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30代に死に物狂いで働くと40代は本当に楽になるのか?

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今回は仕事でよく言われる「30代にがんばった人が、40代以降楽できる」について考えます。実は、30代がんばったけど、40代以降楽できなかったという林伸次さん。それでも、30代でがんばる必要性はあるのでしょうか?

「30代にがんばった人が、40代以降楽できる」の仕組み

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

僕のnoteに、こんな内容の質問が来ました。

「20代の頃はブラック企業で働き、こんなところではダメだと思い転職したところ、フルリモートで残業0、休憩も出退勤の時間も自由にとれ家族との時間もとれるようになりました。その反動か、どうしてもサボってのんびりしてしまいます。最近『30代に死に物狂いでがんばった奴だけが、40代以降楽できる』と友人に言われたのですが、どう思いますか?」

答えますと、「30代でがんばった人が、40代以降楽できる」っていう言葉、僕も何度も聞いたことがあります。「そうかあ、そうなんだなあ」と思って、30代すごくがんばって、夜から朝までずっと働いて、一生懸命稼いだのですが、40代以降も、今は50代以降なのですが、全然楽になっていません。でも、その「30代にがんばった人が、40代以降楽できる」っていう話は、今でもよく聞きます。それについて考えます。

僕の友人のデザイナーが、「フリーで成功するには方法は二つ」っていう説を、教えてくれまして。例えば、30代にデザイナーをがんばってやっていると、たくさん仕事が入ってきますが、「もうこれ以上受けられない」って状態になるそうなんですね。

そんなときに、会社にしてしまって、若い人たちをたくさん雇って、その彼らに仕事のやり方を教えて、自分は経営者側になってしまうという方法がひとつ。そして、「すいません。もう忙しくて受けられないです」って発注者に伝えると、「どうしても中島さんにやって欲しいんで、ギャラをアップします。他の安い仕事は断ってください」って発注者に言われるようになって、同じ仕事量なのにどんどんギャラが上がっていくという方法があるそうなんです。

これ、別にフリーじゃなくても、会社勤めでも同じです。経営、管理の方にいくか、何か特別な技術をもってスペシャリストになって、この会社じゃなくてももっと良い給料で雇ってくれる会社があるよ、って高い収入の会社に転職という方向でしょう。たぶん、多くの人がイメージするところの「30代でがんばっておけば、40代以降楽になれる」は、この経営側かスペシャリストかどっちかになれるという意味だと思います。

さて、僕は、どっちもやらなかったんです。それで今でも全然楽になっていないです。でも僕は、面白い仕事が増えました。いろんなやりたいことが今でも増えていますし、これから60代になっても、もっと面白い仕事がやれそうな気がしています。そしてこれは、僕が30代と40代にすごくがんばったからだと思います。

30代がんばったら「楽」になるのではなく……

ここで、また「30代がんばったら40代以降は楽」の言葉に戻りますが、若い頃に、いろんなことを試したり失敗したりして、自分の能力の確認、例えば、上の「経営者側になるか、それとも自分個人の市場価値を高めるか」というようなこととか、投資をするとか、勉強してステップアップするとか、副業を始めるとか、とにかくたくさんやっておけば、「楽になる」のではなくて、「可能性が広がる」と思います。

いろんな自分の可能性を試すこと、そして何度も失敗して、また自分の可能性を試すことを繰り返すことって、絶対に「良い結果」に繋がります。それを先人たちは、「30代がんばったら40代以降は楽になる」と言ったんだと思います。

質問者の方の状況の話に戻っていきますと、僕は決して、「ブラックな状況が良い結果を生む」とは思わないです。そうではなくて、「30代にがんばる」っていうのは、「いろんな自分の可能性を試すこと」なんだと思います。

特にこれから、日本も世界も、仕事の状況ってすごく変わっていきますよね。例えば僕がやっている「バー」っていう業態も、「お酒離れ」があって、これからはどうなっていくのかさっぱり予想がつかないです。でも、「人が集まるリアルな場所」ってこれからますます必要だろうなあと僕は確信していて、いろいろイベントとか、日々の営業とかをやっているんですね。

質問者の方の、今の家族とゆっくり時間をもてる状況ってすごく良いと思います。それはすごく良いことだと僕も思います。でも、それを何もせずに今後もずっと続けられるかは、わからない気もします。

これから、いろんな波が押し寄せてくるはずですよね。僕が30歳の頃、まさかインターネットというこんなモノがでてきて、こんな風に僕が書く仕事をするなんて思いもよらなかったです。これがもっともっと違うことが起こってくるはずです。それに備えて、いろんなことを試しておく方が良いとは思いました。

ブラックな環境で働くのではなくて、空いている時間に勉強したり、何か小さいビジネスを始めてみたり、失敗したりっていうのをオススメいたします。お互いがんばりましょう!

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林伸次(はやし しんじ) 1969年生まれ。徳島県出身。1997年創業の渋谷のワインバー「bar bossa(バールボッサ)」店主。本連載の書籍化『ワイングラスのむこう側』『大人の条件』はじめ書籍多数。また『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。』など、小説も執筆。

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