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【買物論文】セブンのPBとイオンのP B(トップバリュー)、成功しているのはどちらだ?

“買物“に関する論文をピックアップして考察していきます。
ピックアップする論文の特徴は、
特徴1:実務に使えそうな、分かりやすい結果が出ている
特徴2:結果に対して、人間の気持ちや行動が考察ができる
特徴3:追加でこんな事知りたいと、想像をかき立てられる

今日の論文の紹介
プライベート・ブランド階層の中のサブブランドがストアロイヤルティに与える影響について
羽 石 奈 緒
https://www.jstage.jst.go.jp/article/promotion/13/0/13_7/_pdf/-char/ja

小売りのPBにまつわる研究です。
その中でも、セブンのPBとイオンのPBという二大PBについて研究しています。

論文より

昔のPBのイメージは、NBに比べるとちょっと質は悪いけど価格が安い!
でしたが、
セブンゴールドが出だしたあたりから、印象が変わりました。
上記の図にもあるように、PBのブランドは価格帯別に3つに分かれ、
かつ環境配慮やサスティナビリティ配慮のサブブランドが生まれています。

しかし、欧米に比べると日本のPB比率は低いです。
実際、少し昔しのデータが論文にも紹介されていて、
国別 PB 比率(食品・日用雑貨)を比較すると、 上位はスイス 45.0%、イギリス 40.8%、スペイン 40.6%に対して、日本は7.5%と低い(矢作2014)
となっています。

最近、日本の小売りの中期経営計画などをみていると、
PBの比率を伸ばすという目標を掲げているところが多く
本腰を入れてPB比率拡大に乗り出しています。

PBが重要視されている背景としては、
①利益率が高い、商品の自由度が高い
②物価高の影響で、PBシフトが進んでいる
③ネットスーパーが普及により、立地以外の要素が重要に
などが挙げられます。
③に関しては、私は西友のみんなのお墨付きPBが好きで、
近くに店舗はありませんでしたが、
ネットスーパーを利用して購入していました。

この論文では、
A;プレミアムPBやサスティナブルPBはスタンダートPBとカニバッテいるか?(下の図の①②)
B;プレミアムPBやサスティナブルPB購入者はストアロイヤリティ(ウォレットシェア)が高いか?
という2つについて調べています。

結論的には、
プレミアム PB やサステナブル PB と、スタンダー ド PB 間において、必ずしもカニバリゼーション が発生しているとは言えないことがわかった。そ して、プレミアム PB よりもサステナブル PB を導 入した方が、ストアロイヤルティを高める可能性 があることがわかった。
とあります。

よって、サスティナブルPBを展開しているイオンの方が、
ストアロイヤリティという観点では
うまくいっていると言えるかもしれません。


また面白かった結果としては、
イオンにおいてトップバリュ やトップバリュベストプライス、トップバリュグ リーンアイを購入している人ほどウォレットシェ アが高くなるが、反面トップバリュセレクトにつ いてはウォレットシェアに影響していないことが わかる。
という点です。
※ウォレットシェアとは、1人当たりのこの期間の 総購入額にしめる、イオンでのPBもNBも含む購入金額。

要は、セブンもイオンも共通して、高価格帯のプレミアムPBは、
ウォレットシェアに貢献していないという結果だったのです。

なぜでしょうか?
私は普段イオンで買い物をしているのですが、
キッチンペーパーなどの雑貨はベストプライスを買っている
好きなジャンルの冷凍食品を買うときはNBを買っている
離乳食を作るときはグリーンアイを買っている
傾向にあります。

PBの高価格よりも、NBの方が美味しそう(もちは餅屋)
という価値観が強かったり、
何を使うか?誰が食べるか?で選ぶ価値観が変わる(適材適所)
でものを選ぶことが多い。

まるっと色々なものを買う小売りでは、
上記のような多様な価値観を受け止めて欲しいニーズの方が高く、
高いPBを買っている人は、それを目当てにそのお店に行っているだけで、
必ずしもウォレットシェアが高いということではないのかもしれません。

この論文は先行研究などの内容も面白かったので、
もう少し読み込んでみようと思います。




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