娯楽

宇宙人が地球人の監視を始めて百余年。
種を存続させるべき優れた生命体なのか、
長い時間をかけて調査をしている。

宇宙の奇跡で生まれた地球。
気が遠くなるほどの広い宇宙空間でも、
地球の美しさは格別だった。

「地球人が種として劣っていたら、地球ごと乗っ取ってしまおう」

そんな計画が立てられたのだ。

宇宙人にとって、地球人の文化の発展は、
目を見張るものがあった。
国によって言語や通貨が異なることも、
無駄なだけだと吐き捨てるものがいたが、
個性があっておもしろいという意見もあった。

娯楽を必要としない宇宙人。
地球人の生み出すものは予想できないことばかり。
なぜそんな無駄な時間を過ごすのか不思議で、
かつ滑稽だった。

いつのまにか、宇宙人にとって
地球人の観察が娯楽になった。

だが、娯楽は飽きる…。

─ありがとう。楽しかったよ、地球人。