「あなたの人生、片づけます」(著:垣谷美雨)。#001

人生にモヤモヤしている人、戻らない過去に縛られている人、思い出の品をいつまでも捨てられない人、そんな方におすすめの小説をご紹介。

【この本との出会い】
本のタイトル「あなたの人生、片づけます」と、裏表紙の「社内不倫に疲れた30代OL」の文字が心に突き刺さり、この本を手に取りました。
長らく自分の心を支配しているこのモヤモヤする気持ちを整理したい、いっそのこと、私の人生も片付けてくれ!といった気持ちからこの本を選択。
(※もんちょすは26歳独身女性、「ひとりでも生き抜ける力を身に着ける」をモットーに日々奮闘しており、社内不倫とは無関係ですw)

【書籍情報】
 タイトル:あなたの人生、片づけます
 発行日 :単行本)2013年11月、文庫本)2018年7月31日(第3刷)
 著者  :垣谷美雨。1959年、兵庫県出身。2005年に「竜巻ガール」でデビュー。システムエンジニアとして働いた後、小説家に転身。高齢化や介護等、身近な社会問題に関する作品を多く執筆。

【概要】
片づけの方法を指導するという片づけ屋「大庭十萬里」が様々な問題を抱える4人の人と出会い、その部屋の要らないものとその人の心にあるわだかまりをほどいていくものがたり。
十萬里が出会う4人の人が抱える問題は、都合のいいように扱われる独身女・妻に先立たれて着替えの場所も探せない夫・資産家の独居老女・ある出来事をきっかけに壊れかけた家族の主婦等、さまざま。
だが問題を抱える人々の主張に共感してしまう。そんな人々の、部屋を片づけられない理由をまっすぐ見つめ、それを解きほぐしていく十萬里。読み進めれば、読み進めるほど、ほっこりするストーリーが展開されていく。

【感想】
起きている事象だけでなくその原因をまっすぐに見つめて、正直に素直に意見する十萬里の強さに惹かれる。そして、十萬里によって少しずつ変わっていくクライアントの変化を見ていると、なんだか自分も一歩ふみ出せるような、ふみ出したいと思う勇気をもらった。
十萬里みたいな人が身近にいてほしい。十萬里みたいになりたい。とすごく思った。短編集のようですごく読みやすい本だった。

ここで、心に響いた言葉をいくつか引用しながら紹介してく。
若干のネタバレ要素があるので、見たくない人はここで回れ右(笑)

「いつの間にか、みんな相手の機嫌を損ねないことしか言わなくなった。
誰だって悪者になりたくないですからね。
でも、恨まれてもいいから本当のことを言ってあげるのが
本当の親切ではないでしょうか。」

不倫から抜け出せないOLに十萬里が投げかける言葉。
自分にしんどい言葉を投げてくれる人はいるだろうか。その人やその言葉を大切にできているだろうか。そして、自分は、大切な人に、本当に親切なふるまいをできているのだろうか。仕事もそう。本当のことをきちんと伝えられていえるだろうか。
問われて、改めて考えさせられる内容だと思う。
相手に嫌われてもいいから本当のことを伝える、そう思える人と付き合っていきたいと思った。

もっと丁寧に生活しよう。生活そのものを楽しもう。
もう誰にも振り回されずに生きていこう。

十萬里と出会って、不倫から抜け出せないOLが決意する言葉。
頭でわかっていても心がついてこず、行動できないってことも多いと思う。それでも、そんな頭でわかっていることを改めて自分に指摘してくれる人の大切さを教えてくれえる。そして、その指摘をしてくれる人は必ずしも自分の親しい人ではないことも。
また、一歩踏み出すことで、その一歩につられて色々なことが進みだしていくことを伝えてくれている。

「お前はきっと何かを成し遂げる人間だ。ワシにはわかる。」
とっておきの魔法の言葉は、なんの根拠もないが、人の将来なんてわからないから嘘とも言い切れない。
そして、その言葉が生涯の心の支えとなることがある。

妻に先立たれて着替えの場所も探せない夫が、不登校となってしまった孫に対して伝える言葉。
誰かから信じてもらったり期待されることは、本当に自分のパワーの源になる。押し付けるのではなく、ただただ、信じて、期待してくれるだけで良いのだ。
何を成し遂げるのか、そのために何をすべきかなんて、だれもわからない。ただ、自分を信じてくれる人がいると思うと、ちょこっとだけ強くなれる。負けないぞ、と思える。
そんなことを伝えてくれるメッセージ。

「もっと周りの人に甘えなさい。お父さんにも甘えなさい。」
助けてと叫び声を上げているのは、息子や夫やお父さんだけじゃなくて、
私自身もそうなんだって指摘された。

十萬里のクライアントに、十萬里が投げかけた言葉。
責任感のある人ほど、きちんとしなきゃと自分のことをないがしろにしてしまう。がんばんなきゃいけないんだ、って追い込んでしまう。
それを気づかせてくれる人って、なかなかいない。
いろんなことに気がつく人ほど、自分のことが見えていない。
だからね、「助けてよ。」って、どんな人でも言っていいんだよ、って伝えてくれるメッセージ。
とても素敵だ。

大人が当たり前だと考えていることでも、子供は初めて耳にすることが多いものだ。そして、そのことに気づいていない大人は多い。そして、そのことに気づいていない大人は多い。
大人は言葉を惜しんではならないのに、忙しさにかまけて子供を知らず知らずのうちにないがしろにしている。

十萬里がクライアントの子供と接して気づいたときの言葉。
どんなときも、自分の目線で接してしまうことが多いのは確か。
指摘されないと気付かないもの。そして、大人相手でも同じことが発生しうる。言葉を惜しみ、「つもり」で話していることに気づかせてくれる。

他人がひと目見て気づくことでも、当事者が全く気づいていないことがある。だから、たとえ嫌われてもうるさがられても、誰かが口に出して言ってやらねばならない。

十萬里が4人目のクライアントと接するときに思った言葉。
自分にとって本当に大切なことを指摘してくれるのはだれか。気持ちいい言葉だけを投げてくれる気持ちのいい環境が本当に良い場所なんだろうか。
と、考えてしまう。

【総評】
生きれば生きるほど、自分を縛るしがらみが増えて、身動きが取れなくなっていく。人前ではきちんとしていても、家に帰ると自堕落になってしまう。
みんないろんな事情を抱えているから、しかたないと思う。
だけどそんなしがらみの中ででも、この本を読むと、
一歩だけ、少しでいいから前に進もうと、ふみだす勇気をもらえると思う。ぜひ、悩みを抱えていたり、立ち止まっている人には読んでほしい。
前に進むための一歩は、ほんの少しだけ、ちょこっとだけ誰かが背中を押してくれれば、ふみ出せるんだとわかる。
そんな背中を押してくれる人に出会えたらハッピーだけど、なかなか出会えないのが現実。
だけど、この本の中から、自分で自分の背中を押せるようになるヒントをたくさん見つけられる思うから、ぜひ、手に取って読んでみてほしい。

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