いつもの人

いつもの電車に、いつもの車両。
毎朝、見かける顔がある。

まずは「めっちゃきちんとしてそうな人」。
お化粧や服装は普通(どちらかというと地味)だか、
ピンと伸びた背筋から、
イメージを勝手に膨らませていた。

ある日、その人が上司と思われる人と会話をしていた。
いつもと違う雰囲気の彼女を見た途端、
身内が働いている姿を見たような、
なんとも言えない気持ちになった。

「めっちゃきちんとしてそうな人」は、
残業について悩んでいるようだった。
わたしは「その気持ち分かるよ」と
心でつぶやいた。

そして「こっこに似てる人」。
彼女も特に目立った感じはないが、
こっこを連想させる真っ直ぐな瞳が、
とても印象的だった。

少しの間見かけない時期があり、
ふたたび現れた彼女の指には、結婚指輪が輝いていた。
「こっこに似てる人」は、結婚したようだ。
見かけなかった時期に、結婚式でも挙げたのだろうか。
わたしは「おめでとうございます」と
心でつぶやいた。

ここまで書いて気づく。
なんかストーカーみたいで、
わたし気持ち悪い。