ジャイアントカプリコ

 以前、さる人からグリコのジャイアントカプリコ(あるいはその類似のお菓子)はまだアイスクリーム、ソフトクリームが高価だった頃に、その廉価版として作られたと聞いた。

 さもありなんであるが、鉄道車両にもこれに似た例がある。
 まだステンレス車体の車両が高価だった頃に、ステンレスを素材として使わず、鋼製車体をスポット溶接で組み上げ、コルゲート板を配した車両が生まれた。
 定山渓鉄道2300形、東急玉川線150形、東急車両(工場内の入れ換え用)101形である。

 しかし、この構造の車両はそれ以上に普及しなかった。定山渓2300がうまくいけば、他の鉄道で採用されていたかも知れないが、この車両、いくら寒冷地向けとはいえ、窓が固定でエアコンもなく(ファンデリアはあったらしい)、気持ちが悪くなった人がいると聞く。
 そういえば固定窓に見えても上3分の1が内側に倒れるとか、なんとしても開く窓があるように作られている車両があるが、この辺のフィードバックがあるのかも知れない。
 JR東日本の209系は固定窓から、二段式で上段が下降する窓に改造されているが、歴史は繰り返すみたいな印象だ。

 東急車両101の方は東急7000そっくりだったが、屋根に旧型国電みたいなライトが付いていた。
 地方私鉄向けの旧型車両の更新車体として売り込めばイケる存在だったかも知れないが、残念ながらそれはなく、今や東急7000の中古のホンモノが各地で使われる時代である。

 富山地方鉄道には日本車両で作られた、国鉄モハ73系更新車(奇しくも末期は富山港線で使われた)を思わせる切り妻の新しい車体の通勤車両がいて(台車は中古)、これも一両だけだった。ちょっと早すぎたのかも知れない。

 イコライザー台車(当然釣り掛け駆動)にコルゲート付車体の地方都市周辺用通勤車両の活躍は、架空鉄道で想像するより他に無い。小林信夫さんが銀の屋根にすれば防熱効果があると書いていたけど、折角だから冷房も積んで欲しいが。

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