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「詩」帰路

もうすぐ日が暮れる
今日1日働けたことを感謝しながら
家路につく
昨日もそうだったように
今日も
そして明日も
同じことを繰り返す

私の歩いている道に沿って
樹々が立っている

秋の終わり

誰かに見られるためでなく
樹々は
美しく彩られ
もうじき雪に包まれる

その前のわずかな時間を
惜しむように
ひときわ美しい


一瞬の美しさのために
樹々は夏の暑さを
耐えてきたのだろう

誰かに見られるためでなく
自分が美しかったという
記憶のために
嵐の雨風にも
耐えてきたのだろう

疲れた足を引きずりながら
私は家路につく
昨日もそうだったように
今日も
そして明日も

こうして歩いた先に
私の生き方が美しいと思える一瞬が
きっと待っていてくれる

その一瞬のために

くたくたになって働き
ごくわずかな収入を得て
働けたことに感謝する

(写真 O.Mikio)

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