宿題をやらなかった日

時系列は飛んで、つい昨日のはなし。

長男は、ほんとうにだらしがない。
小学生男子はだいたいそんなもんよ、
とよく言われるし、それは分かっているけれど
こちらの想像とか覚悟とかを軽くK点超えするほどに、だらしがない。

塾のある日は、学校から家に歩いて帰ってきて向かうと塾に間に合わないので
私が塾のかばんを持って車で校門に迎えに行き、拾ってそのまま塾まで送迎する。

仕事から帰ってきた足で子供部屋の塾のかばんを見ると何も揃えていない。
まあ、そこまではよくあること。
問題は、テキストやらノートやらが机の上のジャングルに紛れていること。
あと10分で家を出なきゃ。
慌てて探して、やっと見つけて、これかな、とペラペラとテキストをめくってみると宿題が全く終わってないことが発覚。
あとちょっとやり残したのがあったのを忘れちゃってる、という程度ではなく、明らかに触れていない様子。
昨日口頭で確認したときには「終わってるー!」て言ってたのに。

怒りのホップステップジャンプが揃ってしまった訳である。

仕事で疲れてる
時間に追われてる
宿題やったと嘘ついた

一個の条件なら平静を保てる。

学校の校門前で私を見つけて、ニコニコと駆け寄ってくる長男に笑顔は返せなかった。異常を感じた長男。
車に乗り込んだところで「なんで宿題やらなかったの?」と聞く。
ハッとする長男。
「車の中でやれるだけやりなさい!」
と言うと、完全にしおれた様子でテキストに向かう長男。
その横で小言が止められない私。
本当にだらしがない、とか
どんなに家族が長男に時間も気も遣ってるか、とか
自分でやりたいと言ったのに無責任だ、とか。
最悪だった。

さらに、
車内で文字を追ったせいで車に酔った長男が
思いっきり吐いた。
座席の横にゴミ袋があるのに、床に思いっきり吐いた。
修羅場だった。

もう宿題はいいから。
今日は塾をお休みして帰る?と聞くと
ううん、行きたい、と答えた。
幸い服も荷物もほとんど汚れなかったし、とにかく一刻も早く車から降りたい様子だったので了承した。
車を降りるときに、嘘をついてごめんなさい、と言って塾へ向かった。

息子を車から下ろした帰り道、
異臭のする車内で涙がこぼれた。
どうして追い詰めるような言い方をしてしまったんだろう、
どうして笑って許してあげられなかったんだろう、
次こそはやろうね、で励ましてあげられなかったんだろう、
車内で勉強させたのは虐待だったんじゃないか、
そもそも嘘ついたのは、私が本当のことを言わせない空気を作ってたのか。
目から後悔がポロポロとこぼれてきた。

家に帰ってきてから、まずは車のフロアカーペットをはがして洗って干した。

それから、ジャングル化してる長男の机の上を片付けた。
決して今まで放置してきた訳ではなく、週末には片付けてあげているのにも関わらず、週の半ばにしてこの有様。
単に片付けるだけではなく、どうしたら長男が自分で管理できるシステムを作れるだろう、と試行錯誤しながら片付けてみた。
長男は片付けが何よりも苦手なのは分かっていて、もうそれは一朝一夕でどうにかなる問題ではないので代わりに毎日私がコツコツ整理整頓してあげられればいいのだけど、私も母業と仕事とで手が回らない。
そして、そうこうしている間放置され気味の次男もいる。

長男の片付け問題にはずっと悩まされていて、そのために断捨離も始めたが、それはまた別の話。

机が整ってくると心もだいぶ落ち着いてきた。

帰りに迎えに行くと、少し私の顔色を伺ってる様子ではあったが、
「小テストでいい点とれたー!」
「いっぱい吐いちゃったからお腹すいたよ! 今日の夕飯何?」
「吐いたのは、給食おかわりしすぎたからかなあ?」
とケロリとしてて、
その長男の無邪気さに救われてしまった。
私も、さっきはごめんなさい、と謝る。

そして帰ってから、もりもりと夕飯を食べ、宿題をやっていた。

中学受験に二の足を踏んだのは
こういうことが嫌だったからでもある。
私が。
ほんとはいつだってニコニコしてたいのに、
疲れちゃって、イライラして、時間に追われて
そこにちょっとした火種を持ち込まれると
余裕なく燃えさかってしまう。

子どもの幸せを願ってやっているはずのことで、逆に苦痛を呼び込んではいけない。

もう感情に任せて怒ったりしないよう、備忘録的な日記でもあり懺悔でもある。
思考や表情はクセがあって、アイロンのように何度もなんどもクセづけしないとつい楽な方に崩れていってしまうから
書くことで、留めておこうとしている。