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あっちゃんへ PART2

PART1はこちら。できれば順番に読んでくださいね。最初に言い訳をしているので。


あっちゃん、メリークリスマス!
今年はとても寒い、凍えるクリスマスイブになりました。

同じ12月というのに、あっちゃんに献花しにいったあの日と大違いです。

ところで、ちょっとこれ見て下さい。

Amazon Musicのプレイリストなんですけど、タイトルは1208。そう、Ceremonyに向かうために52歳の私(面倒なんでこれからは52って呼ぶことにします)が作ったプレイリストです。

あの日以来、たこ焼き娘も52もほとんどBUCK-TICKばかりを聴いて過ごしてきました。
まるで傷口に塩を塗りたくっているに等しい行為です。自傷癖はなかったはずなんですけど。あ、でも瘡蓋は剥がさなきゃ気がすまない性格だな、そういえば。
治らないうちにどんどん瘡蓋を剥がすもんだから、傷口はずっと血を流しています。でも、それでも、あっちゃんの声で空間を埋めないと何かが消えてしまいそうで怖かったんです。
何にせよ、なかなかの荒療治です。時にはイントロが始まった瞬間に涙が止まらなくなったり、甚だしいと貧血を起こしたりする曲があって大変でした。生まれて初めてですよ、歌が耳に入った瞬間目の前が真っ暗になったのなんて。椅子に座っている時でよかったです。うっかりしたら私の葬送曲が「名も無きわたし」になるところでした。
そのまんまじゃん!
そんなわけで何度も体調不良に陥りながらも、だんだん大丈夫な曲がわかってきました。
それを集めたのがこのプレイリストです。
あっちゃんに会いに行くからにはBUCK-TICKオンリーで攻めたい。でも途上ぶっ倒れたらなんにもならない。
そのせめぎあいの末に全26曲、約1時間50分のプレイリストが出来上がりました。8割は今井さん作詞作曲です。
この時期、あっちゃんが精魂込めた歌詞はまだ劇薬でした。ダイジョブになってきたのは最近のことです。ま、4日前はまだ貧血をおこしていましたけど。実は、ダイジョブにしてくれたのはとある方だったのですが、この件はまた後で話しますね。

Ceremonyの日、52は会場に向かう前にいつも通っているシェービングサロンに予約を入れていました。
会場では100パーセント泣く。泣かずに済むはずがない。それはつまりファンデーションが流れてボロボロの顔になるということである。そんな顔であっちゃんに会う勇気はない。だったらスッピンで大丈夫な肌にして、眼まわりのポイントメイクだけで顔の下半分はマスクで隠そう、と決めたんです。いかにも52が考えそうな姑息な手段です。でも、それが精一杯でした。
で、52はサロンでやらかしました。普段よりおめかしした様子にいつもお世話になっている理容師さんが「今日はお出かけですか?」と問いかけ、最初は「まあ、LIVEみたいなもんで……」とかなんとかゴニョゴニョ誤魔化していたんですが、「あら素敵! 誰のLIVEですか?!」と更問いされた瞬間、ボロボロ泣き出してしまったんですよ。
理容師さん、焦る焦る。そりゃ客がいきなり泣き出したらびっくりですよね。しかも理由が全くわからない。どこの世界にLIVEに行くって言った後に泣きじゃくるバカがいます? 仕方ないのでしゃくりを上げながら説明したら、「そうでしたか……」と。
もう死ぬほど恥ずかしかったよ、あっちゃん。
52歳にもなって、好きなアーティストの献花式に行くからって人前で大泣きするか、って話で。でも理容師さん、そこはさすがの接客業で、私が落ち着いたらアイメイクを綺麗に直してくれました。ありがたかった。
会場で少しはマシな顔をあっちゃんに見せることができたのは、そんなわけだったんです。ケガの功名、ってやつ? 本当に恥ずかしかったけどね。

羽田は季節外れの暖かさだったね。夜なのにコートもいらないぐらい。
天空橋の駅を降りたら、お仲間がたくさんいました。さながらBUCK-TICK歴代グッズの展覧会のようで壮観でした。
ちょっと早めに到着したので、会場周辺をぶらぶら歩いて時間を潰しました。Zepp前は魚群探知機一切不要レベルで魚だらけでした。私みたいに無駄に回遊している人も、ベンチの岩礁でじっとしている人もいました。スイミーみたいに群れを作っている人たちもいました。みなさん、おしゃれさんでしたよ。黒率高かったけど、これは平常運転ですね。

私は空中庭園ならぬ屋上庭園に上がって空港を眺めることにしました。
自由にお庭で遊びましょう、太陽が沈むまで、ってなもんです。
仕事柄飛行機はちょくちょく使いますが、天空橋から空港の灯をみるのは初めてでした。イカロスは飛んでなかったけど、飛行機はガンガンでした。未来派な感じでした。
そうそう、トップの写真はあの日、羽田の上空で輝いていた木星、Jupiterです。スマホがヘボいのでピンボケですが、とても綺麗でしたよ。あっちゃんみたいに。
それにしても、あんなロマンティックな場所なのにお初がデートじゃないってのが極めて遺憾です。あ、あっちゃんとのデートだと思えばいいのか。
……すみません、調子に乗りました。ごめんなさい。

指定された時間になって列に並び、それほど待つこともなく建物に入りました。
供花が並んでいました。先頭はあっちゃんのお兄様、その後がメンバーでした。
それを見た私、「あれ、なんであっちゃんからのお花がないの?」と思ったんですよ。
まじで。ネタじゃありません。素で思ったんです。で、思った直後、「どこの世界に自分のCeremonyに自分で供花するヤツがおるねん!」とセルフツッコミ。我ながらアホやなーと呆れながら、同時に気づきました。
まだ全然現実をわかってないんだ、と。
そこから先のことは、実はあんまり覚えていません。
列に並んでいた時には「鼓動」が、献花の瞬間は「New World」がかかっていたこと。濃厚な花の香りが漂っていたこと。全国各地のターポリンが会場を囲むように掲げられていたこと。正面には三枚の大きなパネル写真といくつかの衣装や小道具が並んでいたこと。
それぐらいでしょうか。
私はパネルをぼーっと見ながら「相変わらず綺麗だな~」とか考えていました。でも、涙だけはボロボロこぼしていた、ような気がします。
お花を捧げる時間は一瞬でした。もしかしたらちょっと時間をもらっていたのかもしれないけど、一瞬にしか感じられませんでした。頭が真っ白になって何も伝えられませんでした。あ、託されたお名前だけは伝えたかな。外国のファンや病気で来られない方からあっちゃんへの挨拶を言付かっていたもので。
でも、それ以外はたぶん何も話せなかったと思います。
帰路の記憶もあまりありません。ただ、駅で「天空橋」なんていう素敵な地名の場所で見送れてよかったな、と思ったような気がします。

京急に乗って、最寄り駅に着き、駅前のコンビニでビールを一缶買って、タクシーで家に向かいました。
でも、家の前ではなく少し離れた場所に止めてもらい、最後は歩いて帰ることにしました。
まだ私たちが何も知らなかった時、今井さんがInstagramに「とりあえず、ビール飲むか~」って書いてたのの顰に倣ったんですよ。真似っ子です。銘柄もちゃんとあわせましたよ。キリン一番搾り生ビール。
とても苦いビールでした。
喉は渇いていたはずなのに、おいしいと思いませんでした。
あの時の今井さんはどうだったんでしょうね。

あ、また52が怒っています。そろそろ夕飯作らないといけないのに何やってんだ、って。今夜はライブ・ストリーミングの最終日なので早めに夕飯を済まさないといけないのに、って。こっそり教えますけど、今年のイブのディナー、かなりしょぼいんです。お知らせの後、普段ほとんど買わないツアーグッズを爆買いしちゃったせいで金欠になって。
やっぱりアホですよね。でも、私はずっとほしいと主張していたグッズだったので、52の金銭感覚が一瞬でもバグったのはこれ幸いでした。

お、そろそろ本気で怒り出しました。今日も一旦引っ込みますね。
じゃあ、あっちゃん。またあした。

あ、そうそう、昨日のちわきさんの番組、とってもよかったです。
愛にあふれていました。私も52も大泣きでした
でも少しずつ涙の時間が短くなってきています。いい傾向ですよね。たぶん、きっと。

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