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楽譜作成ソフト

今回は楽譜作成ソフトをいくつか簡単に紹介します。少しテクニカルな記事になります。

作曲はしない(できない?)のですが、あるきっかけがあって、楽譜をディジタルで作成・表示したいと思いました。最近は演奏会の動画などで、タブレット端末に楽譜を表示して使っているのもよく見ます。


1. MuseScore

以前MuseScoreという無料で使えるソフトがあるのを知っていたので、インストールして少し使ってみました。

MuseScoreは基本的にすべての機能を無料で使えます。一昨年末にアップグレードしてVersion 4になったようです。しかしVer. 4の日本語のハンドブック(説明書)は、その後のアップデイトに追いついておらないようです。新しいバージョンなので、少しバグもある感じもします。

グラフィカルな画面なので使い方はそんなに難しくないのですが、初めての方は、やはりハンドブックの「基本」を読むか、入門の動画(Musescore4の始め方 のシリーズ動画など)をご覧になるのがよいでしょう。

音符の入力は、画面上部ツールバーのアイコンから長さ(四分音符など)を選び、五線付の上でクリックしてピッチを指定すればよいのですけれど、これは面倒です。画面にピアノのキーボードを表示して入力したり、MIDIコントローラーをパソコンに繋いで入力することもできます。しかし一番速い入力方法はショートカット(パソコンのキーボード)を使うことでしょう…… C D E と押すとドレミが入力できます。長さも数字キーで指定できます。

ツールバーの再生アイコンをクリックする(またはスペースキーを押す)と、入力した楽譜をその場で演奏して確認することが出来ます。

基本は以上ですが、後は必要に応じて、臨時記号(♯ ♭)、三連符、タイ、スラー、スタッカート、トリル、グリッサンド、和声、強弱(フォルテ、ピアノ、松葉< >など)、アウフタクト、繰り返し、歌詞などの書き方を学んでいきましょう。ピアノ譜やタブ譜も書けます。

大抵の方はおそらくMuseScoreで満足できるでしょう。専門家の方は Finale や Sibelius と言ったソフトを使っているようです。勿論それ以外にもたくさん楽譜作成ソフトはあります。例えば……

2. Flat

最近よく宣伝しているようで、人気がありそうです。Web上で動くのでソフトのインストールは必要ありません。ブラザーがあればできます。スマートフォンのアプリもあるようです。特徴はリアルタイムで仲間と共同編集ができることでしょう。再生音もきれいだと思います。日本語の説明も充実しています。

無料で登録、使用ができます。本格的に使う場合はサブスクライブしなければならないでしょう。

どのソフトもそうですが、音符入力の方法はだいたい同じです。MIDIコントローラーからの入力もできますが、やはりパソコンのキーボードショートカットが速いでしょう。

異なるソフトで作成した楽譜は、MusicXMLという形式でエキスポート/インポートすることで相互にやり取りできます。

3. NoteFlight

これも Flat と同じようなオンライン楽譜編集になります。無料で使用できますが、Flatと同じように制限がありますので、本格的な使用にはサブスクライブが必要です。わたしはまだ使っていないのですが、Flatより高度な記譜ができるかも知れません。Flatは比較的新しいので、まだ高度な記譜機能に対応出来ていないところがあると言ってます〜とは言えFlatには、今後の展開が期待できます。

NoteFlightの欠点としては、日本語対応が充分でないところでしょうか。よいソフトと思いますが、日本人にあまり知られていない理由のように思えます。

4. LilyPond

最後になりましたが、わたしが気に入っているソフトです。

LilyPondは上のソフトと違って、テキスト入力して楽譜を作成します。上でも述べましたがパソコンのキーボードで入力するのが一番速い方法だと思います。謂わば、ブラウザに表示されている内容をすべてキーボードで手入力して、HTML文書を作成するという感じですね。

わたしのような元ソフトエンジニアはテキストエディターを使い慣れているので、こちらの方が嬉しい(?)。しかもLilyPondは、わたしの使っているVimというエディターをサポートしていて、色付けしてくれます。下の例…

例1 LilyPondファイル

【簡易解説】
♦\version …. は LilyPondのバーション番号
♦% 以降行末までコメント。
♦\paper { … } の箇所は、用紙の設定関係。
♦「%変数定義」のところは、ユーザーの定義(符頭に色付けするため)
♦\relative { … } 内に相対音程で音符入力しています。
 相対と言っても、最初の c' は絶対ピッチでピアノ中央のドの音。
 その後は4度以内ならオクターブ上下記号なしで書ける。
 5度以上離れると、高音は ' で、低音は , を付加する(例2参照)。
 c'4の数字 4 は4分音符を表す。次符以降同じなら省略可能。
 休符は r で記す(例2参照)。
♦\addlyrics { … } 内に歌詞。
出力は、こうなります…

例1の楽譜

LilyPondを使うには、やはり基礎をまず学習しましょう。最低でも、2. チュートリアル と 3. 一般的な記譜法 は読むべきです。

ターミナル(コンソール)で、lilypondというコンパイラーを実行すると、テキストファイルから以下のファイルが出力できます。
- PDF (全ページが一つのファイルになる)
- PNG(画像ファイル。ページごとに別ファイルになる)
- SVG(ベクター線の画像ファイル。拡大しても解像度が落ちない)
- MIDI (MIDI 再生音楽)

他のソフトで作成されたMusicXML、MIDIファイルをインポートできます。
公式にはMusicXMLをエキスポートする機能はありませんが、別のプロジェクトで 作られているようです。

他のソフトのように、グラフィカルなインターフェイスも作られていますので、テキスト入力が苦手な方はこちら Frescobaldi が便利でしょう。

もう少し凝った譜面…アウフタクト、グリッサンド、スラー、タイ、装飾音符などの入った譜の例を示します。

例2

最後の \layout {}, \midi {} はMIDI出力するときに必要になります。
(2/26修正:\key f \major となっていますが、\key d \minorの間違いです。
 出力は同じです。)

例2の出力

楽譜の記法を見ているといろいろな書き方が学べます。上例でグリッサンドや息継ぎ記号などもいくつか種類があります。このように楽譜を書く規則はありますけれど、本来人間が書くものなので自由な書き方ができるようにするべきなのでしょう。LilyPondはSchemeというプログラミング言語を埋め込んで表示を自由に調整することもできます。
LilyPondは非常に高度な記譜もできそうですね。しかしそこまで使いこなすのは難しいでしょうけれども…。

今日のおまけ

T-Square "Truth" 1994


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