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ホワイトイエローブラック

バンクーバーに住んで約1年半になる。最近個人的に気になっているのが ”White Privilege” について。日本ではあまりなじみのない言葉だが、要するに”白人の特権”である。有色人種(黒人、ヒスパニック系)に比べ、高い賃金が払われたり、就活が上手くいったり、白人であるだけでその恩恵を受けているということだ。特に米国では黒人を撃った白人警察官が罪に問われないケースが多い。その黒人には何の罪もなかったりする。

先日Netflix で Hello Privilege. It's Me, Chelsea というまさに白人の特権についての番組を見た。中年の白人女性のチェルシーというコメディアンが、自分が売れたのは白人であるという特権があったからでは無いか?と思い始め、White-privilegeについて白人・黒人両方の人種に対してインタビューをするといった内容だ。有色人種側が平等な権利を求めてその内容を主張するのは目にするが、白人が両人種と議論するというのはとても興味深かった。

黒人側の主張は大体皆さん予想通りで、平等な権利を得られていないというもの。白人の友達と一緒に車に乗っていて、警察官に止められた際も白人だけ帰らされて自分は刑務所行きだとか、黒人学区の学校は補助金が少ないだとか、それはどう考えても同じ権利を得られていないですよねという内容。

次に白人側。インタビューを受けていた8割いや9割の人間が特権なんて感じたことない。と。平然とそう言う。特権を当然と捉えている人間が特権について気付くはずも無く、そんなこと認めたいはずもなく。

さて、これを自分の身に置き換えて考えてみるとどうだろう。日本にいる日本人の感覚は恐らく白人のそのものに近いと思う。でも特権って気付かないよね。ただ米国ほど格差が大きくないのと、その格差が人種によって生まれているものでは無いから、ちょっと言い表すのが難しい。

ところが外国に住む日本人の立場は一気に反転。有色人種のアジア人、マイノリティの存在となる。白人のクラスメイトが、MVのアジア系バックダンサーに対し、”Why do they use fuckin Asian? (なんでカスのアジア人なんか使うん?)” とか言うのを耳にしたり、 アジア人を小馬鹿にした態度を目にしたり、もちろん大多数の白人はそうでないと思いたいけど、経験上そう言った有色人種を見下している白人に出会ってきた。ちなみに私の彼氏は中東系(英語ではブラウンと呼ばれる)で、モールで突然 ”ブラウンは国に帰れ” と言われて殴られそうになったり、父親がパイロットだったらしいが911が起きた時に解雇されたりとかなり過激な経験をしている。White privilegeについて、かなり厳しい意見を持っているが今までの彼の経験を考慮すると当然と思う。

先日、彼氏と共通の友人(白人)とこの話題について話した。ちなみに彼氏は仕事中で不在。その人が言ったのがこの言葉。

”あいつ(私の彼氏)って、人種差別とかWhite-privilegeについて過剰反応しすぎだよな。あいつの友達の半分以上は白人やし、こんなスーパー多民族国家のバンクーバーで白人に特権なんてあるわけない。問題があるとしたら、彼の人種じゃなくて彼自身の問題だ。”

ワーオ!オーマイゴッド!テレビトイッショ!ここで大した反論もできなかった私は超日本人。恥ずかしい。ちなみにこの友人は彼氏と15年来の友人であり、とっても仲が良くて一週間に五回くらいうちに遊びに来る。(来すぎやろ)

私が思うのは、現実的な部分ではなくて、なんかもっと根底のところに、白人だからこその自信というか、白人の方が偉いと思っている部分がどうしても見え隠れしてる人がいるってこと。あなたが私達を直接的に差別したことは無くても、あなたは自分のカラーで悪口言われたことは無いでしょ?って思う。自分じゃどうしようもないことの悪口って超コンプレックスになるじゃないですか。超絶美人な中学の同級生に、あんたブスって言われた感じ?妬み悲しみ恨みトラウマ一気に色んな感情が生まれるあの感じ。それが人種という部分に直結したときに、すごく大きなコンフリクトが起こる。

バンクーバーは移民の町だから、人種的な悪口をいうのはかなりタブーだし、移民に理解のある人も非常に多い。その反面、違う人々が混ざって暮らしているという現実は非常に沢山のストレスを生み出す。私の文化で普通のことが隣人の文化では超失礼にあたるなんてことは日常茶飯事。

何が言いたいかというと、やっぱり、色んな人種とか文化が混ざるって難しい。だから街中を見渡しても同じ人種のカップルが8割以上。このバンクーバーで8割以上ですよ、これってすごくない?やっぱり人間にとって常識とか文化を共有できるってすごい安心するし、すごい楽なことなんやと思う。だからこそ海外に来てこっち側の人間になれたのってすごく貴重な経験。うちの亡くなった祖母とか結構反韓、反中国な人間で、’’○○さんの娘さん韓国に嫁いだらしいで、あんたはそんなん辞めてや”とか普通に言うてた。ええやん、好きで結婚したんやからほっといたれよ。そういう考え方がどれ程しょうもなくて、どれだけ人を傷つけて、どれだけ憎悪の感情を産むのか、身をもって分かっただけで丸儲け。私は人に共感することがとても下手で、想像力でカバーできる部分が極端に少ないから、基本的に実際に経験してみないとわからないというカス人間だ。だからマイナスな経験も結構自分の糧になる。これで将来自分に子供が生まれたて、その子が同じ状況に陥った時にほんものの言葉で伝えられる。本当にその子の気持ちになって考えてあげられる。

少しアンチ白人みたいな記事になってしまったけど、白人の友達もいるし、みんなすごい良い人で普通に仲良い。全員が全員そうじゃないのはベースとして、移民国家にはこんな現状もあるよって思ってもらえると嬉しいです。

以上。ここまで。


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