みなさんはモニタースピーカーをどれくらいの距離に置いてますか？僕は、以前はニアフィールドな距離（リスニングポイントから1m前後）だけで使っていましたが、いまの家に引っ越してきた時に、さらに奥側に1セット足しました。これが結構いい仕事をしてくれるので、今回はスピーカーを置く距離によって何が変わったのかを記してみたいと思います。

◉ニアフイールドのメリット

2022年8月現在、普段の作業でメインに使っているのが、Pioneerのミニコンポのスピーカー。木目が美しいスピーカーですが、実はコレ、一時凌ぎの仮運用なんです。でも、一応3WAYだし、ウーファー径も少し大きめだし、音響補正してやれば充分仕事に使えるんですよ。距離は1mに設置しているので、音がダイレクトに耳に届くためハッキリクッキリ聴き取れます。なので、細かい編集作業に向いてます。そのぶん、眼前に展開されるサウンドステージは小さめ。1m幅のジオラマを見てるような感じですね。スピーカーの特性もあると思いますが、結構ドライで奥行き感の表現は控えめ。これは、スピーカーの間に液晶ディスプレイを置いてる影響もあるかもしれません。ディスプレイはスピーカーよりも奥に設置するのがセオリーですが、それでもやはり音が反射するんですよね。その証拠にディスプレイの角度を変えると聴こえ方も大きく変わります。真正面に向けてるよりは、少し上向きに角度を付けた方が、反射音が上方に抜けていくため自然な聴こえ方になります。ともかく、音が掴めそうなくらい近くに「見える」ので、その辺りが細かい編集作業に向いてると言えます。

◉ミッドフィールドのメリット

ミッドフィールドというのは、ニアフィールドとラージの中間の距離、大体2m前後に置くものとなります。うちの環境だと2mの距離を取れなかったので、1.6mに設置。なので、準ミッドフィールドって感じでしょうか（笑）。スピーカーはJBL LSR305。実はこれも仮運用でして……。元々は富士通テンのECLIPSEをメインに使ってた時に、フルレンジのECLIPSEだけでは不安があったので、安くて音の評判も良かったコレを導入し、サブで使ってたのでした。本来はニアフィールド用のスピーカーなので、遠くに置いた際のパフォーマンスが心配だったんですが、なんとかギリギリ許容範囲って感じですね。というのも、ミッドフィールドくらいの距離になると、ある程度のユニット径とアンプのパワーがないと、音像が小さくなったり、モニタリングするのに充分な音量を得られなくなるからです。特に、うちはソフトウェアによる音響補正を行ってるので、その部分でセーフ・ヘッドルームが働いて（OFFにすることも可能だけど）、12dBほど音量が落ちてしまうんです。そうなるとLSR305ではちょっとパワー不足を感じますね。本当はPioneerの方がミッドフィールドには向いてるんですが、面（ツラ）のいいスピーカーが目の前にあった方がテンション上がるのでww

さて、この距離に置いた際のメリットですが、やはりサウンドステージの大きさが真っ先に挙げられますね。左右への広がりも増し、楽器などの音像が大きく再現されるので、より現実のサイズ感に近くなります。それと同時に、奥行きの再現が高く感じられますね。臨場感があるというか。まぁこれもスピーカーの特性によるところも大きいですが、スピーカー間にディスプレイのような反射物がないことも大きく作用してます。何もない空間にボーカルが自然に浮かんでる感じは、まさにファンタム・センター（中央定位の虚像）。定位感も左右幅が広がったぶん、余裕を持った再現になります。なので、音を細かく見るというよりは、ミックス時に全体を俯瞰するのに向いてる感じですね。音が顔面に飛んでくるような聴こえ方のニアフィールドとは違い、柔らかく包まれるような聴こえ方なので疲れにくいというのも良い点です。

デメリットとしては、まず設置する物理的スペースが必要なことと、ある程度の音量を出さないといけないので、防音性の低い賃貸物件では厳しい点ですね。そして、当然ながらニアフィールドよりも部屋の響きの影響を受けやすくなるので、その点のケアをしっかりしないといけない点ですかね。

◉まとめ

個人的な感覚としては、ニアフィールドとミッドフィールドの違いは、ヘッドフォンにおける密閉型と開放型の違いに近いものを感じます。万人にはオススメしませんが、スペースに余裕のある人は試してみると、新しい音の世界が見えてくるかもしれません。

本文でも書きましたが、このスピーカーのチョイスは、あくまでも仮です。求める音と性能を持ったスピーカーが見つかり、資金を捻出できたら、順次入れ替えていきたいですね。ミッドフィールドには、より大口径でパワーのあるものを、ニアフィールドは4インチウーファーくらいで解像度の高いものにしようかなと妄想中（笑）。