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モノレスの創作記録2015~2018

お久しぶりです。
mono-lessです。

普段ボイスドラマの台本等、文章を趣味で書いている身でして、三年前に創作活動に復帰してからの自分の活動をまとめたくなり、なんとなく備忘録的にメモを残すことにしました。
現時点で公開されていない作品が多いので、読まれる方には「なんのこっちゃ」でしょうが、まあ、こういうことを考えて創作してる人なんだな~と思っていただけると幸いです。


①「○○(※サークル名・伏字)の『殺人』」 ボイスドラマ脚本
某サークル (2015秋)

僕が妻と別居して離婚して調停して、というプライベートで大変な時に話相手になってくれた友人がいて、彼女は僕が結婚前に主宰をしていたネット上のボイスサークルのメンバーだったんですね。意気消沈している僕に「あのサークルのメンバーでもう一回集まってみましょうよ」と言ってくれて。それで連絡の取れるメンバーに声をかけて「再始動してみる?」みたいな話に発展したんです。

で、その時に用意した台本がこれ。
復帰一発目ということで、サークル紹介を兼ねたメタフィクションはどうだろう?というアイデアからスタートして、「mono-lessが何者かに殺害されてしまい、刑事たちが捜査の一環で個性強めのサークルメンバーに聞き込みに行く」というストーリーにしました。
劇団東京サンシャインボーイズの「東京サンシャインボーイズの『罠』」という舞台のタイトルが昔から好きで、作品名はそこから頂きました。後述する「札幌アフレコカンパニーの『鰐』」というタイトルも同様です。

全員が一人二役で本人役もやったり、ふざけているようで後半にはミステリ的なサプライズもしっかり盛り込んだりして、かなり凝った作りの作品だったのですが、作業中に何人かのメンバーと連絡が取れなくなって(ネットサークルにはよくあることですが)、再始動企画は立ち消えになってしまいました。これがお蔵入りになるのはもったいなかったですね。このメンツありきの内容なだけに他で使えないし。

ただ誘ってくれたメンバーとあと一人のメンバーと僕の三人で別なサークルを立ち上げるきっかけにもなったので意味は無かったかな、と思ってます。
あと、この頃に再始動後の作品アイデアを三本用意してメンバーにプレゼンしたのですが、このうち二本は今でも良いアイデアだと思っているので、いつかなんらかの形にしたいとは思っています。


②「DAISY DAISY」 ボイスドラマ脚本・監督
東京パスティーシュ (2016年)

前述の三人で立ち上げたのが、この東京パスティーシュというサークル。サークルと言っても、月に一度スカイプにちょこっと集まってなんとなく活動してという絶対に無理はしないユルい集まりで、目標はただひとつ。「解散しない」(笑)

このサークルの作品の作り方は、僕が二人の女性メンバーのリクエストに応えるという形をとっています。僕は元々シナリオ公募畑の人間だったせいか、お題を出されてそれに応えるという、いわゆる「規定演技」が楽しかったりするんですね。お題を出した人に対して「そのお題でこう来るとは思わなかったでしょ?」というのが好きなのです。あとサークルの人数の都合上、二人芝居限定という縛りもあってそこもなかなかハードルが高いんですが、それもまた挑戦のしがいがあって面白いんですよ。
で、この時のリクエストは「恋愛モノがいいです!」「二人でイチャコラしたい」というもので、「うーん、そういうの得意じゃないんだけどなぁ。まぁ、聞いちゃったからには書くかぁ……」って(笑)。

友人間でも部活動でもいいんですけど、「ある同じグループに所属している男女が付き合うことになって、それをグループのメンバー達にいつどういう形で報告しようか」みたいなシチュエーションってあるじゃないですか。あれを書きたいなぁ、と思って。
それで喫茶店を舞台に、付き合いたての二人の男女が「周りの皆になんて言おうか」と相談するという状況を設定しました。ただ話が進むに連れて不穏な言葉が飛び交い始めて、どうやら二人が普通のカップルじゃなくて戦隊ヒーローのメンバーと悪の組織の女幹部だとわかってくる、というストーリー。
タイトルは僕の大好きな宅録ユニット・microstarの曲名から。

編集もとっくに済んで音源としては出来上がっているんだけど、特に誰にも公開せずに三人で楽しんでいるという不健康な状況です。でもまあ、もう二年前の作品だし、それでいいかな。


③「憧れのセブンティーンバスター」 作詞
もりしげ裕さんと共作 (2017年1月)

2016年の夏頃から、札幌アフレコカンパニーというサークルに所属させてもらうことになって、そのメンバー繋がりでもりしげ裕(通称モリンガー)さんと知り合ったんです。最初はツイッターでやり取りするだけだったんですが、まあ、ツイートを読むだけで「凄まじい熱量を持っている人だ」とわかるくらいキャラが際立っている人で接近せずにはいられず(笑)。

モリンガーさんは歌唱力抜群の歌い手さんでもあるんですが、ご自身で作詞をされたこともあるようで、この時もセブンティーンアイスの歌を自作してサビの歌詞をツイートしてたんですよね。で、僕はそれに乗っかって小一時間でサビ以外の部分を冗談で書いてリプしてみたら、とても喜んでもらえたんです。
で、そこに、るうむさんというモリンガーさんの知り合いの方がメロディを付けるという事態に発展して、この三人が後に「プレイルーム四畳半」という、作詞作曲サークルになっていくという。

あと、歌詞に「時間厳守のゲーム」というフレーズが出てくるんですが、これはCymbalsの曲に出てくる歌詞であるということに後から気づくという……無意識に剽窃してしまう恐ろしさに身を引き締めた事件でしたね(笑)。気をつけようと思いました。


④「春のイオンに抱かれたい」 作詞
プレイルーム四畳半 (2017年2月)

作詞作曲遊びに味をしめた三人がプレイルーム四畳半というチームを結成したきっかけの作品。
「憧れの~」のツイートからひと月くらいで、「次はデュエットのラブソングが良い」とるうむさんが言ったんだっけな?で先述通り、お題が出たら予想を裏切りたい私なので、デュエットのラブソングで歌詞のテーマは「花粉症」っていう。出張中の移動時間だけで最後まで完成させた記憶があります。
この時に歌詞世界を「春」に設定したので、ここから先はしばらくデビューしたてのフジファブリックのように「四季」というテーマで作詞を続けました。


⑤「青空と餃子は君のもの」 作詞
プレイルーム四畳半 (2017年5月)

というわけで夏の歌。
プレイルーム四畳半は、ある日突然るうむさんから突然無茶ブリでテーマが届いて、そこから曲を作るというスタイル。この時は、すでにこのタイトルが決まっててそこから発展させるという進め方でした。
タイトルが割とふざけてるんで、あえてそこに乗っかりすぎずに、歌謡曲にありがちな「亡くなった恋人に思いを馳せる」という手垢のついたテーマに手を出して、ギャップの面白さを狙ってみました。


⑥「札幌アフレコカンパニーの『鰐』」 ボイスドラマ脚本・監督
札幌アフレコカンパニー (2017年夏~2018年春)

札幌アフレコカンパニー(以下、SACo.)というサークルに所属して半年くらいで、「そろそろモノさんも台本を……」という周囲のムードを勝手に感じ始めて書きました(笑)。

最初はオリジナルのミステリー作品ということでアイデアを詰めて、具体的なところまで考えていたんですけど、細かく詰めてたら話が膨らみすぎちゃって、ボイスドラマの長さで表現できるものじゃなくなってしまったんです(これも良いネタだと思うので、どこか別の形で発表したいな、とは考えています)。それで「どうしようかな」と考えた結果、SACo.は原作付きの作品も多いので自分もそれにトライしてみることにしました。ただ、原作をそのまま台本に起こすだけで満足できる性分じゃないので、こっちで好き勝手アレンジしても怒られそうにないものにしよう、と。

で、本棚を眺めて思い出したのがドストエフスキーの『鰐』という短編。「ワニに食べられた男が腹の中で暮らし始める」というボイスドラマにぴったりなイマジネイティブな設定もさることながら、ボイスドラマで赤毛モノをやるというのも珍しさがあって良い。何よりも本作は有名じゃない上に未完。これは好き勝手にやれるぞ~と喜び勇んで台本を書きはじめました。

以前、SACo.メンバーのあそらさんとbatuさんが作った『鳩歌』というコントCDを聴いたのですが、二人の作った作品にはフィジカルな笑いが多くて、会話の内容やシチュエーションで笑わせるような頭でっかちな作品しか書けない自分にはとても刺激になった部分があったんです。
だから「もしSACo.で台本を書くのであれば、この二人をメインにしたコントシーンを書こう」という気持ちもあったんですよね。原作の「鰐」はシュールな会話を楽しむ風刺コメディなんですが、そこにワニから男を引っ張り出すというフィジカルなコント部分を挿入するのはどうだろうか、と。相性も良さそうな気がしましたし。

そんなこんなでプロットを練り始めたものの、どうもテーマ性が希薄で「長さに匹敵する重みがなくてイマイチだなぁ」と悩んでは何度も書き直す始末。ほとほと困っていたのですが、ある日熱を出して会社を休んだことがあって、その時に布団の中でぼんやり聴いたラジオで「依存」の話をしていたんです。そこから気になって、依存する心理について文献を読んだりしてどんどん固まっていった。だからコンセプトはドストエフスキー×コント×テレフォン人生相談(笑)。原作付きの作品ではあるのですが、もはやここまで違うとオリジナルだろうな、とは思ってます。

台本を書く時間はたっぷりあったので細かい部分にも結構こだわりました。
例えば、僕の中では登場人物のある二人を心理的な双子として描いていて、別なシーンで同じセリフをしゃべらせることでそれを表したりしてるんですけど、こういう隠し味的な(悪く言えば誰も気づかないような)工夫も結構入れたり。あと、だいたい各話を同じ分量にして、かつ、連ドラのように次回に引っ張れるような切りどころを調節したりとか。
余談ですが、個人的に気に入っているセリフがあって、それがbatuさん演じるイワンの言う「食べられたから疲れちゃった」。こんなセリフ、長い創作の歴史の中でも他に書いた人はいないんじゃないかな?と(笑)。どんなに小さくとも誰も思いついたことの無いものを創り出すというのは創作における大きな喜びの一つ。「このセリフなら他の作品でも見たことあるよ」という方、どうか心の中にしまっておいてください。真実は時に人を傷つけます。

配役を決める時にかなり波紋を呼んだ作品でもありました。SACo.では一度いろんな配役パターンを試してみてから本番の配役を決めるんですけど、僕が決定した配役が皆の予想したものと全然違ってみたいで「えーっ!?」という声の連続。収録の最中も「なんでこんな役をあてたんですか……」という嘆きがちらほら聞こえてきて、「慣れない役をたくさんやらせてしまって、だいぶ負担をかけてしまったなぁ。でも、決めちゃったからやってね☆」と思いました(笑)。
特に主役のあそらさんとその友人役のbatuさんは「この自分たちの配役は逆だと思う」と強く言っていたので、僕も「え、別におかしくないよね?」って他メンバーに訊きまわって対抗しました(笑)。いまだにお二人は納得されてないのかもしれないけど、僕としてはあの配役に狂いはなかったなと心から思っています。クライマックスのお二人の芝居は最高でした。

全部で90分くらいの長編ゆえ編集は大変でしたが、とても楽しかったですね。ネットサークルは各人から集めたセリフを貼り合わせるところから始めないといけないけど、スタジオ収録はセリフの間をエディットするだけなのでとても楽。効果音も単に有り物をそのまま使うんじゃなくて、いろんな音を隠し味的にミックスしたものを自分で作ったりして、そこも結構こだわっています。

本作はサークルのサイトで公開されているので良ければ聴いてみてください。
http://saco1234.seesaa.net/article/460138185.html


⑦「光につつまれ眠る人」 作詞
プレイルーム四畳半 (2017年9月)

この時にるうむさんから届いたお題は「肉まん」。「餃子」に引き続き中華料理っていう(笑)。
四畳半のこれまでの三作がどれも恋愛の歌で、「そろそろ違う目線の歌詞を書いてみたいな」という気持ちになっていたんですよね。それで次は平凡な日常風景を切り取った歌にしようと思ってて。

そういう理由で、夜のコンビニで肉まんを売ってるアルバイトの目線を想像して歌詞を書いてみました。夜勤なので寝る時間は朝方。なのでタイトルが「光につつまれ眠る人」。我ながら結構良いタイトルだと思ってます。


⑧「ファンダメンタル」 ボイスドラマ脚本・監督
東京パスティーシュ (2018年夏~)

とにかく台本が難産だった作品。

前作の『DAISY DAISY』の編集が終わって、メンバーに次はどんなのがいいか訊いたら「ホラーとかどうですか?」と言われたんですよね。それで最初に考えたのは「悪魔崇拝はどうだろう」と。
悪魔崇拝って海外のホラー作品にはよく題材として取り上げられるんですけど、宗教観が違うせいか日本では少ないなぁ、と前々から思っていたんです。なので、あえて日本的な光景の中に悪魔崇拝を出したら面白いんじゃないかな?って。

それで書きはじめたら、これがまぁ進まなくて(笑)。
まずボイスドラマでホラーって結構難しいんですよ。ボイスドラマって音声だけだから、どうしても細かい部分を言葉で説明しなきゃいけないんですけど、おかしな状況をいちいちセリフで説明していたら怖くなくなっちゃう。
それならキャラとは別にナレーション役を入れようか、とも思うんですけど、うちは声優さんが二人しかいないので、ナレーションに一人使っちゃったら実質独り芝居になってしまう。
じゃあモノローグ(「その時、私は見た」みたいな登場人物のナレーション)で光景を説明するのはどうだ?となると、「その目線で語るってことは、どんなに恐ろしい目に遭ってもこの人は死なないんだ」ってリスナーにはわかってしまって、ホラーとしての求心力が薄まってしまう。
そんなこんなで半年近く考えたんですけど、「ここで作れる作品ではない」という結論に達してボツに。アイデア部分から作り直しました。

よくSFで同じ時間を何度も繰り返す「タイムループもの」ってあるじゃないですか。大抵、その繰り返しから脱出しようと主人公が奮闘するんですけど、「行動ができないくらい身体が拘束された状態で、目の前の状況だけ繰り返し始めたら気が狂うかもしれないな」と、ふと思って。その着想を得てからは一気に書けました。

主人公が事故で身体を動かせない程の怪我を追ってしまって、その病室に知り合いがお見舞いにやってくるんですけど、その人が延々同じ行動を繰り返し始めるんです。最初は「ああ、タイムループかな」と思わせといて、話が進むとどうやらその人が主人公に遺恨を抱いていることがわかってくる。本当にSF的な異常現象が起こっているのか、それとも繰り返しは実は演技で何らかの悪意を隠しているのか、さて?という話。

書き上げてみると、ホラーなのかSFなのかミステリーなのかサスペンスなのかよくわからない話が出来上がって、「自分なりに新しい二人芝居の脚本が出来たな」という手ごたえを感じました。もちろん完璧と言える内容ではないかもしれませんが、20分程度に収まる分量の中でよくここまでまとめたという自負もあります。
登場人物の名前と設定、タイトルは悪魔崇拝案の時から流用。タイトルはなんとなくの仮タイトルがここまで来てしまっているのですが、妙に座りがいいのでおそらく直しません。僕は仮タイトルを流れで本タイトルにしてしまうことが結構あるんです。

ちなみにこの作品、実はまだのんびりと音声録りの最中で完成にはいたっていません。出来上がったらどこかで公開するかもしれないです。


⑨「二日目のカレー」 作詞
プレイルーム四畳半 (2018年8月)

るうむさんのお題はまんま「二日目のカレー」。
四畳半は基本的に曲が後付けなので、いつも字数は揃えるもののリズムは気にせずに歌詞を書いているんですけど、次はもうちょっと言葉のリズムを主眼においた歌詞を書きたいなと思っていたんです。それであえて言葉遊びみたいな歌詞にしてみました。
たぶん他の二人は今までと違う雰囲気のものが出てきたので驚いたんじゃないかな?(笑)


⑩「卒業(笑)」 ボイスドラマ脚本・監督
札幌アフレコカンパニー (2018年夏~)

自分のギアをニュートラルに入れるとどういう作品が出来るかという好例。悪い言い方をすると「手癖」で書いた作品です。

初めてスネークマン・ショーのラジオコントを聴いた時に、「面白い」と思うのと同時に「これはきっと自分と同じ様なセンスの人が作った台本だ」と感じました(もちろん自分の台本よりもずっと洗練されてはいるんですが)。だからというわけではありませんが、考えずに素の部分を出した台本には、スネークマン・ショーの香りがほのかに漂う気がします(笑)

こういう短いボイスコントは前のサークルの時にたくさん書いてはお蔵入りになっているのですが、しばらく書いていなかったのでとても楽しかったです。こういうものをポッと出せるSACo.があるのはありがたいな、と思いました。メンバーのお芝居もとても面白かった。
編集はこれからですが、たぶん遠くないうちに公開されると思います。


……というのがここ三年程の僕の創作記録でした。読んでも特に感想はないかもしれませんが、こんな感じで日々創作活動をしています。
いま現在抱えているのは、
・東京パスティーシュ「ファンダメンタル」音声チェック
・SACo.「卒業(笑)」編集
・SACo.次回作台本執筆
あと、小説の書くアイデアも進んでいて、今後はこれも力を入れたいなぁと思っています。
来年も素敵な創作ライフを送れますように。

読んでいただきありがとうございました。

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