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来年度、給料減らされそう ~もるげんよもやま話~

このnoteは、自分が読んだ本や映画の感想、精神科のことやニュースなどを中心に書いています。
自分がいいなあと思ったことや、これは勉強になると思ったことを伝えていきたいからです。
その方針はこれからも変わりません。
私は私が善いと思うものをどんどん伝えていきたいです。

ただ、ちょっと最近へこたれることがあったので、自分の思考整理も兼ねてそのことを書こうと思います。
タイトルにある通り、来年度の給料がピンチなのです。



今回のあらまし

まず初めに、自分は大学病院に所属している医師であり、大学院生である。
つまり医局と呼ばれるものに所属している。
で、この医局というのは非常に説明しずらいのだが、「企業内に独立自治権を持つ小組織」と思っていただければいいでしょう。
医局はその診療科に所属する医師の管理をする。
人員配置、つまり人事権を擁するわけです。
しかし決裁権などはもたない、よくわからない組織なのです。

大学病院の医局は通例的に地域医療の保証を行っています。
医局員に「某地方病院に行ってこい」と派遣を行っているわけです。
医局が行けと言ったら「うっす」というしかない。
こういうの、普通の企業とか今どきあるんですかね。

とまあ、こういう医局員を何処に送るかを管理しているのが医局なのです。
だいたい毎年、長くても数年の異動が医者にはあります。
大学病院勤めの医者って結構転勤族なのですよ。

そんな通例通り、自分にも来年度の人事が言い渡されました。
自分としては今いる病院を継続したかったので継続希望を出しました。
ですが、事前に「人事の都合で申し訳ないけど別の病院でもいいかな」と言われていました。
それを拒否するだけの合理的な理由はなく、仕方ないと諦めていました。

が、来年度の勤務条件を確認したらびっくり仰天。
細かいところは申し上げられないのですが、
日当当たり数千円単位
当直も数千円

で減給が決定していたのです。
さらに勤務時間も伸ばされ、時給換算ではさらに減っていました。
簡単な試算でも、約5-15%の減給に当たるわけです。
世間が名目賃金1.8%アップ!とか言っている最中、これにはびっくりです。

大切なのは「給料が減る」でなく「減らされること」

正直言えば給料が減ったからと言って生活が成り立たない、というわけではないです。
腐っても医者ですから、それなりにもらっています。
ただ、今回、自分がブチ切れているのは
減ったこと
ではなく
減らす
という選択をした医局にあります。

誤解なく言いますが、自分は医局にいる先輩方、同僚、後輩たちが好きです。ともに仕事ができていることに誇りを持っています。
なので、彼らを非難したくない気持ちはあります。
が。
自分も医局でそれなりに仕事をしている。
他の人以上のパフォーマンスを出している、とは口が裂けてもいえないですが、少なくとも臨床も研究もして、さらには本来診療をしなくてもいい日にも仕事をしています。
大学院生ですが年次も上がっており、医局に貢献している自負はありました。
なにより、医局の一員として認められたいという思い(それは専門家の集団にいるために果たす義務)もありました。

話が少し変わるのですが、自分は大学院に所属しています。
が、はっきり言えば環境としては杜撰です。
誰も自分を監督せず、直属のボスはこの一年ラボに顔を出していません。
教授に不満を言ったりもしたのですが、何も変わらなかったのです。
1人で頑張らないとなあ、とずっと思っていました。

ここにきて、減給という仕打ちでどうやら自分の心がぽきんといったみたいです。
ああ、こいつらはどうやら、自分のことを必要としていないようだ、と。

心理的安全性と雑談

昨今、心理的安全性という言葉が重要視されているようです。
不勉強ではあるのですが、この概念は臨床にも応用が利きそうだなあ、と色々考えていたのです。
つまり、患者さんが自由に話すためにはこの心理的安全性を考慮しないといけないのだな、と。

自分の医局は雑談が多く、わりと和気藹々としています。
していますが、どうも心理的安全性は担保されていないような気がします。
というのも、この人事の話は非常に不満を持っており、話さなければならなのです。
が、それを話すのは直属の上司であり、まあ、やりづらい。
それにその先生が調整に難渋しているのもよく見てきたのです。
いやあ、話しづらい。

心理的安全性においてコミュニケーションは重要である、と説かれていました。
確かに医局にはコミュニケーションがありました。
ですが、どうもそれだけでは足りないようです。
それがなにかは、まだわかりません。

やっぱ医局はクソだし、期待した自分が悪い

もしこのnoteを読んでいる研修医がいるのであれば、一つだけ助言したい。
あるいは、過去の自分へこう助言したい。

医局にいるなら、自分がクリエイティブでいることはいいが、クリエイティブを期待するな
WorkではなくJobをこなせ

医局は旧態依然とした封建的システムである。
公共事業、それも医療はどんなに効率化して貢献しても、それが給与に反映されることはない。
がんばろうとしても、誰もそれを見る人はいないのだ。
もしいたら、それは見ている人の属人的な要素でしかない。
そんなものは医局の中にはない。

クリエイティブにやっても評価されない。
なら、Workのようにやりがいも含めて頑張るよりも、上意下達のようなJobとして割り切ってしまったほうがいい。
社会の歯車になってしまったほうがいいのです。
あと大学院はもってのほか。少なくとも教室をちゃんと見学して、何をして、どんなミーティングがあるかをちゃんと確認するように。
ほんと、2年前の自分に「辞めとけ」と言ってやりたいものです。
少なくとも「人を信用するなら言葉ではなく行動で評価せよ」という分かり切った忠告に従うべきでしょう。
自分もこのことは知っているつもりだったのですが、今回の件で骨身にしみました。

ところで、この言葉によく合う名言とかを探したのですが、見つけられなかったので、どなたかいい言葉があれば教えてください。

とはいっても社会は変わらない

医局というシステムは大学病院というシステムに内包され、さらに保険診療というシステムに包含されている以上、現場木っ端の人間が、それも若手に近い人間が変えることは到底困難です。
ある先生が医局を変えるために死ぬほどの努力をして、ようやく成し遂げられたという話があったくらいです。

しかし、社会変革はトップダウンかボトムアップのいずれしかなく、全く変えられなくとも空気感を醸成はできるので、この減給には抵抗していく所存です。
どうなったかはまた報告したいところ。
少なくとも今は戦うための資料作りをしていきます。

とはいえ自分の至らない点も多々あることも事実。
例えば自分は他人とのコミュニケーションに非常にコストをかけておろそかにしてしまうこと、素直に相談できないことなど。
そして、「言葉だけで人を信用するかを決めない。その人や組織が過去、どんなふうにどのように他人を扱ったかを調べる。ほかの例も調べて、比較すること」を学びました。
この件から、自分が反省し、より善くできるものはないかと探していきます。

最後に攻殻機動隊SACの言葉で締めます。
この言葉は聞くその時々によって、意味をがらりと変える、不思議な言葉です。

世の中に不満があるなら自分を変えろ。それが嫌なら耳と眼を閉じ口を噤んで孤独に暮らせ。それも嫌なら・・・

攻殻機動隊SAC 第一話より 草薙素子のセリフ

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