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外星通訳一族 ”AKIMOTO”6


     『…………とりあえず、郷治に相談してみてはダメか?』

————現ウルス首長 ホリス・バーダの最終にして最初の手段————


——宇宙空間、【まだウルス本星から超SNSが届く範囲】

【ああ……まだ何も見つかってない。】
 そのウルスの男は退屈そうに銀の短髪を掻き毟った。新しいモノを見てみたいと200年前から「本星」を”飛び出し”、力場を張りながら宇宙を漂っていた。

 彼は、というか『彼らの大多数』は今まで、退屈を感じなかった。
千年もの間生きるうえで1つ1つの発見と変化に一喜一憂できていたからだ。何万回も往復した本星と周辺の暗礁宙域での食料(鉱物等)採取ですら『お、昨日より大きいヤツが来てるじゃん』とか『あたりまえだけど配置が昨日と違う、面白ーい!』とか『あ、今日は有機物まであるぞ!自慢できるじゃん!!』とか、地球でいえば「あ、昨日と違う石ころが家の前にある」程度の事でも非常に楽しく感じていた。

 だが、本当に最近、大きな変化があった。サランという女性が『友達を見つけた!』というニュース。

 出発地点か方向か、まさにまさしく”運”が悪かったのか。彼は目ぼしい物は何も見つけられていない。にもかかわらず、彼女から『たった45年』でもたらされた【刺激】は非常に興味深いものが多かった。地球(日本)の昼頃になるとよく【更新】されるため、その時間はだいたい足を止めて(というか推進力を全方位に付与し、躰をそこに固定する、というべきか。)彼女らの【更新】を待っている。しかも最近は首長筆頭候補まででてきて更新”密度”は ”最初” の3倍、計六人分。

 あの何と言ったか、水族館。そうアレだ。アレには自分も行ってみたい。石ばかりではなく、郷治とキャスティナ姫がよく食べてる茶菓子を食べながら見て回りたい。
 あ、でもあそこは飲み食いしてはいけないのか。残念。

 正直に言えば羨ましい、というのだろうか。今までは知らない言葉だったが、サランから伝わった感覚を当てはめると、そうだ。あれ程ではないにしろ他のみんなも多かれ少なかれ多種多様なものを見つけていた。
 

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