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京都の夜と庭園めぐりを楽しむ 2019-Day#04

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朝9時発の京都方面行きの電車に乗るため、ホテルで朝食を手早くすませたボクは、手早く荷物をまとめチェックアウトした。ホテルの朝食は平均的な価格よりもかなり安めの500円だったこともあり、パンとコーヒーくらいだろうと過度の期待はしていなかったが、種類の豊富なビュッフェ形式で思いのほか味がよかったこともあり、総じてホテルの満足度は高いものとなった。

この日は朝から小雨が降っていた。
旅行中はなるべく荷物を増やしたくないという理由もあるが、どちらかと言うと普段から折りたたみ傘を持ち歩く習慣がないため傘は持っていなかった。降り続く雨を窓から見ながらどうしたものかと食事中ぼんやりと考えていた。ホテルから最寄りのコンビニは距離があったため、ホテルから駅までの距離は濡れるしかないかなと思っていたら、運良く雨脚が弱ったので小走りで駅に向かう。

駅の改札で切符に4回目の押印をしてもらい、まずは京都を目指した。
兵庫県北部の山間を電車はゆっくりと走る。車窓からは雨のためか山から水蒸気があがっていた。薄暗い灰色の曇り空の下、木々の緑と白い水蒸気の景色は配色のバランスが良いためボクは好きだった。
ボクは自分が知らない場所に行くことがとても好きだが、思えばそれは自分が知らない景色の配色を探しに行っているのかもしれない。

4日目の日程を特に考えていなかったため、電車でゆられながらどうしようかと考えることにした。無難に京都からなるべく東京へ移動するべきか、それとも夏に自転車で訪れたときにはできなかった京都観光をするべきかか……。ただ京都から東京まではあまり面白い電車旅行ではないため、最悪大枚を叩いてでも夜に新幹線で東京に行くことを頭のすみで考えながら、ぼんやりと楽天トラベルアプリで京都のホテルを眺めていた。価格順で見ていると低価格なドミトリーホテルが並んでいる中、普段は6000円以上するアパホテルが税込みで4100円で予約可能と表示されていた。日曜を移動距離を長くすると旅疲れを残したまま仕事始まりとなりそうだが、ただでさえつまらないJR東海の鈍行旅を夜の暗闇のなか進むのは苦行でしかない。今日は京都でおばんざいを食べて、明日早めに出て移動すれば夕方には東京へ戻れると計算し、ボクはアパホテルの予約ボタンを押した。

京都で銀閣寺を観光をする

京都には昼前に到着したが、アパホテルのチェックインが15時からと書かれていたため荷物を置いてからの観光は諦めた。
そういえば夜はおばんざいと決めていたが、昼に何を食べるかを考えていなかったが、しかしやはり京都といえば天下一品総本店だろうと即決し駅前のターミナルからバスに乗り込んだ。
バスはほとんど各停のような停まり方を繰り返していたためか天下一品総本店の最寄りバス停「一乗寺木ノ本町」には結局1時間以上掛かった。
おまけに店前には行列ができていたため並ぶことを余儀なくされる。
挙句の果てには以前食べて感動した「回鍋肉定食」は正月期間はやっていないと言われてしょんぼりだった。

結局天下一品を出たのは14時くらいだった。
寺院が17時で閉まるため、移動に時間がかかるところは避けなければいけない。どこへ行くべきかと悩んだが、行きがけのバスで銀閣寺前を通っていたことを思い出し、美の巨人たちでも庭園が紹介されていたこととが決め手となり銀閣寺に向かうことにした。

「一乗寺木ノ本町」からはバスで数停だったこともありバスを待つより歩いたほうが早いだろうと思ったが、思いの外距離があった。
結局ここでも予想以上に到着に時間がかかった。

銀閣寺までの道は店が多くとても楽しかった。ちなみに歩いている人は、外国人旅行者が9割くらいだった。

銀閣寺の入り口で拝観料を払い中にはいる。
小学校の修学旅行でき訪れて以来だが、そもそも銀閣寺の景色はほとんど覚えていなかった。
確かに有名な建物も素晴らしいが、美の巨人たちで紹介されていたように庭園づくりが素晴らしかった。

京都の庭園巡りをいつかじっくりとしたいと改めて思わせる美しさで、とても充実した時間を過ごすことができた。
あいにくの曇り空で雨が落ちることもあったが、ボクは京都に梅雨の時期に来たいと思うほどに、雨と庭園が好きなのでむしろ願ったり叶ったりだ。

銀閣寺を出たあとは、ちょうど今回の旅で読み進めていた森見登美彦の走れメロスに出てきた風景がこれかーと哲学の道を歩きながら南下した。
ぶらぶらと周りを見ながら歩いているといつのまにか16時近くとなっていたため、バス停を探し京都駅を目指した。

しかし乗ったバスは京都駅には向かっておらず、しかたなく四条河原町で降り、地下鉄で京都駅に戻ったあと、アパホテルを目指した。
ホテルは昨日のホテルと比べると手狭だったが、ビジネスホテルのこの詰め込まれたような部屋がボクは好きだ。月に一度はビジネスホテルに泊まりたいと思うほどで、なんとも説明しづらい感情だ。一度これをTwitterでつぶやいたら知らない人が数人Favしていたので、一定数そういう気持ちを共感してくれる人がいるようだ。

そしておばんざい屋へ

アパホテルは部屋にユニットバスはあるが、競合他社との差別化として力を入れているのが「屋上階の設置された大浴場」というのをテレビで見ていたのでまずはそちらに向かった。
コインランドリーに着替えを放り込み浴室に入ると、想像しているよりも立派な風呂施設が広がっていた。とくに露天風呂は上を見ると夜空が見えてよかった。(横は普通のビルだったが…)
意外とビジネスホテルは汚れを落とすことだけが目的のようなユニットバスが当たり前だが、アパホテルのように大浴場があるホテルはゆっくりと足を伸ばして入浴できるためなのか疲れの取れ方が一味違い、これは思いのほか理にかなった設備なのだなと感じた。

入浴後はおばんざい屋を探す。しかし人気店は一人の客を相手にしてくれだろうかと少し不安になりながら、まずは行ってから考えようと地図を頼りに店を目指した。

お邪魔したのは「太郎屋」。
レビューで一人でも入れましたとあったので、こっそりと暖簾越しに店内を覗いてみたら、カウンターに一人のお客さんがいたため決心して入ることにした。

価格はお世辞にも安くはなかったが、高いというほどでもなくいい塩梅の値段設定だった。
まずはビールといくつかの料理を注文する。
メニューに見慣れない物が多く並んでいたのでやや困惑した。万願寺とうがらしってなんだろう…法連草ってなんだ…と思いながらいると料理がでてきた。

どの料理もしっかりと味がしみていて、久しぶりの関西の味を堪能した。
おでんの盛り合わせは、かなり薄味だったが美味しかった。
個人的には好物でもある揚げ出し豆腐がとても美味しかった。
西京焼きも美味しかったのだが、これはまた記憶にある味シリーズだが、東京で食べた宅配弁当の西京焼きを超える味ではなかった。
総じてとても満足できたことと、やっと旅の醍醐味である旅先の料理を楽しむことができたという達成感もあり、気持ちよくホテルまでの道を歩いて帰った。

さようなら今年の旅

次の日はひたすら乗り換えては移動の繰り返し。
わかりきっていたが、それでも電車では座れることが多かったのは助かった。

ただやはり体は疲れ果てていたようでフラフラしながら自宅に戻ると倒れたように寝床に入りそのまま寝てしまった。

今年の旅行は移動距離においても過去で一番長いものとなったが、思い出に残る景色が多くとても印象に残る旅だった…。

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