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”改憲議論について” 立憲代表選討論会の記録

立憲民主党代表選で、地方党員向けの討論会(北海道・福岡県・神奈川県)、党内自治体議員・女性・青年部向けの討論会、記者クラブ討論会、日テレ主催討論会、記者会見などの内容を書き出して、一本にまとめたものです。自分のメモで取っているので、ご本人の言い方と違う部分もありますが、ご本人の意図が伝わるように表現しています。

討論会発言まとめは→https://lush-kumichannelnews.bitfan.id/contents/40857


●泉健太 新代表●
自民党にとって改憲は結党時からの党是と語り継がれ、これを達成した総理大臣が歴史に名を残すと言われているようで「論憲」という立場を取っている。いわば自民党の歴史に名を残す名誉を、半ば意味なく競っているのである。

必要な議論はさせていただきたいと思っている。国民投票法についてはインターネット投票やCM規制について、よく議論していかなくてはならないと思っている。が、毎週の憲法審査会の収集というのは解せないではないか。じゃあ拉致問題の会議は毎週開いていますか?あれほど宣伝しているのに、ちっとも開いていない。我々の提出法案が山積みになっている厚生労働委員会は毎週開かないんですか?必要なのに、開いていないんですよ。

論憲?何を目指しての論憲なのか?日本国憲法良さや意義の範囲の中で、細部を議論するのではなく、「自民党の党是の改憲のための改憲」など不要である。政治家の手柄の為の憲法改正など、とんでもないことである。それに法律でできることを無理矢理、憲法課題に乗せて、改憲の必要を訴えるなどおかしい。色々と言い訳を持ち出しているのだが飾りでしかない。そんなものは法律で作れるものは作れば解決するのだ。

多くの国民が守ってもらっている日本国憲法を、安易に変える必要はない。だいたい憲法53条(いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。)を守れない人たちが、憲法を変える提案をする資格などないのは国民から見て、明らかだと思っている。

あくまで国民からの憲法改定の要請があれば真摯に検討して行くと言う形が望ましいが、自民党に利権でぶら下がる層による連呼以外に、今その様なニーズは見当たらない。何もかも現行憲法の下で、法律を作成することで可能なことばかりである。自分がかつて属していた国民民主党が「自民党に迎合する改憲勢力」だったという記憶はない。今は違うのでしょうか?

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●逢坂誠二 代表代行●
改憲については、議論はきちんとやったらいい。国民の皆さんが望むならばやったらいいと思う。しかし、改憲が目的になっているという議論は健全ではない。憲法議論は、静かな環境で、しっかりと内容について吟味するために行うべき。

自公政権は長期政権であるから、本来は憲法を守らなければならない側。いつも憲法を守れない彼らが発議するのであるから、衣の下に鎧が透けて見える(権力者が制限を外したがっている)この点が赤裸々な以上、そういった目的の改憲議論には与しずらいというもの。つまり我々や国民に取って、改憲を目指した乱暴な議論は不要である。

国民投票法は、くれぐれも慎重にしっかり議論しないと、国民に信用いただけるものにはならない、というのが私の意見。実際、「住民投票の恐ろしさ」というものも私は体験しているので。

12年前、私は憲法調査会のメンバーだった。当時、議論は丁寧にされていたが、急に、安倍政権が強引に”改憲をするんだ!”と言って議論をぶち壊した。国民投票法を強行採決したのである。これには心底、驚いた。国の最高法規、憲法に関することを、話し合いあが収束していない段階で強行採決するなんて、絶対に許されたものではない。

従って憲法を守らず、憲法に関連する法案を強行採決をする党に、改憲などという国民にとって重大な事柄を実質委ねる様な事をするわけにはいかないと、強く感じた次第だ。

国会の委員会というのは、始まってしまうと数の論理による強行採決に向かう船に乗るようなもので、もう止められなくなってしまう。その前に、与野党を超えて十分な話し合いをしなければならない。

臨時国会を開いていきなり、毎週開催の憲法審査会というのは危険すぎる。何を検討するのか、中身を明らかにしてもらえないと参加できたものではない。

<53条を守らせるために会見しないのか?という記者の問いに対し>
内閣に国会を開かせる義務を法制化すれば実現できるので、そうそう国民の命や幸福や自由を国家権力から保護している憲法に、軽率に手をつけるべきではない。

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●西村ちなみ 幹事長●
憲法への議論は、私は是非、していきたい立場である。憲法の細部に関してその意義や、権力者に対して、その事項の守らせ方、などであれば、議論したい。

しかし、権力の暴走を制限する憲法の意味を変えてしまってはいけない。特に生存権の問題があるし、基本的人権の砦である。緊急事態条項は現行憲法下で実行可能だ。法律で出来る事を理由としてはならない。解釈改憲も著しく間違っている。

憲法53条(いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣はその召集を決定しなければならない。)を守らず、コロナの恐怖や経済停滞で苦しむ
国民の前で今年、私たちの要求にも関わらず、年末まで国会を開かなかった現与党。

憲法に関して物をいう資格などないであろう。

最終的には国民投票となるわけだが、国会議員の3分の2以上の賛成が必要なので、少なくとも立憲民主党が反対すれば、発議にならないと考えている。

毎週の憲法審査会開催については同意できません。改憲推進のためというのが明らかなので。

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●小川淳也 政調会長●
憲法審査会をコンスタントに開きたいということだが、中身が問題だ。安倍改憲論は論外で、歴史修正主義として危険と考えており、全く組する気持ちはない。

岸田さんと安倍さんは違うと思うが、岸田さんは過去の負の遺産を継承しようとしている。公文書も学術会議の件も見渡す限り、安倍政権での改憲論は基本的に変わっていないと思っている。

改憲というのは、国民から「次のステージに進みたい。変えないと進めない」という現実的なニーズがあるならば、議論してもいいのだが、現在されようとしている改憲は、「自民党の党是である”改憲”のための、デタラメ議論」であり、国民にとって積極的・建設的な議論にはなり得ない。


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▼こちらの下部に分厚い164ページに及ぶPDF(A3で84頁)があるのだが、
泉代表が政調会長として編纂されたので泉さんの頭の中はこのようになっている。
というか、ヒアリングや各部会で出てきたことが全部書いてある感じです。

憲法論議の指針については150−6頁(PDFの77ー80頁)に、細かい内容が記されています。

公式HP「政権政策2021」憲法▶︎https://cdp-japan.jp/visions/policies2021/27

非常に長いので、基本姿勢以下は、見出しプラスだけ書いておきます。興味のある方は自分でリンクを開けて呼んでくださいね。

=憲法(立憲民主党「憲法議論の指針」より)基本姿勢=

憲法は、主権者である国民が国家権力の行使について統治機構のあり方を定めたうえで一定の権限 を与える。同時に、その権限の行使が国民の自由や権利を侵害することに制約を課す。

憲法に関する議 論 は 、ステレオタイプな「 護 憲 論 」「 改憲論 」によることなく 、 この立憲主義をより進化・徹底させる観点から進める 。

戦後、国民の間に定着している「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の理念を堅持する。 論理的整合性・法的安定性に欠ける恣意的・便宜的な憲法解釈の変更は認めない。

立憲主義は手段であり、その目的は個人の尊重、基本的人権の確保にある。憲法制定時には想定されていなかった社会の変化に伴い、憲法に明示的に規定されていないが、確保されるべき人権のあり方について 、議論を行う 。

上記の観点から、日本国憲法を一切改定しないという立場は採らない。立憲主義に基づき権力を制 約し、国民の権利の拡大に寄与するのであれば、憲法に限らず、関連法も含め、国民にとって真に必要 な改定を積極的に議論、検討する。

検討に際しては、憲法の条文の規定ぶりから具体的かつ不合理な支障があるか、あるいは条文に規 定がないことから具体的かつ不合理な支障があるかを重視する。すなわち、立法事実の有無を基本的視座とする。

[いわゆる安全保障法制について]
(前略)集団的自衛権の一部の行使を容認した閣議決定及び安全保障法制は、憲法違反であり、憲法によっ て制約される当事者である内閣が、みずから積み重ねてきた解釈を論理的整合性なく変更するものであ り 、立憲主義に反する

[いわゆる自衛隊加憲論について]
現行の憲法9条を残し、自衛隊を明記する規定を追加することには、以下の理由により反対する。(以下略)

[文民統制について]
文 民 統 制 ( シビリアンコントロール ) とは 、 政治と軍事を分離し、軍事に対する政治の優越を確保すること、その政治が民主主義の原則に基づいていることを基本原則とする 。国の防衛に関する事務は憲法73条にいう「他の一般行政事務」に属し、内閣は国会に対して連帯して責任を負っているので、立憲的統制の核心は国会による統制である。(以下略)

[臨時国会招集要求について]
憲法53条後段には、衆議院か参議院のいずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は その召集を決定しなければならないとされているが、期限が切 られていない 。(以下略)

[衆議院の解散について]
衆議院の解散については、内閣不信任案の可決あるいは信任案の否決の場合についての規定が69条 あるのみで、実質的な解散権が内閣にあることすら明文で規定されていない。(中略)解散は選挙で選ばれている衆議院議員を任期満了前にその任期を終わらせるものである以上、相応の理由が必要なはずで、大義なき解散は許されることではない。しかし実際には、政権は自身に都合 のよい時期に自由に解散権を行使できてしまっている。(以下略)

[国政調査権について]
(前略)一般に、国政調査権は国会の権能を有効に行使するための補助的手段であると説かれるが(いわゆる 補助的権能説)、国会の権能は立法権にとどまらず、予算審議、行政監視など広範に及び、行政国家化し た現代において、立憲主義の観点からは議会による行政統制の重要な手段である。にもかかわらず、議院内閣制の下では、議会の多数派が内閣を構成することになるので、両院において行政監視のためにこれを行使しようとした場合、多数決原理に基づき、与党が合意しない限りこの権能は発動しえないということになり、実効性に疑問がある。(以下略)
※森友問題なども関連しています。

[知る権利などについて]
基本的人権の中でも、表現の自由は特に重要な人権であるとされている。たとえば、権力の行使に行き過ぎがあったとしても、表現の自由が確保されていればそれ を是正することができるからである。(中略)しかし、表現の自由が民主主義のプロセスにとって有効に機能するためには、その前提として十分な 情報に接していることが必要である。不十分な情報や誤った情報に基づいて議論を重ねても、正しい結 論を得ることはできない。(中略)公文書管理や情報公開の在り方は、民主主義の前提となる「知る権利」を担保するものである。「知る権利」を回復、充足するため、公文書管理の在り方、電子決裁の推進等について議論を進める。

[LGBTの人権、特に同性婚と憲法24条について]
LGBTに関しては、教育の現場や職場をはじめとして、あらゆる場面での差別の解消等、人権の確保・ 確立が必要である。(中略)学説においても、同性婚は禁止されてはいないが、これを採用するかどうかは立法裁量であるという 考え方が一般的である。(中略)内実として人格的生存に不可欠な自己決定権が保障されているとの理解の下では、むしろ同性婚も憲法上の保障を受けるとの解釈も有力に主張されている。(中略)この点 、立法政策の問題ととらえるべきか、憲法上の保障のレベルの問題と捉えるべきかについて、議論を進める。(以下略)

【高等教育の無償化について】
(前略)我が国においては既に「高等教育の漸進的無償化」はすでに国内法上遵守すべ き、政 府 の 法 的 義 務 となっていると考えられ、憲法改正の対象として議 論する意義は見出しがたい 。

[国民投票について]
(前略)憲法改正は国民の「承認」によって成立するが、承認の要件である「過半数」の意義について、憲法改正国民投票法は「有効投票総数」の過半数としている。このことに関して、いかに投票率が低くても憲法改正が実現するのは問題であり「最低投票率」を導入すべきとの意見もある。(中略)憲法改正の正当性に疑義が生じないようにするのであれば、投票率を問題とするのではなく、絶対得票率について検討されるべきである。(中略)絶対得票率を定めるのであれば、憲法96条に明記することが望ましい。(中略)テレビのスポットCMやインターネッ トによる情報発信など、投票の公正さに疑義を生じさせるおそれのある課題について、現在の国民投票法の仕組みが適切かどうかについて検討を行う。(中略)一般的国民投票制度についてその意義及び必要性についての検討を行う。(以下略)

[地方自治について]
相次ぐ大規模災害やコロナ禍の経験を踏まえ、住民により近い地方自治体のほうが、実情の把握とき め細やかな救済が可能であることが再認識された。国の役割は外交、安全保障、社会保障制度やマク ロ経済政策等に限定し、住民に身近な行政は地方自治体が担う「補完性の原理」について、憲法92条「地方自治の本旨 」との関係に留意しながら議論を進める。また、国と地方の役割分担の再整理を行う中で、条例制定権や財政自主権など地方自治の基盤をな す権限に関して法律の縛りがあることが適切であるかについても、立法事実の有無を検討する。

[その他の検討事項]
立憲主義の維持・確保のため、現在の違憲審査制のあり方で十分といえるか、外国における憲法裁判所の例なども参考に検討を行う。東日本大震災、コロナ禍などの経験を踏まえ、緊急事態における国家権力の役割とその立憲的統制について 既存の法制度の改正で対処できることを念頭に置きつつ立法事実の有無について検討を行う。 (中略)精神的自由に対して 萎縮的効果をもたらし、民主主義のプロセスを毀損する具体的事例に照らし、憲法の精神にかなう国費の支出のありかた、組織・団体の自律性・専門性の尊重・確保について検討する。

日本国憲法の草案は日本人の憲法学者のグループによるもの。GHQ民政部(文民で殆どが学者業)はこれに1週間から10日程度で、検閲と微調整(対白洲次郎)を行い、戦争放棄は元外交官の幣原総理の提案、マッカーサーはこの申し出を使ってロシアと中国の言い分を諌め、天皇を救い、日本を民主統治下とした


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