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マジカル・パンチライン 全曲紹介

【2023.2.16最終更新】

〈第一章〉ポニーキャニオン時代

メンバー 佐藤麗奈、沖口優奈、浅野杏奈、清水ひまわり、小山リーナ


☆1stミニアルバム「MAGiCAL PUNCHLiNE」収録曲

「Magiかよ!? BiliBili☆パンチライン」
 デビューミニアルバム「MAGiCAL PUNCHLiNE」リード曲。世に初めて出たマジカル・パンチラインの曲です。佐藤麗奈率いる新グループがどんなグループなのかとファンが見守る中、思いがけずパンチがある曲が来たな、と驚きました。
 ロックやメタルの影響が大きい凝った楽曲構成は、あのマーティ・フリードマンも絶賛。仕掛け人は、ポニーキャニオンのA&R、シマムラユズル氏です(歌詞にも「シマムラ」が登場)。シマムラ氏は、ロックバンドArbusの元ボーカル。そのエッセンスを取り入れたのでした。
 初めてのオリジナルソングとして仮歌を聞いた沖口さんは、アイドルになりたいという夢が叶った実感からか、感極まって号泣。歌詞中に当時のメンバー名を取り入れた個所がありますが、そこが現在どうアレンジされているかはお楽しみに。

「小悪魔Lesson 1・2・3♪」
 魔法使い見習いの少女たちのレッスンをコミカルに歌った可愛らしい曲で、ドリーミュージック移籍後の「可愛いマジパン」でも披露される機会は多め。サウンドもビックバンド風で楽しい。
 現在は間奏でメンバーがファンに向けてジャンケンをしますが、初期はそれがなく、いつから始まったかは記憶なし。冒頭および間奏の「ハイ!ハイ!」はみんなで一緒に盛り上がりたいですね。「Lesson1」「Lesson2」ではそれぞれ指を一本、二本、あげましょう。
 個人的に、こちらのリハーサル映像で、冒頭の「イェイ!」のシーンを入念に合わせているのが好き。可愛さ楽しさ全開の裏で、こういうところを厳しく頑張っているのがプロフェッショナルだな、と。ぜひこの曲で注目してほしい部分です。


「Prologueは摩訶不思議」
 略称は「マカマカ」。魔法使い見習いの日常を描きつつメンバーの個性を紹介する、という最初の自己紹介ソングです。ただ、自己紹介ソングであるため、メンバーが代わってからは披露の機会が減ってしまいました。
 現体制で未発表であるのはもちろん、吉澤さんが加入した第三章以降でも、やはり全曲ライブであった四周年記念のオンラインライブで披露されたのみ(だったはず)。その際は歌詞の変更は行わずメドレーでサビ部分だけ歌う、という形だったのですが、さて七周年ではどうなるでしょう? 

「万理一空 Rising Fire!」
 激しい曲が多い初期マジパンにおいても、屈指の戦闘力の高さを誇ります。ファンタジーの戦闘を思わせる歌詞、ロックというよりメタルに近い歪んだギター。しかし、音源よりライブはなお激しい。
 前奏の「いくぞぉ!」でファン側もバチバチにテンションが上がりますが、この煽りが始まったのは第二章から。年々、曲が進化しているのです。その激しさを年齢が若返った新体制で表現するのは難しいかな、とも思っていましたが、ハロウィンツアーでのライブは見事でした。
 コールやMIXも全力で盛り上げたい一曲です。サビ前の「イエッタイガー」が決まると気持ちがいい。間奏ではガチ恋口上も入ります……が、僕はちゃんと覚えていません(汗)ワンコーラスだけですが、メンバーによるMIXやってみた動画です。ご参考に。

「Never Ending Punchline」
 アルバムの掉尾を飾る曲であり、初期、ライブの最後に披露されることが多かった曲です。「万理一空 Rising Fire!」と並ぶメタル色の強い曲で、マジパンの終わらない冒険を歌っています。
 個人的に「カーテンコールなんていらない」という歌詞が好き。「行けよマジパン」この曲の通り、いつまでもマジカル・パンチラインの旅は続いてほしいものです。サビは、マジパンポーズでメンバーと一緒に腕を大きく振りましょう。
 ラスト、長く荘厳な間奏のあと、シルエットになったメンバーが右手を上げるシーンは、昔からのファンは誰しも胸が熱くなります。ファンも同時に右手をあげましょう!(ただし、先日のワンマンでそこはカットされていたのでどうなるか)



☆2ndミニアルバム「MAGiCAL MYSTERY TOUR」収録曲

「マジカル・ジャーニー・ツアー」
 「MAGiCAL MYSTERY TOUR」のリード曲です。現状、マジパンのMVでもっとも多く再生されている曲であり、ポニキャン時代の代表曲といってまちがいないでしょう。魔法感満載で可愛らしいMVは、猿島で撮影されたもの。「神樹区(新宿)」「アキヴァルハラ」といった言葉遊びもおもしろく、振り付けもまるでミュージカルのようで、まさに魔法とともにあちこちを旅している気分になれます。
 前作を引き継ぐ凝った音作りながら、よりポップに、ノリやすく仕上がっているのも印象的で、とても盛り上がる一曲です。一番の見せ場ともいえる「もーっと!」のパートは今は、益田さんが引き継いでいます。ファンもみんな一緒に「もーっと!」と声を上げましょう。

「108煩悩bomb」
 ドリーミュージック移籍後、もっとも多く披露されているポニキャン時代の曲であるのはまちがいありません。そのため、7年間通算ではもっとも多く披露された曲では?と思うものの、ちゃんと数えてはいませんのであしからず。
 なぜそんなに披露されているのか。それはシンプルに、アイドル側もファン側もめちゃくちゃたのしい一曲だから、です。ファンキーでノリがいいサウンド、サビのキャッチーなメロディー、言葉遊びに富んだラップ、「あの子がほしい」の吉澤さんの顔芸など、見所はたくさん。対バンでの初見さん、サブカル好きや音楽好き、可愛さやノリを楽しみたい人、あらゆる層にリーチする人気曲です。
 魔法設定と重めのサウンドがポニキャン時代の楽曲の特徴ですが、実はバックの音はめちゃくちゃ軽い。他の曲のように低音やエレキギターを響かせるアレンジも可能だったはず。まちがいなく、意図的にそれらを排しています。そしてそれが、絶妙な味わいになっている。
 言葉遊びをやりつくしたような歌詞も特徴的。意図的にセンス良くわけの分からない歌詞を書くのは、当たり前に恋愛や夢の歌詞を書くよりずっと難しい。音として心地よい言葉のチョイス、絶妙な当て字、いい具合の煩悩の描き方。とてもよくできた歌詞だと思っています。
 個人的に、好きなアイドルの曲だから、という贔屓目抜きに、純粋にサウンドとしてとても好きな曲です。

「Happy New Kitchen」
 重め&凝った楽曲構成が多い初期曲の中では希少な、可愛らしい曲。異世界の具材をおっかなびっくり調理する、という設定もとてもおもしろい。同時期に売れた「ダンジョン飯」にインスパイアされたのかもしれませんが、そのあたりは不明。
 楽曲がぴったり3分で終わるのは、もちろん3分クッキングへのオマージュです。定期公演ONE TIMEでは、山本さんがセトリに入れており、ブログに書かれているとおりお気に入り曲である模様。見どころは調理風の凝った振り付けで、これが実に元気で可愛らしい。
 個人的には、2019年ハロウィンツアーの際、当時の年少&歌唱力不安組が初々しく披露していたのが印象的です。初期の魔法設定のおもしろさと、アイドルらしい可愛らしさのいいとこどりの一曲、と言えるでしょう。

「那由多不可思議ソウルライブツイスター」
 曲としての強さ、でいうならば、初期マジパンでは「万理一空 Rising Fire!」と並び双璧と言えるでしょう。この二曲が続いたときのバチバチのカッコよさと言ったら。
その分カロリー消費も多く、体力的には大変な曲です。間奏ではメンバー同士が演武のように戦う振りがあるのですが、昔、リハーサルでこの曲をやったときにメンバーの蹴りが沖口さんの側頭部に当たってしまったのを見たことがあります(笑)そこの振りも注目ですね。

「謎から謎めくMystery」
 「MAGiCAL MYSTERY TOUR」のトリを飾る曲であり、初期マジパンにおいてライブの最後に歌われることが多かった曲でもあります。マジパンらしい魔法設定とアイドルの可愛らしさ、冒険の壮大さを兼ね備えており、個人的にもとても好き。
 見どころはなんといってもサビの謎謎トレインでしょう。コロナ前は、名前も知らない隣の人の肩を持ってトレインを作り、左右に動いたものです。個人的な話で恐縮ですが、2018年、マジパンの歴史上でももっとも苦しかった時代に、京都への遠征があったのです。当時は関西在住でしたので、久しぶりにライブを見ることができました。そこで披露された「謎から謎めくMystery」、アウェイの地でどうなるかと思っていたら、多くの人が肩を持ち謎謎トレインを作ってくれたのです! あのときの情景は、今でも非常に忘れがたいものです。
 コロナ禍ですので実際に肩を持つことは気を遣うかもしれませんが、ぜひメンバーのマネをして、左右に動いてみましょう。また、前奏ではみんなで一緒に「キンコンカンコン」と声をあげましょう! あと、歌詞の「ザワザワ」が「ヨシザワ」になる遊びが入ることも。


☆1stシングル「パレードは続く」収録曲 

「パレードは続く」
 二枚のミニアルバムに続いて発売された、1stシングルです。実はこのとき、マジパンは「最初の試練」とも言うべき困難な状況にありました。果たしてグループは今後も無事に活動を続けていけるのか。そういう中でリリースが発表されたのが「パレードは続く」でした。
 「マジカル・パンチラインのパレードは、まだ続いていく」思えば、周りのみんなを笑顔にするマジパンの活動そのものが「パレードのよう」と言えるでしょう。そういう背景もあって、昔からのファンにとってはとても思い入れの深い一曲です。「雨上がり、雷、雲が過ぎて、鮮やかな太陽がのぞいた」という歌い出しの歌詞が、またエモい。
 分厚い音のロックテイストからは脱却しつつ、凝った音作りは健在。間奏のスコティッシュな民族楽器のアクセントがいい。「運命のままに」「長い夜も越えて来た」の沖口パートのあとは「お・き・ぐ・ち・ゆ・う・な!」のコールがばっちりはまるのでぜひみんなで一緒に。
 ちなみに、MVの撮影場所は北海道です。春の北海道、晴天のもと雄大な自然の中で撮影を……と目論んでいたところ、記録的な寒波に見舞われ、めちゃくちゃ寒かったんだとか。そのときのMV撮影の風景は、付属のDVDに収録されています。

「ミカガミ・ラビリンス」
 荘厳な前奏で始まる魔法感全開の一曲です。サビのメロディーの強さが印象的。メンバー曰く「アニメの主題歌みたい」ということで、特にアニメ好きのメンバーはお気に入りだと語っていた記憶があります。
 現体制でいまだ披露がないうちの一曲ですが、明るさや可愛さといったアイドル要素がないことから、そもそも当時からレア曲で、ライブで披露されたこと自体が少なめ。今のメンバーでのパフォーマンスがどんな感じになるか、楽しみですね。

「マジック☆ガール」
 世に出た初めての曲は「Magiかよ!? BiliBili☆パンチライン」ですが、実はその練習?として初めてレコーディングしたのは「マジック☆ガール」なのです。マジパンの0番目とも言える曲が、2枚のミニアルバムを出したあとのファーストシングルのカップリングとして収録されました。 実はそのときと少し歌詞が変わっていて(イジワルなんじゃ→イタズラなんじゃ)メンバーがまちがって元の歌詞で歌ってしまったことも。
 それを知って聞くと、やや生煮えな魔法設定の歌詞も、初々しく感じます。歌詞中の「タイガーゲート」は、当時所属していたポニーキャニオン本社が虎ノ門にあったため。ジャズというよりスカ、ビッグバンド風のサウンドは軽快で、可愛らしく、楽しい一曲に仕上がっています。

☆2ndシングル「DEUS EX MACHINA」収録曲

「私が私を燃やす理由」
 一応この曲が、シングル「DEUS EX MACHINA」のリード曲という扱いですが、実は「DEUS EX MACHINA」自体が、実は非常に特殊な企画を通じて発売されたCDでした。
 広告用の人工知能に「話題になるMV」のディレクションをしてもらうという企画で、なんとそれをもとに音源より先にMVを製作してしまったのです。さらに野心的なことに、MVに合わせた曲を四曲も作り、それをすべてシングルとして収録したのが「DEUS EX MACHINA」なのでした。
 企画の詳しい内容は、マジパンの公式YouTubeの初期にすべて上がっていますので、そちらをご覧ください。AIが指示したディレクションのワードは「狩猟本能」「アンニュイなトーン」「学園モチーフ」などで、楽曲もそれに沿った作りになっています。

 こちらが「タイトル未定」として、先にクリック音だけで公開されたMVです。これに合わせて、楽曲が制作されました。

 そういう背景はそれとして、曲頭のピアノ、疾走感のある前奏、キレのあるサビと、バチバチにかっこいい曲に仕上がっています。MVの世界観を反映した歌詞もいい。また、この曲で初めて、落ちサビがソロになりました。当初任されたのは当時最年少の歌姫、小山リーナで、現在はやはり最年少の歌姫、宇佐美空来が引き継いでいます。低音でカッコよく決める落ちサビは、この曲最大の聴きどころといってまちがいありません。
 ちなみに略称は「わたわた」です。

「手のひらがえし」
 前述のとおり人工知能によるディレクションで制作したMVに合わせて作られた曲。この企画自体が、ポニキャン時代のプロデューサー、シマムラ氏の肝いり企画でした。で、「手のひら返し」の作曲者は、池住祥平氏。
 池住さんは中川翔子やエビ中にも楽曲提供をしている作曲者ですが(ちなみにその二曲も作詞は田村歩美さんとのコンビ)、実はシマムラさんが過去所属していたバンド、Arbusのギタリストなのです。シマムラさんにとっては、昔の仲間との共同作業というエモい仕事なのでした。
 それもあってか、ハードな曲が多い前期マジパンにおいても、もっともハードロック寄りに仕上がりました。最初はマイクスタンドを置いてクールにカッコよくパフォーマンスしていましたが、さて七周年ライブではどうなるでしょうか。

「終わらざりしミスリル」
 「DEUS EX MACHINA」企画の一環として制作された曲で、スピード感とカッコよさでは「私が私を燃やす理由」に負けていません。アンニュイで非常に凝った世界観を体現している一方、そのため現体制の明るく可愛い路線にはそぐわず、未発表となっています。さて、現メンバーがどう表現するか。個人的には、サビ前の「さよなら」が好きで、そこを誰が担当するか注目しています。

「リインカネーション」
 「DEUS EX MACHINA」企画のトリを飾ったのは、飛びっきりの異色作。個性的な曲が多い初期マジパンにおいても、もっとも異色な曲であるといってまちがいありません。そのため、披露される機会は少なく当時からレア曲でした。
 ハイテンポなはずの元のMVに対し、あえてテンポを落とした点が個性的。印象的な歌詞、トランスに近い電子音強めの曲調などもあって「表現する」という点においてはとても難易度が高い曲です。若いメンバーたちとどう化学反応を起こすのかが楽しみですね。


※番外編
「戦の道」
 角田信朗さんのカバーで「CR花の慶次10周年記念アルバム」に収録されています。このアルバムは他に、バンドじゃないもん! や仮面女子、アップアップガールズ(仮)などが参加しており、発売元がポニーキャニオンであるという縁から、マジパンにも声がかかりました。
 沖口さんのブログの通り、もともと披露の予定はなく、四人体制ラストの渋谷Duoワンマン前の決起集会で披露されたのみ。僕も一度も見たことがありません(汗)全曲披露といってもまさか「戦の道」はあるまいと思っていたので、びっくり。どんな風になるか、当日が楽しみです。

◎短評
 ポニーキャニオン時代の楽曲制作は、基本的にポニーキャニオンA&R、シマムラ氏がリードしていました。氏が元バンドマンであることに加え、当時のアイドルシーンにおいて、ももクロの活躍やベビーメタルの躍進もあって、低音重め、変調多用の凝った音作りが流行りだったこともあり、それをさらに推し進めたようなサウンドになりました。
 さらには、魔法設定のガジェットももりもりで、とても面白い世界観を表す楽曲群となっています。もっともそのために、当時すでに盛り上がりを見せつつあった「ノリやすい」「MIXが入れやすい」という分かりやすいアイドル曲というムーヴに乗れなかったのもたしか。
 また、メンバーのほとんどが初心者だったということもあって、録音された声の加工が強めなのも不満点ではあります。もっとも、後半では個々のボーカルを活かす方向へ進みつつあったので、アレンジの趣味ではなく純粋にメンバーのスキルの問題ではあったのでしょう。
 現在では可愛く明るい王道アイドル路線を突っ走るマジパンですが、そうした曲をメインにしつつ、時折挟まれる第一章時代の曲がいいアクセントになっているのではないでしょうか。



〈第二章〉ドリーミュージック時代①

メンバー 沖口優奈、浅野杏奈、清水ひまわり、小山リーナ

☆3rdシングル「Melty Kiss」収録曲

「ONE」
 シングル「Melty Kiss」のカップリングですが、お披露目は「Melty Kiss」よりも先。ポニーキャニオンからの契約が切れ、根無し草となっていたマジパンからの「久々に新曲を発表します!」といううれしいお知らせを受けて、アキバカルチャーズ劇場での定期公演で披露されたのが「ONE」でした。
 マジカル色が強かったポニキャン時代とは打って変わって(その分、当時は戸惑いもあったのですが)、シンプルで力強い曲となりました。ストレートな応援ソングで、サビは愚直に腕を振り上げる。まさに、マジパンの新しい始まりを告げる曲でしょう。特に、歌い出しのメッセージ性の強さは、とても印象に残ります。
 一番エモい曲はなにか。アンケートをとれば「ONE」になるのではないでしょうか。マジカル・パンチラインのアンセム、でしょう。この曲を聴くと、一番苦しかったころ、そこから力強く前に進んだことを思い出します。メンバーにとってファンにとって、とても大切な曲です。
 このドキュメンタリーを見ていただければ、当時のマジパンがどれほどの苦境にあったのか、そこから一歩を踏み出した「ONE」がどれほど大事な曲か、きっと理解していただけるでしょう。

※なお、シングルは四人ver、アルバム「MAGiCAL SUPERMARKET」には、吉澤、吉田が加わった六人verが収録されています。

「Melty Kiss」
 ドリーミュージック移籍後二番目に発表された曲で、移籍第一弾シングルでもあります。それまでなんと一曲も恋愛ソングがなかったマジパンが、初めてストレートに恋愛について歌った可愛らしい曲です。今ではマジパンの代表曲のひとつと言っていいでしょう。
 聞きどころはサビの「ヘイヘイ!」でしょう。以前は「ヘイヘイマン(本人談)」として清水ひまわりさんが担当していましたが、卒業後は吉澤さんが引き継ぐと宣言。しかし今は、益田さんが担当しています。ファンも一緒にヘイヘイは手を振り、声をあげましょう!
 「また君に恋をする」のあとの「オレモー!」も気持ちよく決めたい。ラスト、可愛さに振り切った「君に溶けて無くなっちゃうわ」は誰が引き継ぐのか注目していましたが、なんと沖口さんが歌って、とても驚きました! しかし今は歌割が変わり、吉澤さんが担当します。
 実は意外と「吉澤曲」ってパッと思いつかないんですよね。ふわふわした可愛らしさに溢れていて、落ちサビとラストを担当しており、そして初めて吉澤さんがステージで披露した曲でもある「Melty Kiss」は、これから「吉澤悠華の曲」になっていくのではないでしょうか。
※なお、シングルは四人ver、アルバム「MAGiCAL SUPERMARKET」には、吉澤、吉田が加わった六人verが収録されています。

「ハルイロ」
 シングル「Melty Kiss」カップリング。ドリーミュージック移籍後、三番目に発表された楽曲で、マジパンとして初のバラードとなります。エモ曲、可愛い曲、バラード、とバランスよく発表しているのがよく分かります。初のバラードでよくもここまでと思うような旋律の美しい直球の良曲を、メンバーがまっすぐな歌声で歌い上げます。
 春の卒業や別れを歌った曲で、気持ちを込めすぎたメンバーが涙を浮かべてしまい「まさか卒業か?!」なんて邪推を生んだ、なんてことも。山本さんが語っている通り、それぐらい思い入れを持ってしまう一曲、ということなのでしょう。
 (僕の記憶が正しければ)ファン側の「この曲はピンクが合うのでは」というアイデアから、自然とピンクのサイリウムを振るようになりました。たしか、吉澤さん、吉田さんが加入した渋谷Duoのワンマンだったかと。今では、メンバー自身もピンクペンライトを持ってパフォーマンスをすることもあります。
 また、稀にアコースティックヴァージョンで披露されることもあり、そのときの良曲っぷりときたら! 本当に、とても素敵な曲です。

◎短評
 ポニーキャニオンからの契約が切れ、根無し草となったマジカル・パンチライン。救ってくれたのは、ドリーミュージックでした(また、新たな契約先を探してKマネが一マネージャーという職域を超えて尽力してくれたのは想像に難くありません)。
 前述のような魔法設定、凝った楽曲から一転、王道のアイドル路線への転換は、当時のファンには少なからぬ戸惑いがあったのはたしかです。それでも、正統派のエモ曲、アイドル曲、バラードとひとつひとつ歩みを進めていく様は、アイドルグループとして新たに生まれ変わろうとしているかのようでした。
 ただ、やはり王道――というよりベタに過ぎ、純粋に音楽としてみると少々食い足りないのもたしか。よりマジパンらしい色を発揮していくのは、次曲「今日がまだ蒼くても」からでした。



〈第三章〉ドリーミュージック時代②

メンバー 沖口優奈、浅野杏奈、清水ひまわり、小山リーナ、吉澤悠華、吉田優良里

☆4thシングル「今日がまだ蒼くても」収録曲

「今日がまだ蒼くても」
 ドリーミュージック移籍後「Melty Kiss」に続く第二弾シングルにして、吉澤さんが加入したマジパン第三章初の新曲でもあります。マジカル・パンチライン全41曲で一番の名曲は、と問われたら、僕は「今日がまだ蒼くでも」を挙げるかもしれません。
 初披露は、2019年3月のよみうりランドらんらんホール無料ワンマン。新体制スタート後初の大きなイベントであったにもかかわらず、思うように集客できなかった「挫折の記憶」でもあります。しかし「今日がまだ蒼くても」という名曲の誕生は、未来の大きな希望となるものでした。
 頭のサビのインパクト、メロディーの美しさ、シリアスながら疾走感のあるテンポ、現状の「蒼さ=未熟さ」を認めながら、前に進もうという歌詞。山崎あおい&俊龍コンビによる、非の打ちどころのない一曲です。前奏の音が鳴るだけで、胸が高鳴ります。
 ブログにて吉澤さん本人が語る通り、吉澤さんのソロパートは二か所のみ。しかし、それも仕方ないかなと思わせるほど、当時の歌声は頼りないものでした。また「今日がまだ蒼くても」リリース当日のリリイベでの彼女の涙も忘れがたい。今では不動のセンターとして、重要なパートも堂々と歌い上げている様を見ると、まさに「まだ蒼かった」吉澤さんの成長を実感できる曲でもあります。

「ぱーりないと!!」
 アイドルグループには定番のタオル曲がなかったマジパンの、待望のタオル曲です。ステージにタオルが置かれたら、ぱーりないと!!の合図。ファンもタオルをぶんぶん回しましょう!
 マジパンの楽曲の中でも「Melty Kiss」と並んでファンによるコールが入る曲です。シングル「もう一度」通常版C収録のライブヴァージョンを聞くのが分かりやすいでしょう。とにかく明るく!楽しく!はっちゃけましょう。メンバーもテンション上げすぎてヘッドセット飛ばしがち(山本さん)。
 初期は「ぱーりーないと!!」「ぱーりないと!!」の表記が混乱していましたが、現在は後者に統一。落ちサビ担当はそらっち。最近は軽やかにステップを踏みながら歌っているにもかかわらず、まったく歌声がぶれない歌唱力は見事。個人的に注目しているポイントです。また、配信ライブでのコメントでは通常、タオルを回すコメントは「@」ですが、当時のメンバーがまちがえて「の」と指示してしまったため、今でもマジパンでは「の」が使われています。

「マジ☆マジ☆ランデブー」
 マジパン第三章における自己紹介ソングです。そのため、新体制になってしばらく披露されることはありませんでしたが、2022年ハロウィンツアーから歌詞を一新して復活! 変更箇所に注目しましょう。
 落ちサビは、当時最年少(中学二年生)だった吉田優良里が担当。初披露の際は、先輩が作った花道を通って堂々と歌い上げる様に感涙したものです。現在は、同い年である山本さんが引き継いでいます。そのシーンでは、全力の「はーちん!」コールで盛り上げたい!
 渋谷ストリームホールでのワンマンでは、間奏を長くしてメンバーそれぞれの名前をコールする演出も。声出しOKなので、ぜひ今回もそれを採用してほしいところ。「お兄さん」「お姉さん」のあとは「フッフー!」を、「マジファンイズばんざーい」はみんなで叫びましょう。また、「どれをボナペティ?(フランス語で「召し上がれ」の意)」のあとの「ぜ・ん・ぶ!」も大音声で応えたいですね。

☆5thシングル「もう一度」収録曲

「もう一度」
 ドリーミュージック移籍後第三弾のシングルです。後期マジパンにおいて、もっとも重要な曲はなにか。それはまずまちがいなく「もう一度」でしょう。「ONE」に引き続き「エモーショナルなマジパン」をさらに進化させた一曲で、作詞作曲は人気ボカロP、ナノウ氏。
 全編サビのように畳みかけるシンプルで力強いメロディー、逆境でも諦めない心を歌った歌詞、ファンとともに拳を振り上げ叫ぶ「Wow wow」、ラストのロングトーン。ギターロックをベースとした疾走感のある曲で、聞いていてたまらなく胸が熱くなる曲です。
 「Melty Kiss」「今日がまだ蒼くても」に続くシングルで、勝負の一曲でした。初披露時、メンバーの一人は感極まって涙してしまうほど。過酷なリリースイベント、その末に手にした過去最高のオリコン七位という順位、リリース日のメンバーの言葉。どれも忘れられません。
 意外とマジパンは、挫折と苦難が多いグループです。そのたび、もう一度、もう一度と乗り越えてきました。新体制になって一年、一度も披露されず、もしかしてお蔵入りか、と思っていた中でのワンマンライブでの「もう一度」には、震えるほどの感動を覚えました。

 マジファンのみなさんにお願いがあります。この曲だけは、全力で、声を上げてくれませんか。静かに見守る、声を出すのは恥ずかしい、観戦スタイルは人それぞれで、それを強制しないのがマジパン現場の良さです。しかし、この曲だけは、どうか声を振り絞り拳を上げてほしい。
 これまでで一番多くの拳で、一番大きな声で、新宿ReNYを埋め尽くしたい。100%の声援を送る人も、この曲では120%の声を出してほしい。グループをここまで引っ張ってくれた沖口さんに、毎日頑張っているメンバーに、その光景を見せてあげたい。そんな熱い曲です。
 また、そんな熱さが最高潮になるのが、落ちサビのロングトーンでしょう。当初は(MVのとおり)あんなに伸ばしませんでした。それがやがて、メンバー発のアレンジとして長く伸ばすようになったのです。
 現体制では、沖口さん、あるいは宇佐美さんが担当しています。沖口さん曰く「私がやるとメッセージ性が強すぎる」とのことで、ライブによって使い分けているようです。

「Alright」
 実は新体制で披露されることが少ないのですが、それを「もったいない」と感じてしまうぐらいの良曲です。たしかに派手さはありませんが、この曲とともに海岸線をドライブすればさぞ気持ちがいいでしょう。そういうお洒落な曲です。
 初披露時から、メンバーはピンクのペンライトを持ってパフォーマンスをしていました。ファン側も、このときはピンクで揃え、サビでは一緒にペンライトを振りたいたいですね。やはりピンクを振る「ハルイロ」と続けてパフォーマンスすれば、とてもいい感じ。

「これから、私!」
 初めてバンドから楽曲提供いただいた曲(ONIGAWARAさんありがとうございます)。そのためか、可愛らしいアイドルソングとみせて、実は音楽的完成度がとても高い。ベースラインや洒落たギターリフが凝ってます。Bメロから駆け上がるようにサビに繋いでいく構成、間奏の転調も楽しい。間奏では「まだまだまだまだこれからだから」とファンも一緒に歌いましょう。サビでは振りコピで楽しみたいですね。ただ、そういう「単純な曲の良さ」以上の語りつくせぬ魅力がある曲なのです。
 はじめは「アイドルらしい可愛い曲だな」ぐらいにしか思っていませんでした。それがいつしか、ライブの締めとして歌われることもあるほどの人気曲に。また、オリジナルメンバー三人の卒業ライブではアコースティックヴァージョンが披露され、唯一動画撮影OKになりました。
 あまり感傷的なことは書くまい、と思いつつ。推しの卒業後、聞いていてもっとも胸が苦しくなった曲です(いまだにそのライブ映像を見ると涙腺が緩みます)。「大事なことなら一からまた集めればいいじゃん!」まさにそうして、一つずつ拾い集め、今のマジパンがあります。
 「大丈夫きっと上手くいくよ」サムズアップで歌う、ファンへの、そしてメンバー自身への応援ソングと言えるでしょう。まちがいなく、後期のマジパンにおいてとても大切な曲の一つです。音源だけでは味わえない楽しさ、あたたかさをぜひライブで体感してほしいです。

「名もなきヒーロー」
 作詞作曲は「今日がまだ蒼くても」と同じく、山崎あおい&俊龍のコンビ。どちらもマジパン屈指の名曲なので、ぜひまたお願いしたいところ。ギターリフのかっこいいロックテイストで、初期曲との相性もばっちり。
 歌いだしが沖口さんだったこともあり「沖口曲」として認識されていましたが、新体制になって落ちサビも沖口さん担当に変わり、名実ともにもっとも沖口さんが目立つ曲になりました。決してヒーローではない普通の自分だけど、君のためならヒーローになれる。なにかと目立ちがちなマジパンメンバーの中で「普通の人」として個性を発揮してきた沖口さんにとって、とてもシンパシーを感じる一曲なのでしょう。
 サビはメンバーと一緒に手振りを、ラストの「ラララ」はファンも一緒になって大合唱しましょう! そしてラスト「君を待ってるよ」のあとに「オレモー!」と叫ぶのはめちゃくちゃ気持ちいい!

☆1stフルアルバム「MAGiCAL SUPERMARKET」収録曲

「マジカル・スーパーマーケット」
 1stフルアルバム「MAGiCAL SUPERMARKET」のリード曲です。いかにもリード曲らしい、華やかで楽しいポップソング。タイトル通り、スーパーマーケット的な「いろいろ詰め込みました」という雰囲気が、アルバムの一曲目にぴったりです。
 音楽的に一番の特徴は「サビがユニゾンではない」点でしょう。メンバーそれぞれのソロがある、歌唱力や人気によって歌い分けに大きな差をつけないのは、マジパンの美点。「さあ、さあ、さあ」「FUN FUN FUN」のところが、とてもチャーミングで耳に残ります。

「ひとかけら」
 「ハルイロ」を経て、さらに壮大さを増した美しい正統派のバラードです。心のこもった歌声で、メンバーの声の個性、高い歌唱力を堪能できます。グループの境遇と重なるところもある歌詞がまた素晴らしい。
 「明日がいつか描いた夢のひとかけらでありますように」聞きどころはなんといっても、歌い出しのソロでしょう。このフレーズは、誰しもの心に刻まれるはず。メンバーが輪になって、ひとつの花を咲かせるような間奏の振り付けもとても印象的です。
 メンバーの歌唱力に大きく依存する曲で、これほどストレートに歌の良さを伝えるアイドルソングも希少でしょう。アウェイや対バンではノリがいい曲で乗り切るのが普通ですが、そういうステージでも戦える「強いバラード」です。

◎短評
 四人時代、および六人時代にリリースされた三枚のシングルおよびカップリング曲に、「マジカル・スーパーマーケット」「ひとかけら」という二曲を加えてリリースされたのが、1stフルアルバム「MAGiCAL SUPERMARKET」です。
 純粋に音楽的観点から見ても、名盤といってまちがいありません。まずは、楽曲のヴァラエティー性。可愛い曲から熱い曲、美しいバラードまで、ここまで色とりどりに揃えられたアルバムはなかなかないでしょう。まさに、スーパーマーケット的な楽しさに溢れています。
 また、アイドルオタクとして名高いニッポン放送アナウンサー、吉田尚記氏が語るとおり、メンバーの歌唱力・魅力を全面的に信頼して作られている、という点は特筆すべき美点でしょう。声の加工は最小限で、サビ以外はほとんど各メンバーのソロ。グループアイドルで、ここまで一人ひとりの声が聞こえる歌割は滅多にありません。全編通して、ライブ感を尊重したアレンジになっていると思います。
 自分たちの歌声を信じ、それをまっすぐ聞き手に届ける。その潔い姿勢こそ、このアルバムの最大の魅力でしょう。



〈第四章〉ドリーミュージック時代③

メンバー 沖口優奈、吉澤悠華、益田珠希、山本花奈、宇佐美空来

☆2ndアルバム「キラハピ☆THE WORLD」収録曲

「キラハピ」
 新メンバー三人が加入し、沖口さんがプロデューサーを兼任するようになって初めて披露&リリースされた曲です。可愛く明るい平和な気持ちになれる曲で、世界中の毎日をキラキラハッピーにする、という沖口さんが掲げたコンセプトをまさに体現しています。
 個人的に、沖口さんが乗っていたバスに吉澤さん、そして新メンバーが乗り込んでくる、というMVが胸熱。ドキュメンタリーでは、沖口さんがメンバーに細かく指導している光景を見ることができます。名目だけでなく、実務として沖口さんがプロデュースしていることの証左でしょう。
 また、この曲から吉澤さんが衣装デザインを担当しました。新メンバーにとってはもちろんマジパンに入って初めての曲で、メンバーそれぞれにとって、名実ともに新しい一歩を踏み出す曲となっています。真っ白な衣装は、その決意を表していると言ってもいいのではないでしょうか。

「Shiny Shose」
 現体制において四番目にリリースされたデジタルシングルではありますが、初披露はずっと早く、2021年5月の新体制初ライブ。そのとき披露した「キラハピ」とともに、現体制を象徴する一曲でしょう。現体制でもっとも多く披露した曲でもあります。
 アイドルらしさ満点の可愛らしい歌詞と振り、ノリのいい快速チューン、そしてなんといってもサビの指差し爆レス。ファン側もペンライト片手に全力で推しを指さしましょう。サビの「君が好きで」をファンの名前に言い換えるという豪華な特典会が開かれたこともありました。
 本人も書いていますが、吉澤さんが初めて落ちサビを任された曲です。初披露時には、「あの吉澤さんが落ちサビを」と、驚きとともに感慨深くもなりました。吉澤さんはもともと、決して歌は得意ではありませんでした。彼女の成長を実感したという点でも、思い出深い曲です。

「渚のサーフライダー」
 現体制における二枚目のデジタルシングルにして、初の夏曲でもあります。ただただシンプルに、いい曲。メロディーがきれいで、ノリが良くて、楽しくて、可愛らしさもばっちり。まさに理想的なアイドルの夏曲と言えるのではないでしょうか。
 個人的に「宇佐美空来曲といえばなにか」と言われれば、この曲を挙げます。印象的な歌い出しはもちろん、夏の三浦海岸をバックにした溌溂とした可愛らしさが「まさにそらっち」でしょう。
 ただそれでも、益田さんの「渚の王子様~♪」が全てを持っていっている気はしますが(笑)なにかここでファン側もおもしろいコールができればいいですね(個人的に「オレダー!」を提案しています)。

「Spot Light」
 現体制のマジパンにおいて、メンバーもファンももっともノリノリに楽しめる一曲です。そのファンキーな曲調は、マジパン第一章の超人気曲「108煩悩bomb」の現体制ヴァージョンとも言えるでしょう。現在、トップクラスに披露される機会が多いのも納得です。
 みんなでクラップすれば、盛り上がることまちがいなしの一曲です。コールがどうなっていくかは分かりませんが「wow wow yeah」や「wa wa wa wa」「マジパン da PARTY」などは、ファンも一緒に叫んでみてもいいかもしれません。声出しで曲がどう進化するか、楽しみです。

「カルミア」
 現体制での三枚目のシングルです。「キラハピ」「渚のサーフライダー」とアイドルらしい楽曲が続き「この路線で行くのかな」と思っていたところ、思いがけずシリアスな曲が来てとても驚きました。「Melty Kiss」と同じクボナオキ作詞作曲と知ってなお驚き。
 アイドルらしい可愛さだけではない、というマジパンの魅力の幅の広さを伝える一曲と言えるでしょう。美しく力強いメロディー、凛とした美しさを伝える振り。MVの白と黒の衣装は、そんな彼女たちの両面性を表したものなのかもしれません。
 各メンバーがもっとも輝く曲はなにか、と考えたとき、益田珠希曲として一番に浮かんだのが「カルミア」でした。今では子供っぽい素直な笑顔も彼女の売りですが、やはり大人びた凛とした佇まいが素晴らしい。そんな彼女の魅力がもっとも発揮された曲ではないかと思います。

「Magical Zombie Night~イタズラしちゃうぞ~」
 マジパン初のハロウィンソング。軽快で可愛らしい曲ですが、意外と音作りは凝っています。デジタル音中心にボカロっぽく仕上がっていて、間奏ではダークな展開もあり、アルバムでの次曲「やみー」に上手くつながります。
 モンスターになり切って歌うメンバーの振りの可愛さ、いたずらっぽいメンバーの表情などみどころはたくさんありますが、なんといっても注目は、益田さんの「イタズラするけど問題ない?」のセリフでしょう。小悪魔的な益田さんの魅力が存分に発揮されたシーンです。

「くっりっすっまっすっ」
 マジパン初のクリスマスソング。おそらく沖口Pから「マジパンにもクリスマスソングを!」というリクエストがあったのでしょう。楽曲の特性上、クリスマス時期以外になかなか聞けないのは難点ですが、マジパンらしい可愛らしい曲です。
 クリスマス曲だからか、メンバーのパフォーマンスもよりいっそう子供らしさに溢れています。特に益田さんの「もういっかーい!」の可愛さへの振り切りっぷりは見どころ。への字目が見れることまちがいなし。益田さんが言うとおり「ランランラン」はみんなで歌いたいですね。

「メロディーズ」
 現体制のマジパンらしい、明るく元気な応援ソングです。印象的なのは、なんといっても山本さんが初めて担当した落ちサビ。中低音が得意な山本さんの音域に合っていることもあって、とてもエモーショナル。全力で緑を振りたい。
 シンプルな言葉で明るく前向きに進んでいく歌詞も、そう思って聞くととても山本さんらしい。個人的には、山本さんの姿を語り手として脳内に描きつつ、聴いています。そんな「山本花奈ソング」と言えるのではないでしょうか。

「あいわなびー」
 マジパン第三章時代の名曲「これから、私!」に引き続き、ONIGAWARA作詞作曲。可愛らしさを前面に押し出した曲ながら、ライブを重ねるごとにラストを任されることもあるほどの名曲へと成長した「これから、私!」。それに負けない名曲と言えるでしょう。
 男の子目線での恋の曲であるにもかかわらず、女の子らしい可愛さも満点です。第四章マジパンのいいところをぎゅっと詰め込んだ曲、と言ってまちがいありません。ラスサビ前の「あいわなびー!」をファンみんなで歌えば、会場が一体感に包まれると思うのですが、どうでしょう?

「やみー」
 明るくハッピーな楽曲で溢れるセカンドフルアルバム「キラハピ☆THE WORLD」において、異色ともいえる一曲。ダーティな雰囲気、マニアックなサウンドアレンジ、いきなり「エゴサは生きがい」と歌ってしまう歌詞。マジパンの表現の幅を示す曲と言えるでしょう。
 個人的にはサビ前のアレンジがツボ。ピアノの生音とボカロのような電子音の組み合わせ、機械加工した歌声は「ずっと真夜中でいいのに。」に代表される最近のトレンドを取り入れた形でしょうか。ライブでは笑顔少なめ。普段のマジパンとはちがう顔を楽しめる一曲でしょう。

「ずっと…」
 現体制の象徴とも言えるアルバム「キラハピ☆THE WORLD」の最後を締める曲です。なんと、共同作詞で沖口さんが初めて参加しています。挫折、単身での上京、同期の卒業、プロデューサー就任。アイドルとしての沖口さんの歩みを思い返すと、歌詞が心に沁みます。
 「いつかこの歌が思い出に変わるまで」いつかアイドルではなくなった日のことを歌いながら「ずっと…」と続けるその言葉は、逆説的に「いつまでもアイドルを続けるよ」という決意表明ではないか。そう受け取るのは、考えすぎでしょうか。
 あなたを笑顔にするため、歌い、踊り続ける。それこそが沖口さんの「キラハピ」の世界なのでしょう。どこまでも、周りの人のために頑張れる人。あまりに王道バラードすぎるため披露の機会は少なめですが、マジパンにとってとても大切な曲のひとつです。


「キラッとサマラブ」
 2022年夏にデジタルシングルとしてリリースされた夏曲で、現状では最新の曲となります。この曲の特徴はなんといっても「可愛い!」への全振りっぷり。MVも、衣装も、歌詞も、とにかく可愛いマジパンらしさが全開。三分半を一気に駆け抜けます。
 MVの再生回数は新体制で最高の十四万回超え。新たなマジカル・パンチラインの代表曲となったのではないでしょうか。個人的に「今年の夏のナンバーワン!」での吉澤さん益田さんのジャンプがとても可愛くて好き。ノリノリのこの曲に、どんなコールがつくのか楽しみです。

◎短評
 前体制との最大のちがいは、沖口さんがプロデューサーとしてサウンド面にも影響力を与えていること、でしょう。
 もともとももクロが大好きで、正統派アイドルに憧れる沖口さんの嗜好が如実に表れています。メンバーがフレッシュに若返ったこともあって、一部例外を除き、とにかく可愛く、明るく、ハッピー。まさにキラハピです。
 しかし前体制を知っている人間からすると、物足りなさを覚えなくもありません。それは「もう一度」「ONE」のような熱い曲の不在、です。
 ただそれは、仕方のないことともいえるでしょう。三人のフレッシュな新メンバーに、いきなり熱い曲を歌えと言われても、そこに内実が伴うはずがありません。グループとしては七年ですが、沖口さんがプロデュースするグループとしてはまだ二年です。この二年で、グループとして多くの経験をし、メンバーそれぞれのスキルもアップしました。
 それを糧とし、これから大きくジャンプする。その前段階としての、フレッシュな可愛らしさ、明るさに徹した期間だったと言えるのではないでしょうか。


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