森見登美彦氏とわたし【聖地に住む編】有頂天家族 二代目の帰朝の巻
東京から京都へ移住した私は、いくつかの温泉と出会った。
なにしろ、私は温泉好きだったのだ。
くらま温泉や北白川ラジウム温泉といった京都市内の温泉、お隣の奈良県や三重県など、ハイキングに絡めて多くの温泉を知った。
兵庫県の城崎温泉、西伊豆の堂ヶ島温泉と並び、私がたびたび足を運んだ温泉がある。
兵庫県の有馬温泉だ。
六甲山ハイキングとセットで訪れることがほとんどで、疲れた身体を癒すにはとてもよい温泉だったことを覚えている。
この有馬温泉。
ちょっと不思議な温泉地だ。
暗くなってから一人で歩くにはちょっとゾッとすることがある。
詳細を書き連ねるのは避けるが、気になる方は現地へ足を運んでみてほしい。
さて、その頃の私は頻繁にハイキングをしていた。
【裏大文字】と呼ばれる地域でのんびりと過ごすのが私にとって至福の時間だった。
このエリアに詳しい知人に教えを乞うて、ハンモックで日中を過ごすのだ。
このエリアで過ごすと、必ず鹿の群れに遭遇する。
鹿以外の生き物に出くわすこともあり、イノシシ、アナグマ、リスなどなど。時には熊の出没情報も出回っていたようだ。
ある時、私が裏大文字の深い森をさまよっていると、一匹の狸が現れた。
矢三郎かい?
話しかけてみたものの、返事なんてなかった。
けれど、この狸がツチノコ探検隊の一員だったらいいなと思った
あの頃。
次回『森見登美彦氏とわたし【聖地に住む編】恋文の技術の巻』
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