コンテンツが雪崩のように供給される時代に作家デビューする人間が、最近考えていること




どうも、森バジルです。
前回のnoteが、思っていたよりたくさんの人たちに読んでいただけたみたいで、嬉しかったです。ありがとうございます!

さて、前回のnoteでは新人賞を取るまでの経緯を書きましたが、今回は新人賞を取った後の話。
(問題なく作業が進めば)僕の本が出版され、ダイブしていく先であるところの「エンタメ市場」について、雑感を書いてみようと思います。

目次
0.現代、コンテンツの数がマジで多い
1.消費者はどう動いているのか
2.販売者はどう動いているのか
3.それを踏まえて制作者は、どう動くべきなのか


0.現代、コンテンツの数がマジで多い

これは皆さん実感されてるんじゃないかなぁと思うんですが、世の中のエンタメコンテンツの数、めちゃくちゃ多くないですか?

本屋さんに行けば小説や漫画や絵本があるし、映画館に行けば新作映画が観れる。TSUTAYAに行けばCDを売ってるし、昔の映画も借りれるし、ゲーム屋さんに行けばゲームが買える。テレビではバラエティやアニメやドラマが観れる。
ここまでは僕が子どもの頃から変わらない部分ですが……

現代ではそれに加えて、pixivでプロ・非プロの漫画が読めるし、youtubeではyoutuberのおもしろ動画を観れる、アーティスト公式のPVも観れるし、どこかの誰かが作った替え歌動画やMAD、弾いてみた動画や踊ってみた動画を観れる。オリジナルのアニメとか曲を作ってアップしてる人もいる。

小説家になろうカクヨムでは無料で読める小説・エッセイがめちゃくちゃあるし、TELLERなんかだとLINEっぽいフォーマットになってて気軽に読めるストーリーがいっぱいある。

さらにAmazonPrime会員に入れば、年間3900円払うだけで超たくさんのアニメ・ドラマが観れるし音楽も聴ける。バチェラーとかドキュメンタルみたいなオリジナルのコンテンツもある。
Netflixhuluでも同様で、わざわざTSUTAYAに行かなくても、昔のものから最新のものまで、たくさんの動画コンテンツを楽しめる。

また、Twitterinstagramで漫画をアップしている人もいる(先輩がうざい後輩の話とかギャルと恐竜のやつとかめっちゃ好き)。
それ以外でも、例えば数千RTされてるネタツイートなんて、それ自体で笑えるくらい洗練された立派なコンテンツだと言えるだろうし。

他にもSoundcloudとかbandcampとかの音楽系投稿サイトとか、あるいはApple musicとかSpotifyとかの音楽系サブスクリプションサービスとか。

……と、思いつく限り、コンテンツを得られるプラットフォームをざーっと列挙してみた。上に挙げたもの以外にも世の中にはたくさんのコンテンツとそのプラットフォームがあると思うんだけど、それも踏まえて、一言。

「いや、多いわ」

もう、普通に生活してるだけでコンテンツの雪崩が毎日降り注いでくる。コンテンツの集中豪雨。エンタメの大量発生。ヘッダー画像はそのイメージです。笑

さらに言うと、DOTAMAも音楽ワルキューレ2で言ったりしてるけど、過去の名作が消えて無くなるわけじゃない以上、コンテンツの数は時代が進めば進むほど積み上がって増えていくんですよね。

構造としては、簡単にまとめるとこんな感じかなーと。

デジタルの発達によって、「作り手」と「発表する場」が増えた

過去の作品にアクセスする手段が豊富になった

コンテンツ大量時代の到来!!

それ自体はめちゃくちゃ良いことだし、僕としてもその恩恵を多分に受けているのだけれど、それによって今の消費者のマインドって結構変わっていってるんじゃないかなーと思うんですよね。

というわけで、前置きが長くなりましたが、そんなコンテンツ大量時代の「市場」について、雑感をつらつら書いていこうと思います。


1.消費者はどう動いているのか


①コンテンツの数に対して可処分時間は変わらないので、「取りこぼす」作品の数がめちゃくちゃ多くなる

もう、とにかくコンテンツが多い。
一方で、個々人の可処分時間は変わらない。
その結果として、僕たちが「観れない」作品の数は毎年ものすごい量で増えていっている。

なので……


②絶対にハズレを引きたくない、という気持ちが強くなり、「信頼できる作品」を優先的に鑑賞するようになる

①の事情から、「これだけ作品があるんだから、本当に面白い作品だけを観たい」という思いが強くなる。
時間をかけて1つのコンテンツを消費して、結果つまらなかった、となるのは最悪。その時間を他の作品にまわしたかった! その時間をもっと有効に使えた! 時間返せ! という気持ちになる。

だから、「絶対失敗したくない」という意向が強くなる。

幸いにも現代ではレビュー閲覧や試し読みのできる媒体がたくさんある。

小説・漫画ならAmazon、映画ならFilmarksといった、レビューを確認できる場がきちんと用意してある。
「Filmarksで4.0だし、今週の日曜はこの映画観に行こっか」という行動をとったりする。
(Amazonの方は配送のこととかで★1つけたりする人もいるし、レビューの信頼性がいまいちかもしれないけど……それでも平均★数でその作品への印象が大分変わる)

あと、「口コミ」「Twitter上で話題」「友人からのおすすめ」がある作品はかなり安心感が強い。
ネットの向こうの匿名者ではなく、リアルの友達が実際に観てからお勧めしてくれたという事実は何よりも強い信頼のよりどころになって、その作品に時間とお金を使っても良いなと思える根拠になる。

また、Twitter上で話題になって広がっていく作品も、「これだけ話題になっているんだから」という気持ちになり、安心材料になる。

(余談)
ちなみに僕は映画「この世界の片隅に」を公開初日に観に行ったんだけど、Twitterで試写会の評判を見てなかったらこの行動は取っていないだろうなって思う。

最近だと映画「カメラを止めるな!」がTwitterでやばいくらい話題になっていますが、これは明日キャナルシティに観に行ってきます。笑

とにかく、コンテンツを消費するには「安心感」「そのコンテンツの面白さが担保されていること」が必要になってきてるんじゃないかなぁ、と思うわけですよ。


③一方で、無駄な・面白くないコンテンツに時間を割きたくないので、序盤が退屈な作品は敬遠される

つまらない作品を読んでいる時間は本当にもったいない(そうしている間に毎秒毎秒新しいコンテンツが生まれて行っている……!)という考え方。

その考え方を拡張していくと、「序盤がつまらない作品は、もう切っちゃおう」という方針になっていく。

これは結構インパクトのでかい変化だと思っています。
なにしろ、小説や漫画・映画等に限って言えば、物語にはある程度パターンがあり、
「序盤にちょっと主人公が活躍するシーンがあり、その後強敵に打ちのめされてどん底に落ちるシーンがあり、そこから何かきっかけを得て再起し、最終的に強敵を倒す(そして読者はカタルシスを得る)」
という脚本が、そのパターンのうちの1つなのです。

要は、1回主人公に辛い思いをさせたのち、その辛いシーンを「バネ」にして、最後の勝利の爽快感を演出する、という流れです。

ただ、そのパターンの欠点として、序盤~中盤に辛いシーン(≒面白くないシーン)を挿入しなければならない、というのがあります。
辛いシーンがあるからこそ、勝利シーンのカタルシスがでかくなる。

その王道パターンの作品は、「序盤がつまらない作品は読みませーん」というタイプの読者に途中で離脱されてしまい、最後の面白いシーンまで到達してもらえない危険性がでてきたのです。

もう結構前の風潮ではありますが、一時期「俺TUEEEE」と称される、主人公がそのチート級の能力を使って無双していくストーリーが多かったのも、その辺の影響だろうな、と思っています。
(特に小説家になろうとかで連載してると話数が細かいので離脱リスクが大きいだろうし、最初から爽快感を出すのが効果的だったんだろうなーと思いながら見てました)

ということで、コンテンツ大量時代は、物語の構造にまで影響を及ぼすような変化を起こしているのではないだろーか、と考えてます。


④つまらなければあっさり切るので、あまりお金を使いたくない。サブスクリプション、あるいは無料コンテンツやメルカリなどに流れが向いていく

③の通り、つまらない作品はさっさと切るので、作品単位でお金を使うことはあんまりしたくない。無駄になっちゃうかもしれないから。

なので、定額読み放題・定額聴き放題・定額見放題のサブスクリプションサービスでの鑑賞や、無料コンテンツでの代替、あるいはメルカリやブックオフなどの古本で安く買うといった、お金を使わない方向でその作品を手に入れることを考える。

そして、結果として、
「コンテンツが売れない」市場が出来上がっていく……


Ex.そもそもそんな傾向とか抜きにしても、若者にはお金が無い。

ハヤカワ五味さんのこちらのnoteにもある通り、若者にはお金がなく、それが全ての行動の出発点になっていたりします。
お金のない消費者に対してどれだけコンテンツの魅力をアピールしても、無い袖は振れないのです。

=========================

というわけで、消費者側の視点で、市場を考えててみました。

ざくーっとまとめると、「可処分時間に対してコンテンツの数が多すぎる!」「結果として行動も変わっていって、最終的にコンテンツが売れない感じになってる!」って感じなのではないかな、と考えてます。


当然ながら僕も消費者の1人だし、僕の周りの人も消費者です。最近周りの人と話していて感じたことをもとに書いていますが、あくまでN=2,3程度の定性情報ベース。
みなさんの志向と違っている部分があったら、ぜひ教えて欲しいです。


2.販売者はどう動いているのか


1.と同じくらいのテンションで書こうと思ったのですが、流石に長くなりすぎるのと、自分があまりまだ把握できていない部分が多いので、これ以降は小見出し部分だけ列記していきます。

※出版社/小説 を中心に書いてます

・色々と施策を打つし、マーケティングもやっているけど、競合コンテンツは膨大でどこもかしこも完全にレッドオーシャンだし、若者には金が無いし、マジで売れない

・とはいえたまにとんでもない売上を叩き出す化け物が現れるので、たくさんのクリエイターの作品を世に送り出し、試行回数を増やしていこうとする

・一方で、出版社は昔ほどの体力があるわけではないので、リスクを取りたくない。なので、すでに読者を獲得できているなろう小説などを「作品単位」でスカウトし、売ることで利潤を確保する

・なろう作品も新人賞受賞作品もベテラン作家の新作も、とにかく大量のコンテンツの中から手に取ってもらうために、タイトルで内容を表明する(そのためにめっちゃ長いタイトルの作品がいっぱい出る)


……と、ざっくりと書いてますが、かなり想像で書いている部分も多いので、出版関係者・編集者の方にもし読んでいただけたら、異論・ご意見教えてもらえるとありがたいです。


3.それを踏まえて制作者は、どう動くべきなのか


はい、というわけで、色々と絶望的な内容を書いてきました。
じゃあそれを踏まえて新人ライトノベル作家の僕はどう動くべきなのか、どうしたら僕の書いた小説というコンテンツが売れるのか、ということを考えようと思っているのですが、こればっかりはもう正解の方法論なんてありません。どうしたらいいのか分からない。

なので、少しでもヒントになったり、議論の端緒になるものが書ければ……というスタンスで、こちらも小見出しだけ列記していきます。


・コンテンツの数が多い=出版社の抱えるクリエイターの数が多い。なので、出版社側もクリエイター1人あたりに割けるリソースは限られており、出版社からの手厚いサポートは受けられない

・なので、作家自身の発信力・営業力が必要になってくる。よって、持てるリソースを創作だけでなくそちらにも割いていく必要がある(そして実際、Twitterなどのサービスの存在によって、それを出来ている人が既にいる)

・けどそれって創作に割くリソースが減ってるわけだし、クオリティ落ちるんじゃ無いのか? 大丈夫なのか?

・それはさておき、小説の競合相手はもはや小説だけではないので、ひとまず小説家は結託して「小説読者」を増やしてく必要があるんじゃなかろうか

・その意味でも、小説業界全体でのクオリティの担保は大前提。消費者に小説=つまんない、と思われたら、他のコンテンツへと移動される。移動先は豊富にある。

・余談:電子書籍、現状ではマジで作家の金銭的メリットも続刊刊行への影響もほぼ皆無なんだけど、それは本当に是正すべきことだと思う。なんとかならないもんですかね


……というわけで、結論の無い雑感でした。

1つ言えるのは、「何かしら対策を打たないとマジでヤバい」ということかなーと。出版社に宣伝・営業をお任せしてたら良い本は売れる、みたいな温い環境では無いのだなと思ってます。そんな時代があったのかは知らないですが……

そんな感じで、まだ本を出してすらいない新人ライトノベル作家ですが、僕なりに最近考えていることを文字にしてみました。

ご意見いただけるとすごく嬉しいです。特に販売者と制作者の視点はかなり想像で書いている部分があるので、違ったら訂正していただきたいです!


……ってことで、今回は以上! 森バジルでした。

前回と今回がけっこう分量的にも重たかったので、次は軽めの内容で、僕の新人賞応募遍歴とかを載せてみようかな―と思ってます。
読んでいただけたら嬉しいです。

Twitterもよろしく。
https://twitter.com/mori_basil


※※2018/12/9追記※※

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amazonでももちろんありがたいですし、書店での予約だと最高にありがたいです。

よろしくお願いします!!!

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森バジル(ライトノベル作家)

第23回秋 スニーカー大賞〈優秀賞〉をいただきました/92年生まれの兼業ライトノベル作家/宮崎出身福岡在住/2019年1月1日にデビュー作発売!☘

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コメント4件

コンテンツが無料で大量にある時代だからこそ、もう建設業とか飲食業に行くのもアリだなと思いました。(*´∇`)
さすがにその辺は、タダにならない分野だから。(*´∇`)
たしかに、実物のアウトプットがある分野はどんな時代でも強いですね〜 ただ、それでもやっぱり、コンテンツの世界に憧れちゃうんですよね。。。
昔、柴田錬三郎が遠藤周作に『おもしれえ小説てえのは2度デングリガエシが必要』と
奥義を教えたとかだが?!長い物は読んで貰え無い!【掴みはOK】で失敗したら駄目って事だね?!エロ小説も行き成り!色欲を掻き立てる描写から始めなければ成ら無いとはエロ小説仕立ても辛いな?!辛抱強く読んで戴ける読者様には長編小説『ベテルギウスの夜に』を読んで欲しい物だ!!https://note.mu/michizane/n/n91b4fee80441?magazine_key=me3750b01291a
たしかに!! ビジネスでも全く同じ、です
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