リメンバー池ノ上陽水 大槻ケンヂ弾き語りライブ 2019年5月27日 @ボブテイル

大槻ケンヂの弾き語りライブに行ってきた。
場所は井の頭線池ノ上駅前の喫茶店「ボブテイル」。観客は30名限定。
小さな雑居ビルの地下の小さなオンボロ喫茶店。スピリチュアル関係の本が置いてあったり「トルココーヒー占い」もしてくれる、まあ、そういう「中央線テイスト」(井の頭線だけど)が臭う場所。(実際なんか臭った)

学校の教室よりも狭い場所で、アーティストと膝つき合わせて歌を聴くというある種の「親密さ」に照れながら待つとオーケン登場。一曲めはじゃがたらの「タンゴ」。二曲めは「カナ、頭を良くしてあげよう」。

しかしセトリなどはどうでもよくなってきた。この日はオーケンの友人はばちゃんこと「池ノ上陽水」氏のご命日で、この喫茶店は彼のお店なのだった。友人を偲んでオーケンが歌う。それでいいじゃないか。

ステージでオーケンが小学校の卒業アルバムを読み上げはばちゃんとの思い出にひたり、途中から井上陽水の曲を歌本を見ながらアタマだけ歌い続け始めた。「あ〜なんか気持ちよくなって来ちゃった…」とホンワカするオーケンを観客が温かく見守るひと時もあった。(いや、この日はそういう時間がほぼすべてだったな)いー塩梅のじいさんになりつつあるなあ。人生元気でお茶飲めよ。

人間50歳過ぎるとちらほらと友人が亡くなりだして寂しい思いをするが、この日のライブはそういう寂しさが、ラーメンのスープの表面に浮く油のように、ふよふよと表面に浮いてくる、そんな感じだった。歌われた曲に「お別れ」「トシ」という歌詞が妙に出てくるような気がして、「オーケンも案外早死にするかもな」などと考えたりした。縁起でもないので元気で長生きしろ、ケンヂよ。そして自分の書いた曲の歌詞はちゃんと思い出せ。

オーケンの創造性の凄さ、歌もギターも下手だけど彼自身にしかそれは歌えないし弾けない。ほかのもっと上手な人が演奏すればもっと良くなるという話じゃないのだ。大きなステージで筋肉少女帯として演奏する時から、小さなライブハウスでの少人数でのライブ、そしてこの日のようなインティメイトな関係での小さなライブまで、オーケンというアーティストの真髄は変わらずにある。どんな場所にもそれなりにフィットする不思議さは凄いと思った。

ライブが終わった。今日はこのスピリチュアル入ったオンボロ喫茶店「ボブテイル」に入りびたるような女の子、真剣に悩んで悩んでトルココーヒー占いに人生を賭けるような女の子に捧げるような歌声だったね。もう50歳過ぎてしまったけど、そんなときもあったね…と、若き日々のイタイ思い出にまでスイッチが入りそうになったので急いで帰宅。ああ。


池ノ上は小さな踏切がカンコンと響く小さな町だった。おそらく昔は駅前に商店街が続いていたのだろう。古くさい照明と一軒だけポツンとある布団屋からそれがわかる。今あるのはコンビニとまいばすけっとだけ。美しい風景は消えた。人々も消えた。思い出だけかかえて明日からどうして生きる?そんな寂しいことを考えた。良いライブだった。みんな、寂しくても生きろ。



最近youtubeを見るとやたらに「あなたへのおすすめ」で筋肉少女帯の動画が出てくるので、「懐かしいな〜筋少のCDをぜんぶ揃えたっけ、「特撮」のCDも揃えたなあ」と、オーケン関連の動画をよく見ていた。そういえばライブにも行ったな、吉祥寺の銭湯でやったオーケンの弾き語りライブ…オーケン今でも元気かなあとネットで検索すると、あらやだ!毎日のように何処かで歌っているじゃな〜い!こりゃ失礼しました、という思いで急遽決まったという観客30名限定のこのライブに申し込み、めでたく当たったのです。…ん〜でも少し欠席があったな〜。オーケンが「ん、少しいない…」と確認してから歌いだしていた。あんな小さい場所だとスキマは気になるだろう。歌手とは大変なお仕事だと思った。満席にならなくても、客はみんな応援してるぞ。歌え!オーケン、愛のために。

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