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97★彼の涙の訳:やり場のない悲しみ

今日はしんみり系です。読んだら気持ちが沈んじゃうかもなので、ご注意を。


我が家は夫(お父さん)がおりません。我が家は1馬力家庭でわたしは結構忙しい。なので子供たちには(もしかしたら他の家庭より)沢山家事を手伝ってもらっている。しかし、子供は子供。家事のことでズルをしたりその事で姉弟が喧嘩になることがある。そういう時は、都度家族会議をする。

居なくなってしまった夫の話は良いときも悪いときも当たり前に出てくる。長年のチームメンバーだから当然。4人用のボードゲームを3人でしているとき「パパ居ないと盛り上がらんよなー」と誰かが言う。こういう楽しいときは別に良い。しかし、問題勃発の家族会議では違ってくる。

「パパがいない」というワードが出ると息子が泣き出す場面がここ最近良くある。しかもしばらくは手がつけられないほど号泣する。

そりゃそうだ。

わたしは大人だからこうやってnoteに書くこともできるし、境遇は違えど身内が亡くなったという話に共感してくれる人も(多くはないけど)周りにいる。しかし、中1で父親を突然亡くした息子は、誰にその悲しみを打ち明けられるのか?おそらくそんな相手はわたし以外に居ない。泣ける場所も家の中以外にない。必要な分だけ涙を流せてない気がする。

わたしが23才のとき父親に癌が見つかった。わたしは父親っ子だったので不安で不安で、当時の彼にその不安を話した。そしたら京都の鈴虫寺に連れていってくれて、一緒に説法を聴いた。そして父の回復を祈った。わたしの初めての「大切な人を失うかもしれない不安」は23才の時。息子は今13才。しかも「失うかもしれない不安」ではなく、彼が抱えるのは「失ってしまった悲しみ」だ。わたしには息子の気持ちを全部理解してあげることはできない。泣き出したら背中をさすって、寂しいねと一緒に泣くくらいしかできない。泣き止んだら「目が腫れるね」と言って保冷剤を用意してやり、ぎゅっと抱き締めるくらいしかできない。

同級生になんて話せないだろうし、だれからも共感を得られない。彼はわたしなんかよりもっと孤独かもしれないな。そう思うと急に夫が憎らしくなる。かわいい息子を号泣するほど悲しませやがって、この糞ジジイ!そばで見てるなら、そう言いたい。

先日の、一連の母親の話をしたら人生の大先輩がわたしにこう言った。「親なんて憎ませてくれるくらいでちょうどいいのかも。大好きだったら別れが来たら悲しいでしょ」うん、確かに。
わたしが37才のときに父親が亡くなったが、そのときは喪失感がハンパなかった。辛くて悲しくて悔しくて「人生ってなんやねん」と思った。何年間も突然の涙が止まなかった。

夫は息子に愛されて逝ってしまった。息子はウザくなるほど父親を満喫する前に引き裂かれた。悲しいけど、それも彼の人生の一部だから仕方ない。そこから何かを得てくれたらいい。別に何も得なくてもいい。今は彼の悲しみに寄り添うことしかできない。



クワークルというボードゲーム
わたしはこれ弱いです

憎ませてくれる母の話はこちら😂

最後に本日のお弁当はこちら


おしまい

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