森見登美彦氏とわたし【出会い編】第三回

前回記したように、わたしは遠距離恋愛中の恋人と会うために京都へ訪れた。
修学旅行を除けば、これが初めての上洛だった。

「ひろくんはどこへ行きたい?」
と聞かれて、大真面目に
「四条烏丸の交差点」
と答えたのち、わたしは彼女の案内により四条烏丸交差点へとたどり着いた。

そして、わたしは車が行き交う中、四条烏丸交差点へと歩み寄ろうとしていた。
まだ、四条通の歩道が拡張される前で、今よりも交通量があったような記憶がある。

もらい物の懐中時計を手に、「鴨川ホルモー / 万城目学」の再現をしようと試みたのだ。
さすがに恋人から止められたので、写真に収めて初の京都観光を終えたわけである。

「なんで四条烏丸交差点だったの?」
と、当然の質問に
「鴨川ホルモーの聖地巡礼したかった」
と答えたところ、思いがけない返答があった。

「それなら、これ読んでみたら? きっと気に入ると思うよ」

渡されたのは、

夜は短し、歩けよ乙女 / 森見登美彦

これが森見作品とのファーストコンタクトであり、ベストコンタクトでもあった。
かくして、わたしは森見作品と出会ったのである。


これが私と森見作品との出会いであるとずっと思っていた。
疑うこともなく……

次回、「本当の出会い編」

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