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母のベッドで「仏壇」を作った話(2/2)

聞く人=朝山実
写真©山本倫子

(前回よりつづく)
 今年(2018)1月に、土佐信道さん(明和電機社長)がツイッターに載せていた、「仏壇」に惹かれたのがインタビューの発端でした。
 ツイッターにはこう書かれていました。

“昨年の大晦日、母が亡くなった。同居していた姉のうちに行くと母が寝ていたベッドは廃棄するとのこと。「あ。このベッドで仏壇つくれるかも」とビーンとヒラめき、葬儀の合間にアトリエで制作。母も笑っているだろう。” 

 お母さんが亡くなられたのは、昨年の大晦日。享年80歳とのこと。

 仏壇を手作りするというのも、ありなのか!?
 製作を思い立った背景を知りたくなって出かけていったのは2月、都内にある明和電機のアトリエだった。

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 お母さんのご遺体を火葬したときに、手術をして身体のなかに入れていた、人口関節の金属が出てきた。それを土佐さんは、大事に持ち帰ったという。

──重いですね。これが身体に入っていたんですか。

「そうです。母親の大腿骨のところに入っていたんですね。(火葬場の)係りの人に『貰っていいですか?』と言って。焼きあがったばっかりで、持ち帰るときには手で持てないくらい、アツアツだったんですよね。
 それで、この丸い人工関節を受けるほうのチタンは、仏壇のおりんになるんじゃないかと思ったんですが、音色がちょっと違うのでやめました」

──お母さんがこのチタンを埋め込む手術を受けられたのは、いつ頃のことですか?

「6年ぐらい前かなぁ。
 けっこう重いんだけど、チタンじゃないと身体が拒絶反応を起こすんでしょうね。ネットで人工関節を調べると、よくこれと同じものが出てくるんです」


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