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ヒト構造の答え(200週連続投稿)

何年も投稿をしてきたが、遂に200週連続投稿に至った。ひとえに僕の投稿を読んでくれている物好き読者さんのおかげだ。

最近なのだが、ヒトという動物の構造(内臓を除く骨格や筋肉)の答えが出たと思っている。
それは

テンセグリティ

ヒトの身体はテンセグリティ構造なのだ。
そうでなければ、バランスが取れないのだ。

テンセグリティに関してはググって欲しいのだが、一見浮いているように見える不思議な立体だ。

圧縮材と張力材からできており、圧縮材は骨、張力材は筋や腱ということになる。

全てはこれをベースに考えるべきなのだ。
アナトミートレインという本の中に記されているのだが、必ずしもこれを全て受け入れるべきとも思っていない。そういう側面があるというイメージを持ってもらえるのが一番正しいと思う。

武道では昔から骨から鍛えろと言われている。骨は丈夫だからだ。
まぁこれだけだと非常にバカっぽいのでもう少し詳しくいうとウォルフの法則というものがある。
正常にせよ、異常にせよ、骨はそれに加わる力に抵抗するのに最も適した構造を発達させる
というものだ。

これは実際そうで負荷をかけたら負荷をかけただけ骨は丈夫になる。ただ、骨に負荷をかけるにはコツがいる(骨だけに!)。
骨が変形しないレベルで負荷をかけていくのだ。
例えば50kgのものを持つと軽く持ち上げられるひともいれば、持ち上げられない、もしくは場合によっては骨折してしまうひともいるだろう。重さでは定義できないのだ。30kgも耐えられないひともいれば、100kgでも大丈夫なひともいるのだ。
そこで友人がしたという研究なのだが、3次元培養した骨芽細胞に繰り返しの圧縮負荷をかけ、変形率を元に0%、5%以下、10%以下、20%以下、という群を作った。そうすると0%に比べて5%以下の変形率の負荷は骨芽細胞の分化を有意に促進し、10%以下、20%以下に関しては0%群に比べて有意にマイナスに働いて、それは負荷に比例するようになっていたみたいな内容だったと思う。
これはin vitroと言って基礎系の細胞での実験だが、体感的にもあっていると思う。

そうなると正しい方向に力を加えるということの大事さがわかってもらえるだろうか?姿勢が悪いと間違った方向に力がかかり、そしたらそれなりの形に骨がなってしまうのだ。幼少期から成長期にかけての姿勢の重要性はこれだ。

いつもの歯科医師の友人曰く、歯並びが悪くなる理由もこの要素が非常に強いそうだ。

骨は正しい方向に力を入れたらドンドン強い負荷にも耐えうるものになってくる。つまり骨から鍛えろという言葉には「大きい力は骨で受けろ」という意味と「骨を正しく使え」という意味が込められているように思う。

そして、張力材については筋と腱になるわけだが、これは何に使うかというと「力の発揮」と「力の流れの変更」だ。

「力の発揮」はわかってもらえると思う。人間である以上、力は原則筋肉が発生させる。問題は「力の流れの変更」だ。これはどれだけのひとが理解できるだろうか?

テンセグリティ構造は一部で受けた力を全体の張力材で受けるような構造になる。これには膜構造の張力材が有効になるのだが、筋肉は筋膜という膜に包まれているし、人間は皮膚に包まれている。一部で受けた力を全体に散らすことができるから、逆にある一部に集約することもできる。これによって「力の流れの変更」ができるし、相手に力を返すこともできるのだ。これを巧みに使っているのが合気道だ。合気道は奥が深いのでもちろんそれだけではないのだが、この仕組みをよく使っている。

僕が尊敬する塩田剛三先生だが、突っ込んできた相手にぶつかって相手が吹き飛ぶという動画を何度も見てきた。50kg程度の老人にぶつかってだ。そしてぶつかったひとのコメントでよくあるのが「壁にぶつかったようだった」というものだ。あっているがどうかはわからないが、僕は塩田剛三先生はタイミングを合わせて地面に相手の力が行くように身体を操作していると見ている。そして相手の力は地面に向かい、その反力で相手は吹き飛んでいる。単純に地面にぶつかったようなものなのだ。壁にぶつかったのと体感は変わらないだろう。なんなら自分が少し沈み込んで自分の体重分の力を上乗せしているような動きをしている。
この技は圧縮材と張力材をフルに活用したわかりやすい例と言えるかもしれない。

ということで、ヒト構造について話をしてきた。
僕が何年か向き合ったある程度の答えだと思っている。
もしかしたらまた数年経てば答えは変わっているかもしれない。
それもまた奇特なみなさんに報告できればと思う。

ヒト構造をテンセグリティ構造を理解している医療従事者はそこまで多くない。
この記事を読んだ方はかなり先んじたかもしれない。
よく「骨で立て」と言われることがあるかもしれない。それは圧縮材を正しく使うためだ。また「身体を張れ」と言われるかもしれない。それは張力材の能力を発揮するために必要なことなのだ。

これからもよろしくお願いします。

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