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モザイクの向こう側の話

かつでアダルト業界(SOD)のデザイナーとして働いていた頃の気付きや記録を書いています。

前回の記事深津さんからプッシュいただいたので、アダルト業界でのデザイン的知見をここに記録していきたいと思います。

第2回目はモザイクの話です。

モザイクはデザイナーがかける

ジャケットや静止画にかかっているモザイクはデザイナーがPhotoshopでかけています。
かなーり大量の処理を行うので、ショートカットキーは必須。

あとよく誤解されますが、映像のモザイクは別の部署or会社が行っています。
ヘルプで映像部隊の方のモザイクをお手伝いしに行ったことがありますが、気が遠くなるような作業でした。

作品によっては、1フレーム事にモザイクを調整するので、1秒だけでも30回分の編集処理になります(60FPSなら60枚)。
トラッキングツールなどの併用もありますが、完全に隠すことは出来ないので、1フレームずつ確認しながらかけていることになります。

モザイクにも難易度がある

男女でモザイクのかける時のそれぞれの難易度が違います。
どちらかというと、女性の方がモザイクをかける難易度に少し高め。

女性はおケケが全部ない人は境界がどこにあるのか見つからずどうかえれば良いのか苦労しました。
対し、男性は加工自体はそれほど苦労しないのですが、1枚の写真に複数人出ていることが多いので「ウォーリーを探せ」ならぬ「ジョニーを探せ」状態になることもしばしば。
特に、年な1回くらいあった壮絶企画ものとかでは、1枚の写真の中に男性と女性含め100人以上いる時もあり、普段は1作品1名のところを3名ががりでモザイクをかけたり、チェックする人数を増やしたりしていました。

モザイク漏れは「犯罪行為」

上司から耳にタコ焼きが出来るくらいに「モザイクのかけミスは事故じゃなくて犯罪だからな!」聞かされました。
モザイクが漏れる、というのは事故を超えて犯罪級のミス、になるので、文字の誤植チェック以上にモザイク漏れがないチェックをします。
当時の会社ではもらった資材が例え1000枚を越えようとも、デザインに入る前に全てにモザイクをかけるようにしていました。
実際に1000枚以上のモザイク、というのは一作品ごとにたまーにありまして、アソコがゲシュタルト崩壊しそうで怖かったですね。

また、漏れのチェック以外にも、ジャケットデータを印刷所へ入稿する前に審査団体のポリシーチェックが入ります。
薄すぎないかどうかの適切な加工処理がなされているかの第三者チェックという感じです。

「モザイクのレタッチ」がある

これはごく稀なことですが、モザイクのドットの色味や形を調整することがあります。

人間というのはやはり個人差があるもので、モザイクをかけると、色味や形によって何かわからなくなってしまうことがあります。

そういった場合、影の色や、赤・ピンクといった色を調整し、モザイクの向こう側を想定した加工をします。
これはデザイン性の意図もありますが、審査へ出した際に不明瞭の扱いになり審査が通らない場合の対応策のひとつ、でもあります。

そんなこんなで、
作業自体は非常で地道なものですが、モザイクも色々考えて加工したりしているお話でした。


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