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水彩絵の具で遊ぶ話

小学生の頃、先生は言った。「混色すると色がにごるよ」

つまりたくさん色を混ぜなければいいと思うんだけど、その言葉がずっと頭にこびりついていた。混色することに少し苦手意識を抱いていた。

だから大人になって水彩をもう一度始めたとき、自分でもばかじゃないのと思うくらい何本も色を買った。最初から色を用意しておけば、たくさん混色しなくてもいいかもという安易な発想だった。


水彩を再開して3年くらいたった先日のこと、Twitterで「3色で絵を描いてみよう」といった趣旨の企画を見かけた。3色は手持ちの絵の具からくじ引きでランダムに決めて、一枚の絵を制作する。よほど巧みなモチーフか、己のくじ運がよくない限り、絶対に混色をする必要が出てくる。

ちょうど仕事絵も納品の目途が立っていたので、ごくごく軽い気持ちで――黙々と線画を作っていたら、あっという間に6枚になっていた。

いつもはホルベインという絵の具を使っているけれど、この日はテンションが高かったので買ったばかりのウィンザー&ニュートン48色を使ってみることにした。リアルタイムでの企画参加、新しい絵の具、初めての組み合わせ(混色)というだけでわくわくする。


結論から言うと、とても楽しかった。単色でどれだけ美しかろうと、うわっこれどうするんだと言うしかないような3つの色が来たときは頭を抱えたけれど、混色をするだけで色の幅がうんと増えた。あたりまえのことだけど、混色を遠ざけていた私にとっては驚きだった。


当然、くじ引きで色の系統が偏ることもある。

たとえばこんな風に。

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こういうときはコントラストで遊ぶしかない(と個人的に思っている)ので、思いっきりメリハリをつけた。彩度が低いのも幸いしたと思う。


この3色縛りで、休日はまるっと消えた。もちろん、費やしたかいはあったと思う。

やる気と根気さえあれば混色のクロス表を作ればいいのだろうけど、私にはどうもそこまでの律義さはない。ので、ある程度は混色の傾向を覚えておく必要がある。混色に失敗すると、その絵具はまるっと無駄になってしまう可能性があるので。

混色はこわくて、それ以上に楽しい。


こちらは3色縛りの作品6点です。スマホ写真なので微妙に端が流れているけれど、混色の参考にどうぞ。

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