物書き志望オタクの日記①

 アニメ、ゲーム、マンガ、ライトノベル。

 それは子供の趣味であり、いつか大人になったら自分も飽きて止めるだろう。そんなことを思っていた現実的な人格はいつの日までだったか、気づけば最早、社会人一歩手前。飽きるどころかハマリにハマッて、挙句憧れ、こうして物書きの真似事をしていたりする。

 青年アグナはそんな悲しい存在だったとさ、まる。

 などと書き出してみるが、とりまnoteとかいうオサレなサイトを見つけたので文章が廃らぬよう短い時間で書けそうな日々のことを日記的感じで書いてみようと思い立ったこの日。継続は力なり。なんてね。

 さて、記念すべき一回目は何を書こうと思ったとき、真っ先に出るのはやはり自分のことか。

 日記といっても日々は恐ろしいほどの無情さで何も変わらず、変わる事は精々手元の作品ぐらい。ならば、せっかくだから趣味語りでもしよう。

 理想は同好の士を見つけることで。

 そんなこんなの第一回。私と言うぼっちな趣味人が世間の目が未だ冷たいオタクと言う存在に転生したきっかけでも語ろうか。

 仮にもオタクというからにはきっかけとなった作品がある。某有名な運命の伝奇ソシャゲの元ネタに習うなら運命の出会いと言う奴だ。

 その名を『ソードアート・オンライン』

 今時、ライトな層でも誰もが知るほどの有名作品。IT技術の発展目覚しい昨今において現実化するのではとも思われる仮想世界のゲームを舞台に繰り広げられるSFライトノベルである。

 最近は主人公をイキリトだとかネタにし、何故か良くある俺TUEEE小説だと馬鹿にされることが多いと偏見するが、自分にとってはオタクとなったきっかけの作品と言うことで思い入れは深い。

 出会いはそれこそ運命のような偶発的なものだった。

 小学生のある日。私は母親の買い物の連れ添いで近くの商業施設を訪れた際、母親に立ち寄った本屋で「好きな本でも買う?」と言われた。

 私は昔から物語が好きだった。幼少期は祖父母の家に泊まるたび、日本昔話の語り聞かせを乞うたし、アンパンマンから始まり仮面ライダーやら、少女向けのプリキュアまで、ジャンルを問わず物語が好きだった。

 小学生も半ば、そろそろ文字も多く読めるようになり、友人と遊ぶのと同じぐらいに図書館通いも日課になりつつあった私は、是非も無く頷く。そろそろ自分でも本を手にしようと、というか本が読みたいと深く考えず頷いた記憶がある。

 そのときのマイブームは絵本とマンガだ。

 前者は確か「11ぴきのねこ」とかいう複数の猫が力を合わせて何かに取り込むシリーズ絵本。後者は「かいけつゾロリ」というアニメ化も相成った同世代の人ならば恐らく聞いたことがあるだろう有名マンガだ。

 そういうわけで訪れるいざ、子供向けマンガコーナーへ……となるまえに店に入るなり横向けば色々な絵が犇くマンガコーナーが目に付く。

 小学生も半ばな私だったが、友達とはゲーム三昧か外で走るか、引越し直後で両親は共働きで殆ど話すことも無く、保育園通いの弟がいることもあって家にいることが多く、ともかく情報収集能力に欠けていた。

 だから有名なジャンプなんて知らないし、バトル系など仮面ライダーや戦隊ものにプリキュアが精々で、唯一、アニメポケモンの後に始まるナルトや仮面ライダーらと同じ朝方に放送していたワンピースなどぐらいが少年漫画の最低知識だった(尚、漫画連載誌ジャンプを知らないのでナルトもワンピースもアニメとして知ったいた。コミックと知るのは二年後)

 とにもかくにもカッコいい、可愛い絵の群体を前にして誘蛾灯に誘われるように無垢な私は足を向ける。そして、一番についたのは本棚に並べられているジャンルや出版社ごとの商品棚ではなく、コーナーの頭。机の上に並べられた話題となっている本たちの積み上げられた場所だった。

 見慣れない本たちの中、ふと、一冊の本が目に付く。

 亜麻色の髪を持った騎士然とした少女と黒い衣服に身を纏う少年、画風は絵本や子供向けマンガのそれと異なり、綺麗だった。

 加えて今まで手に取った本の中でも随一の小ささ。俗に言う文庫サイズという奴である。言わずもがな、それこそが私のオタク街道原点にして第一の出会い……「ソードアート・オンライン」である。


 「ソードアート・オンライン」──知らない人のために一応、簡単に概要を書こうと思う。読んだこと無い人で興味を持ったら是非読んでもらいたい。

 ジャンルはいわゆるラノベ、ライトノベルという小説だ。キャラクター小説の類であり、字の文は一人称であることが多く、また字の文よりセリフ多めで、挿絵がところどころに配置してあるのが特徴である。

 では中身だが、まずタイトルを捲るとカラー付きの絵が何枚か。これもラノベの特徴で物語上、起こる出来事を本の頭で絵に書き出したものが、マンガチックに閲覧でき、キャラクターの容姿や展開されるだろう物語が何となく思い描ける。

 その絵の内容だが、ネタバレを防ぐため主観の感想だけ語らせてもらう。ぶっちゃけ個人の抽象的な感想なので読み飛ばしても構わない。

 ・可愛い女の子の横顔絵がある。

 ・その可愛い女の子と本の表紙にいた黒い服の少年が何処かの店のような場所で出会ってる。

 ・殺すとか物騒なことを言ってる可愛い女の子と似た騎士然とした男が黒い服の少年と対峙している。

 ・いかにも偉そうな男が椅子に座してこちらを見ている。

 ・見た瞬間、ページを反射的に閉じそうな小学四年生にはやや過激な一枚目二枚目と映っていた女の子の下着姿が二つのページに渡って描かれている。

 ・空に浮かぶ都市だがなんだかの絵。

 大体こんな感じ。因みに子供の頃に思った感想をうる覚えで書いたものである。

 物語の内容としては所謂、ゲームの世界で繰り広げられる群像劇。ゲームの仮想世界に入り込んだ主人公たちが、真意不明のゲームマスターの手によりゲームの中に囚われ、挙句、ゲーム内の死=現実の死となってしまったデスゲームという過酷な世界で、現実世界への帰還を目標で攻略していく……簡単な概要としてはそんな話。

 さて、話を戻そう。

 巻頭イラストにも目を通し、いよいよ一ページ目を捲る瞬間。本編頭には「これはゲームであっても遊びではない」と何やら意味深な一文。

 ではページを捲れば書かれていたのは文字である。

 ……いや、ラノベなんだから当然でしょとは知る人の感想。ですよね、とは先ほど私が説明した文に眼を通した人の感想。

 一様に私の言っていることに対して「は?」という感想だろうが、これであっている。何せ、当時の私は表紙に絵が描かれているからてっきりマンガの類であろうと手を取ったのだから。実際、捲って何枚かはカラーのイラストページだったし、当時の私がラノベなんてものを知る余地もなし。

 こうして私はようやく事態を把握する。

 「なるほど、これは小説と言う奴か」と。

 絵本やマンガは読んだことがあるが、難しそうな文字がずらっと並んでいる私は当然、小説など読んだことない。

 ここでもし万が一に、私が文字に嫌気を覚え、ページを閉じていれば恐らく私のオタクへの未来は潰えていたはずだ。ラノベなんてものを知る余地も無く、せいぜい任天堂のゲームで楽しむ程度、さかな君に憧れていた当時の私はその夢に邁進していたと思われる。

 だが、その日の私はどういうわけか気づけば文字を読んでいた。いくつか読めない漢字もあったはずなのに、読んで、目を通して……気づけば本編に差し掛かる前、まだ全容を把握していないにも関わらず母親に強請っていた「これが欲しい」、と。

 我ながら何故、そういったか何を考えていったかは残念ながら覚えていない。多分、未知のものへの興味か単純に表紙の絵に釣られたか……だと思うが今の私にその日の私の真意は分からない。

 ドラマチックに大仰にいうなら「その日、運命に出会った」とでも言うべきか。ああ、この一文が有名な某運命の作品に関してはまたの機会に語りたいと思う。この作品もこの作品で、私を「ノベルゲー」というジャンルへ叩き落した一つのきっかけ故に。

 ……で、買ってもらった「ソードアート・オンライン」。さっそく帰りの車の中で目を通す。

 実のところ、その時はそこまでしっかり文を読んだと記憶していない。はっきりと字の文にまで目を通し、概要を把握したのは辞書片手に呼んだ後日。その時はセリフや読める程度の字の文に目を通して雰囲気だけ感じ取っていた。

 そんなフワフワした読み方で私は何とその日の内に読破した。小説を今まで目にしても手に取ってこなかった私にしては偉業である。

 しかしそれもそのはず、初めて読んだ「ソードアート・オンライン」、否、ライトノベルと言うジャンルに私は子供ながらに感動していた。

 文字だけで、こういった作品が書けるのかと。

 アニメ、マンガは毎週欠かさず見る程度には好きで、NHKの昔話や童話すら、好んで見ていた私。空想的な、マンガチック、アニメチックなシナリオはジャンル問わずして好きな傾向にあったが、空想世界を文字だけで創造するライトノベルはもう衝撃そのものだった気がする。

 後日、使い慣れない無用の長物と化していた勉強用の漢字字典を態々手にとって解読したのもその衝撃の大きさゆえだろう。

 把握した内容も新鮮極まりない。ゲームの世界、剣を振るい生きようともがく登場人物たち。個性あるキャラクター。後は縁の無かった恋愛に関する話などなど。

 買った一巻を何度も何度も読み直し……気づけばどっぷりハマッていた。母親が言わずもがな持間を買ってくるほどに。まあ仕事で家を空けることが多かった母親が何が欲しいと聞くたび「ソードアート・オンライン」の続きを強請っていれば、優しい母としてはそうなるだろうが。

 ともかく「ソードアート・オンライン」を、ひいてはライトノベルというジャンルを知った私は最初の半年はただただ「ソードアート・オンライン」を読み漁っていた。既刊を全て手に入れた後も、何度も読み返していた。

 私のオタク化第一歩、あえてタイトルのようにするならば「ライトノベル編」といえるものは正しく「ソードアート・オンライン」から始まったのだ────。


 以上が、私の第一歩目のお話である。人は誰しも物事に対してきっかけというものを持つが、ことオタク化、ライトノベルというジャンルを知ったきっかけは私の場合、店頭で見かけ購入し、ハマッた「ソードアート・オンライン」にあると分かってもらえただろうか。

 ここまで付き合ってくれた人がいるならどうだろう、貴方のきっかけは何だっただろうか。まあ、とにもかくにもこれにて一回目記念のオタク化きっかけ話はこれにて終ということで。

 因みに「ソードアート・オンライン」は青年アグナとなった今でも集めていたりする。好きなキャラクターは「主人公・キリト」「シリーズラスボス・茅場晶彦」、「原作七巻の中心人物・ユウキ」「デスゲーム内で殺人ギルドの首魁を務めた悪役・PoH」。基本的に好きな作品で嫌うキャラが少ない傾向にある私だが、とりわけこの四人に関しては作品内でも随一に好きといえる。同士が居たらよろしく。何なら語り合いたいぐらいだ。

 では余談も過ぎて、note内記念すべき初書きはこれにて本当に終わり。日記と言うかエッセイ風味になったが、今後もこんな感じで書いていく予定なので興味がある人はよろしくしてくだされ。ではでは。

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