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悪魔の力身につけた正義のヒーローみたいな後輩が泣いた日。【note限定記事】

その後輩。
めちゃめちゃいいやつだったから❗️

悪魔要素全然なかったんだけどね。

超頭いいわりに遊び心もあって
明らかに僕よりも優秀な教員だった。

自信家なところはあったけど
サービス精神旺盛で元気いっぱいで
甘えん坊なとこがあって
「兄ぃ、兄ぃ」って慕ってくれた彼。

そんな彼でも涙する日はあったんだ。

後輩がヒーローになった日

その日は職場の飲み会だった。

最年少の彼は幹事を任され
店に前乗りしセッティングを行い
普段の仕事同様、
全て完璧に準備してみせた。

僕たち先輩教員が到着するなり
「兄ぃ、飲み物は何にしますか?」

オーダーを確認して回り
全部暗記❗️

「食べ物も何か適当に頼んどいて~❗️」

他の先輩教員の声に
「わかりました~❗️」
と元気に答えると

店員さんを呼び、注文を伝えだした。

もうこの子は教員じゃなくて
執事やらせても完璧なんだろうなって
思わせてくれてた…。

ここまでは…。

「とりあえず、生中4つに
ウーロンハイ2つ、
カシオレ1つにウーロン茶3つ」

「マグロのカルパッチョと
シーザーサラダ2つづつと
鳥のからあげとデジルマキ
3つづつお願いします❗️」

デジルマキ⁉️

その場にいた皆の意識が
2秒間宇宙へとんだ

2秒後地球に戻ってきた数人が
一斉にツッこんだ。

「出汁(ダシ)巻きだろ❗️」

完璧だった彼は
その日から飲み会の席だけ
デジルマンと呼ばれるようになった。

仕事ができる愛されキャラ

変なあだ名つけてイジってるなんて
話題になった
教員いじめじゃないかって?

絶対違うね❗️

彼は校内でなにか起こると
デジルウィングのごとく
真っ先に駆けつけ

子どもたちに指導するときにも
デジルビームを
放っているかのような
堂々とした覇気があった。

むしろみんな
凄すぎて一目おいてた❗️

頭がいいから
デジルチョップのような
ツッコミ力も秀逸で

僕のしょーもないボケも
上手く笑いにかえてくれる
ムードメーカーだった。

僕は自分の子どもは
彼みたいな先生に
担任してもらいたいと
信頼し尊敬していた。

ヒーローの涙

いつもガハガハ笑ってる
彼が一度だけ泣いているのを
見たことがある。

全国から沢山の先生が視察に
訪れる研究発表の日

僕も他の先生たちも
そして彼も…

毎日睡眠時間を削って
遅くまで準備してきた。

しかし研究発表の
授業の直前、
彼のクラスの子どもたちの間で
ケンカが起こってしまった。

授業が始まっても
ケンカした子達は気持ちが
落ち着かなかったようで…

中々、想定した形での
授業はできなかったらしい。

自分の力が
発揮できなかったことも
あっただろうが

沢山の教員の前で
子どもたちが白い目で見られる
羽目にさせてしまったことが
悔しかったそうだ。

その夜の打ち上げの飲み屋
フロアの中にデジルマンの
姿はなかった。

彼はトイレの前で
「兄貴」というあだ名の
先輩女性教員になだめられながら
泣いていた。

あだ名通りの先輩だったから
その場は任せてそっとして
おいたけど

彼の悔し泣きする姿は
普段の姿とはあまりにも違い
いたたまれない感情が
わき起こった。

そっとして、
そのまま帰してやることも
考えたけど

僕は彼を二次会に誘った。

完全に僕のエゴだった.
何か声をかけてあげたかった。
デジルマンに戻ってほしかった。

それでもやっぱり二次会の席でも
彼は言葉数少なく落ち込んでいた。

やっぱり奴はヒーローだった

大して先輩らしいことも話せないまま
二次会が終わりそうになった時

僕は割り箸の紙袋に

「大丈夫❗️君は頑張った‼️」
と書き

「トイレ行きまーす。」と
席をたつタイミングで
彼のジャケットの
ポケットにつっこんだ。

すると戻ってくるなり
「兄ぃ❗️あざっす❗️」
そうはにかみ
彼はデジルマンに戻っていた。

翌年、僕は
モンスターペアレントと管理職の
板挟みで苦しんでいた。

「兄ぃ❗️手伝えることがあったら
言ってくださいね‼️
僕、兄ぃが頑張ってんの
知ってますから‼️」

みんなが自分のことで手一杯に
なっている学校という環境にいながら

いたずらっ子のような笑顔で
そう声をかけてくれた彼は
悪魔みたいなヒーローだった。

こんな人を気遣える教員だって
まだ学校に残ってる。

なあ?
やっぱり息子の学校に
来てくれないか?

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名前の由来

学校の現状を知っている人間が 教育について行動をおこしていかなければいけない。 子どもたちの学校とは異なる居場所を 作っていかなければいけないと活動しています。 記事を読んでいただき、 僕の思いに共感・賛同して いただけるようであれば サポートしてくださると嬉しいです。