UFOはオカルトか?

 未確認飛行物体そのもののあるなし、又は「地球外生命体の宇宙船説」(ETH)に関する議論というのもあるのだが、おそらくそれより、UFO好きの間で意見の分かれる話がある。「UFOはオカルトか?」だ。

 全く知らない人からすると、「UFOってオカルトじゃないの? オカルト雑誌に載っているし」とか「UFO教みたいな人達もいるから、UFOはオカルトっぽい」という事になると思う。

 オカルトとは「隠された叡知」のような意味だ。転じてそれが「この世には隠されてはいるけど、何か常識を覆す物事があるのだ」(ただし現代の科学的常識とどこかズレてる)と言ったり書いたりしている事を指したりする。

 ただ、「オカルト」は精神世界的な物事を指す場合が多い。数秘術とか神智学とか、それこそブラヴァツキー夫人だとかアレスター・クロウリーだとか。今はスピリチュアルって言われるけど。

 それと未確認飛行物体や、あるいは未確認生物なんかは関係あるんだろうか? 無いよなあ。ごっちゃにされるのはいい迷惑だ。そっちに取り込まれるってのは、自分の好きなものが新興宗教とか、そうは自称してないけどそれっぽい結社にうまく利用されちゃうって事じゃないの?

 こんな考えから、UFOは好きだけどコンタクティ、すなわち、私は宇宙から来たビッグなマスターやブラザーに会って叡知を授かったという人。みたいな話からは距離を取っている人は結構いる。俺とか。ごめんね韮澤さん。

 違うんだ、俺がやりたいのはだな。この未確認飛行物体の目撃報告からその正体を(あるいは宇宙人の宇宙船である証拠を)導き出すのだ。何かが脳内に降臨しちゃったやつの言うことを聞くのが目的ではない。

 とは言っても、同じ番組で「プロジェクトブルーブック」と「墜落円盤」をやっていたら、両者をごっちゃに覚えちゃうような人間の言うセリフでもないような気がするんだが。

 全くだいたいその通りだったのだが、どうもそれが変わってくるのが1990年代に入って、オウム事件の少し前ぐらいに出た「いまどきの神サマ(の中の「UFOは宗教になってしまった」)」をたまたま読んでしまったあたりだ。

 他にこの時期には「オカルト徹底批判」への反論「オカルトがなぜ悪い(天に光 地に妖精)」だの、このジャンルの傑作「何かが空を飛んでいる」が出ているというのは後追いで知った。

「何かが空を~」は当時は全く売れなかったそうで、オークションでべらぼうな値段が付いていたが、「定本 何かが空を飛んでいる」として最近復活を果たした。19世紀のチャネラーの話とか追加されている。

 つまり、今までコンタクティ系は確かに昔からある宗教のような感じだと知っていたが(「ビッグなマスター」は直訳すれば「大師」、あの「川崎大師」みたいなもんだってのは確か志水一夫さんの言葉だ)、どうもそれ以外も、こうした話には精神世界っぽい部分があるかもしれないと思うようになったのだ。

 未確認生物というと人間のようなタイプと恐竜のようなタイプが多い。それは枝分かれの末に滅びた「人類と共通する祖先を持つ兄弟」や、太古の巨大生物の生き残りに対してのロマンと思っていたのが(いや、今でも思ってはいるが)、「巨人とドラゴン」というこの時代にありそうなペナントレースのような、じゃないや、極めて神話的なモチーフという考えもあると判ったのだ。

 UFOにしてもそうで天に顕れた「光」から「サイン」を読み取ってしまうのではないか。

 古い文献に、今あるUFOの話と同じような話を見つける事はあるが、それは実は「むかし宇宙人が来ていた」とかでは無くて、「UFOの話」の原型とか祖先なのではないか。同じような体験をしていて、時代によって解釈が違うのではないか。

 だから一歩話を進めると「宇宙人の乗り物」とは全く違う解釈が、百年後にはあるのではないか。

 UFOは本当に「物体」なのか、あるいは「現象」なのか、個人の「体験」なのか。

 UFOを否定する立場、あるいはUFO好き以外の立場からは出ていた話かも知れないが、この辺りからUFO好きの間でも少しずつ考えられるようになってきた。

 もちろん、今でもトンデモ話は排除して、物質的なUFOの正体を求める人はいる。 
「これは夕陽の当たった鳥」、「これは飛行機」、「これはレーダーゴースト」、「この目撃者は仕事の納期を伸ばす必要があった」、確かに正体を探るのは重要だ。

 ただ、実はちょっと問題があるUFO本、「新UFO入門」の中で唐沢俊一氏がこんな事を書いている。「我々はラッキョウの皮を剥いているのではないか?」。
 確かにパクり問題はあるのだが、それを元に本自体を無かった事にするというのは、これまたちょっと違うのではないだろうか。

 UFOは、「一歩引いた立ち位置から、(インチキや間違いも含めた)オカルト史を研究するように調べる」ものかもしれない。

サポートありがとうございます。 はげみになります。