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言葉から求める味を探す。

ダイニングバーでアルバイトをはじめてから、3年の月日が経とうとしています。

20歳の誕生日から僅か2ヶ月後に始めたアルバイト。もちろん、お酒なんて全く分かりません。興味すらありませんでした。

でも、いい日本酒やワインの試飲をさせていただく中で、特に日本酒の味わいの違いに感動して、すぐにハマっていきました。

バイトをはじめてから2ヶ月後、もっと知りたい!と私の知的好奇心がかき立てられて図書館へ勉強しに行きました。

日本酒の作り方、種類、味の楽しみ方、香り、料理との合わせ方…まずは頭で理解することから始めました。

◇◆◇

そこからは、種類を見てから日本酒の味わいを楽しむ。
「なるほど、この種類はこんな味の特徴があるんだ」

そして、空想する。どんな食べ物が合うかな、と。

そうやって、私の日本酒への知識と味わいの引き出しと、料理との合わせ方を学んで、日本酒大好きな20歳の大学生ができあがりました。

◇◆◇

お客さんと上手にコミュニケーションを取れるようになってきたのは最近、ここ1年のお話。その中で、味を言葉で受け取り、言葉からピッタリの日本酒を見つけるのってなんて難しくて楽しいんだろうと思うことがありました。


お客さんはご新規のおじさま。
私がその方とお話したのは、すでに日本酒を3.4合は飲まれたあと。
「どれも美味しいんだけど…1つ目のは甘すぎて、2つ目のはさっぱりしすぎた。もう少しお米の味を感じられる濃い、旨い日本酒はないかね」
とのこと。

日本酒は、甘口・辛口で分類されることが多い。
甘すぎと言われていた日本酒も、特段甘口という訳でもなく、割とお食事に合いやすい、どちらかと言えば甘口程度なお酒で、「辛口はちがう!」なんても言われてしまったから、さあ大変。

甘口でもなく辛口でもない、お米を感じられるお酒。

たくさん日本酒をいただいてきたけど、全部美味しいから、「旨い日本酒」というカテゴリか私には分からなくてかなり悩みました。だってどれも美味しい。何度も味のイメージを伺って、お店にあるものからなるべく濃く、吟醸でないものから選び提供しました。

おそるおそるお味を聞く。「いかがですか?」
すると、嬉しそうに「これだこれ!どれも美味しかったけど、これがいちばん美味いよ!お嬢ちゃん若いのに凄いね!ありがとう!」と言っていただけた。


やっぱり嬉しさが先行した。こんなこと滅多にない。望む味を楽しんでいただけて、ありがとうを頂いて、ものすごく嬉しかった。

それと同時に、言葉で味を伝え合う難しさを感じた。そして、それがピッタリハマった時の感動は、言葉では表せない。

◇◆◇

それから、私は味わうことから、その味を少ない語彙から引っ張り出していろいろな言葉で表現するようにしている。
果物、スパイスはよく例えに使われる。
あとは「人」で表してみたり。
とにかく表現の幅を広げようと、飲む度に、頭の中に素敵な表現を探しに走る。

大好きな宮泉♡!


この感動を一度味わってしまったら、
日本酒からも
お客さんと話すことも
このアルバイトも
辞められないな〜と思う。

日本酒ってなんて面白いんだろう
ひとと話すってなんて楽しんだろう
言葉ってなんて素晴らしいんだろう

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