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196「詩」そのままに

思いもよらない受け取り方をされる
そんな思いは一欠片もないのに
どうしてそんな受け取り方をしてしまうのか
不思議でたまらなくなる

心の中を事細かに説明したところで
放った言葉は言い訳だけに聞こえるだろう
受け取る器が違えば違って見える
そっとそのままにしておくしかない

同じものを違った方向から見るから
平面は立体になって
奥行きを増す
時間の流れの中で
形を変えていくことも出来る

いったい私のどこまでを知っているというのだ
自分でも触れたくない傷というのは
誰でも抱えている
何も落ち度がない人にさえ
傷を負わせてしまう人間がいるのだ
なすすべもない遠い昔の深い傷を
自分が悪いからだと非難する
そこからは
何ひとつ良い物は生まれない

遠い昔の傷はそっとそのままに
遠い昔の悲しみはそっとそのままに
いつか優しいころんとした塊になるまで
そっとそのままに

触れてはいけないものなのだ




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