今更ながらCITRUSを読み解く
去年、日本人ダンス&ボーカルグループとして初のストリーミング1億回再生突破と日本レコード大賞に輝き、現在再生回数2億回を超えている
Da‐iCEの"CITRUS"
そんなCITRUSの歌詞を
このタイミングで
改めて読み解いていきたいと思う。
歌詞を読み解く前に
この曲の簡単な概要を記しておくと
となっている。
実は、6ヶ月連続リリース(5シングル+1アルバム)
である事から制作面で2つの縛りが設けられていた
その1つが
"楽曲のテーマが五感のどれか1つである事"
もう1つが
"曲名の頭文字を並べて [Da‐iCE] になる事"
「嗅覚に関する曲でタイトルは"C"から始まる」
これが第四弾シングルの縛りだった。
そうして作られた楽曲が「CITRUS」
さらに、「極主夫道」の書き下ろし主題歌という事で
「極主夫道」の大まかなあらすじを先に記しておく
このあらすじを頭に入れながら
読み解いていきたい
はじめに、1番のAメロ
"熱"というのは
裏社会で生きていた時の己の闘志や熱意のことで
ここで出てくる"昨日"は
一般的な「一日前」の意味の"昨日"ではなく、
過去という意味での"昨日"
住宅が建ち並ぶ
何てことない、どこにでもある、路地裏
裏社会で生きてきた"僕"にとっては
そんな路地裏こそが昔の自分を忘れさせてくれる場所である様子が描かれている。
さらに、様々な事を経験してきたが
その全てを捨て、知らない世界に飛び込んでも
「今ある家族との生活に代わる物などない」という僕が今いる環境に満足している事が分かる。
元いた地位から離れ、全て捨てたと言っても
過去が消える訳ではない。
変わった姿を見られ
過去を知る人間からどんなに笑われたとしても、
新しくここで生きていくと自分で誓った道が
褪せることはない。
周りから何を言われようとも
ただ真っ直ぐ進むだけ。
サビは、"僕"の強い意志が感じられる歌詞
となっている。
君と一生を添い遂げる覚悟でいる"僕"が告げた
「守りたい」という言葉
少し遠回しな表現に"僕"の不器用な性格が窺える。
極道の世界で「不死身の龍」という異名を持っていたくらい強い僕ではあるが、
大切な家族を守るための
力ではない"強さ"を探していて、
それでも、今までの自分が通用しない世界に飛び込んだ事への後悔は全くないという"僕"。
道端を眺めればそこら中に生えている雑草
それらは何にも縛られる事なく自由に伸びている
そんな未来も、君と一緒なら歩める
という内に秘めた熱い想い。
脳の構造上、記憶と嗅覚は結びつくようになっている。
さらに、香りには様々な効果がある。
シトラスの香りは
落ち込んだ時に前向きな気持ちになれたり、
自分自身を奮い立たせてくれる効果もあると言われている。
悩む事すら忘れるほど心地よい家族との暮らし
ここでは
そんな気持ちにさせてくれる家族の存在がシトラスの香りの様である事を示している。
裏社会の様に常に怯えながら、シトラスの香りとなるものを探す暮らしより
家族の温かさに包まれて生きる暮らしをしたい
※サビ前半は同じ歌詞のため、省略
1サビの後半との対比となっている歌詞
(さりげなく韻も踏んでいる)
上手く動けず、気づけば周りに先を越されてた
後を追いかけたり、そのまま落ちてくくらいなら
空へと飛んでみては?
という提示。
無償の愛を与え合う存在
当たり前にある今
それを当たり前だと思わず
そしてこの先も続くよう
という願い
※1サビと同様の歌詞なので省略
ドラマ「極主夫道」の主題歌ということで
作品の内容はかなりコメディなのにそれに反してしっかりした曲という意見も見かけたことがありますが、
極主夫道という作品を表した曲というより
主人公の龍という人間の真っ直ぐだけど不器用で一度決めたら曲げない部分を表した曲
だということが歌詞から分かります。
サビの一行だけを見てラブソングと捉えて
「エモい」と盛り上がるのもいいのだが
この曲は転職や結婚など何か大きな節目を迎えた人や揺るぎない信念を持つ人にこそ強く刺さる歌詞だと思う
そういう人たちにこそ
今一度、CITRUSをしっかり聴いて読んでみて欲しい。
<余談>
少し話は逸れるが、
以前のnoteで
「英語の歌詞の曲は耳に入りやすいし音にノリやすい反面、聞き流しされやすい」
という話をした。
ダンス&ボーカルの曲はダンスありきが大前提となるためノリやすさ耳への入りやすさが重視された曲が多くなる。
そんな中、上で歌詞を書き出した通り
この「CITRUS」は全て日本語の歌詞である。
バンドサウンド際立つロックバラードという点も含めダンス&ボーカルっぽくなさが良い方向へ向かったのはサブスクやYouTubeの再生回数などを見れば一目瞭然なのだが
そんな中でも凄いのが「CITRUS」がUSのチャートに115位にランクインしたことだ
海外を意識した英歌詞を歌わなくても全編日本詞で聴いてくれる外国人は沢山いるということがよく分かった瞬間だと思う。
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