未来戦隊タイムレンジャーを観た(新しい時を刻む者たち)

未来戦隊タイムレンジャーを観ました。51話の戦隊大集合回は、これからですが、ストーリーは見終わったので感想を書きます。

新しい時を刻むために


西暦3000年の未来人たちと1人の男が出会った。新しい時を刻むために

タイムレンジャーOPより

OP曲のイントロの間に上記のフレーズが流れるのですが、タイムレンジャーの物語はここに集約されている気がします。初めは、何の気なしに聞こえてくるお決まりの文句でも、事の真相が明らかにされてくるたびに、徐々に重みが増してきました。このフレーズを聞けば、またタイムレンジャーに会える。

42話のギエンの暴走から最終話にかけて、物語の伏線回収が始まり、視聴ボタンを押す手が止まることがありませんでした。タイムレンジャーが2000年に送り込まれた経緯、あるべき歴史、守るべき未来…様々に入り組んだ事情が明るみに出る中で、一気に引き込まれました。

そこに至るまでの各キャラクターのドラマが良くて、毎度のことながら、終盤に入るころには、すっかりメンバー全員に愛着が湧いていました。

竜也と未来人たちとの出会い、そしてどうしても切り離せないのが浅見グループと父親との確執。家族の仇であるドルネロを逮捕する使命を負ったユウリ。難病の運命と対峙したアヤセ。ほなみと出会い、3000年も2000年も守る決意をしたドモン。ハバード星人の生き残りとして、アイデンティティに苦しみながら地球とその時代のために戦ったシオン。力を追い求めながらも、最後には自分を変えるために行動をした直人。
その一人一人の抱えるストーリーがまた胸を打って、それらの全てが、新しい時を刻むという物語の核心に繋がっていたように思います。

そして忘れることができないのが、ナビゲーターとしてともに戦ったタック。リュウヤ隊長の命令から解き放たれてからの活躍ぶりは、6人目のタイムレンジャーといっても良いくらいでした(タイムファイヤーは別枠として)。
そのタックが、タイムレンジャーを再び2000年へ送り出す時の台詞がとても格好良かったです。

君達の選択は間違っているかもしれない。でも僕は信じる、君達が自分で選んだ明日を。そこでまた会おう!

Case File 50「無限の明日へ」より

決着がついた後のエピローグで、タイムレンジャーとそっくりの一般人が日常生活を送っている描写があったのも良かったですね。竜也たちが切り開いた明日と、3000年の未来が繋がっていることを感じさせる、地味だけれど熱いシーンでした。

敵は誰だったのか

日曜朝に子ども向けに放送される戦隊ものとしては、かなり渋いお話でした。ロンダーズファミリーという対決する悪役はいるけれど、ストーリーの目的が単純な勧善懲悪じゃないだけに、あの複雑に入り組んだ物語を、当時の子どもたちはどう受け止めていたのでしょうか。当方も、2000年頃といえば小学生でど真ん中世代でしたが、とんと記憶にありません。

タイムレンジャーは何と戦っていたのか。ロンダーズ?ギエン?裏側で糸を引いていたのはリュウヤ隊長でしたが、彼もまた自分の運命に、その選択に囚われていた一人でした。

1話で竜也が自分の明日くらい変えようぜといっていたように、結局は自分の決断との戦い、それを受け入れる戦いだったのではないでしょうか。

終わりに

2000年という世紀の変わり目に送りだされたタイムレンジャー。自分の決断が、その意思が未来の自分に繋がっている。だから大丈夫だって思える。ミレニアムにふさわしい名作でした。

ありがとうタイムレンジャー。


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