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自分の人生が映画になるとしたら、誰に演じてもらいたいですか?

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バーテンダーの林伸次さんは、「その場が盛り上がるちょっとした質問」をいくつか持っているそうです。今回はそのいくつかを教えてくれます。ぜひお試しください。

バーテンダーがストックしているちょっとした質問

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

僕はバーテンダーなので、ちょっとした質問っていうのをいろいろ持ってるんです。先日取材に来てくれた方にそのことを聞かれ、「自分の人生が映画になるとしたら、誰に演じてもらいたいですか?」という質問が面白い、という話をしたところ、逆に「林さんはどなたですか?」と聞かれました。

例えば、他に好きな質問で、「あなたが、どこかの会社か、どこかのお店を手に入れることが出来るなら、どこをもらいますか?」っていうのがありまして。note社の加藤さんに聞いたら、「Google」って答えたんです。え? Googleを手に入れてどうするんだろうって思うのですが、加藤さんとしては手に入れて、いろんな使い方をしたいんでしょう。

あと、料理家の人、シェフの人なんかに、「好きな食材は何ですか?」って質問すると、結構面白い答えが返ってきます。いろんなお店をされている方から「牛肉かなあ。林さん、やっぱり牛って美味しいですよ」って言われると、「なるほどなあ」って思うし、「卵って偉大ですよ。生もいいし、いろんな形になるし、安いし」みたいなことを言う人もいますし、面白いです。

あるいは、「もし飲食店を今から作るなら何をしますか?」っていう質問も盛り上がります。みんな心のどこかで「こういう飲食店だったら流行るのになあ」っていうのを持っていて、そういうアイディアを聞くのが楽しいです。今、準備している連載では、「キッチンカーをやる」って方が複数いまして、キッチンカーって今、可能性を感じているんだなあ、僕も「移動バーってやってみたいなあ」って思ったりします。誰か、全部準備してくれて、僕はそこに行くだけっていうのでやれないでしょうか。

音楽が好きな人だと、「このレコードの録音はいつでしょう?」っていう質問が盛り上がるんですね。もうとにかく仕事で聞いている人で、ただただ音の雰囲気だけで、「これは1964年くらいじゃないですか?」って当ててしまうこともあるし、「さっき、フール・オン・ザ・ヒルをカバーしてたから、マジカル・ミステリー・ツアーが67年なので、69年くらいですかね。あ、でも69年だったらこういうアレンジはないから、68年かなあ」とかって、自分の知識でひとつずつ潰していく人もいます。

自分の人生が映画になるとしたら、誰に演じてもらいたいですか?

外国人に「どういうところでデートしてますか?」って質問するのも面白いです。「うちの国は飲食店が高いから、若い人は飲食店でデートなんてできないんです。家に招いたりしますよ」とか、よく聞く「ラブホテルとかないから、友だちの部屋を借りて」っていう話とか、「公園」がすごく多かったりとか、いろいろ楽しいです。

あるいは、すごく絶妙に盛り上がるのは、既婚未婚関係なく、「友人、知人の中で、実はこっそり、良いなあ、好きだなあと思っている人」っていうのを、順番に告白していくっていうのもあります。「同僚の絵里子さんって良いなあ、タイプだなあって思います」とかって誰かが言うと、「ええええ!」って盛り上がります。

これまた微妙なので盛り上がるのは、「絶対にあなたが浮気なんてしないって知ってるんですよ。知ってるんですけど、もし浮気をするとしたら、誰とどういう風にしますか?」っていう質問です。これですね、みんなの心の中の何かを「衝く」みたいなんですね。「いや。しないですよ。絶対にしないんですけど、上司の中島さんなら……」って感じで話すと、「ええええ!」って盛り上がります。でも、みんな絶対にしないので、安心してください。

さて、質問の「もし僕が映画になったら、僕の役は誰にやってもらうか」ですよね。これって、読んでくれている方、意味はわかりますか?

僕、林伸次の人生が主題の映画が作られるとします。徳島での幼い時代があって、東京でレコード屋で妻と出会って、渋谷でバーを始める人という物語の映画でして、その林伸次の役を誰にやってもらうか、というのを考える遊びなんです。

この質問も盛り上がるんですね。「昔の俳優もあり」とかにすると、さらに盛り上がって、「じゃあ私の役は、アヌーク・エーメにやってもらおうかなあ」ってなると、「ええ? フランス人にやってもらうの? じゃあフランス映画?」みたいに、じゃあどんな映画なのかって盛り上がっていきます。

僕は、その時々でいろいろ言ってるのですが、井浦新にやってもらおうかなっていうのと、坂口健太郎にやってもらおうかなっていうのがあります。カッコよすぎですよね。すいません。妻の役は小雪かなあ、それとも吉田羊でしょうか。とかなんとか考える遊びです。

どれもきっと盛り上がりますよ。話題に困ったら使ってみてください。

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林伸次(はやし しんじ) 1969年生まれ。徳島県出身。1997年創業の渋谷のワインバー「bar bossa(バールボッサ)」店主。本連載の書籍化『ワイングラスのむこう側』『大人の条件』はじめ書籍多数。また『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。』など、小説も執筆。

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