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UX(ユーザーエクスペリエンス)の本

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ユーザーエクスペリエンスに関する記事まとめ
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記事一覧

UXリサーチという薬と毒

こんにちは。Mutureのちゅうさんです。 大企業にリサーチの浸透と文化醸成を行っていますが、半年ほどみんなでやってくるとその「効果」と「課題」みたいなものが見えてきました。 まだまだ途中経過ではありますが、見えてきたことを書き記したいと思います。(最近ナレッジ溜めてないし) デザイナー、リサーチャーの方や、プロダクトに携わる方、リサーチ文化を社内で広めたい方などに参考になると幸いです。 ちなみにMutureって会社がどんな会社か気になる方は是非公式noteをご覧くださ

「ユーザーが行動をおこす条件」の話

新入社員のこばかなさんが、「こばかなスケッチ」という自分企画を頑張っている。THE GUILDでの日々の仕事と、読書で学んだことを、一枚のスケッチにまとめるチャレンジだ。 彼女のスケッチが溜まってきたので、復習とサポートを兼ねて、解説を書いていきたい。第二回はこの絵。 行動 = 動機 × 実行能力 × きっかけ今回のこばかなさんのイラストは、「フォッグの消費者行動モデル」という概念モデルだ。ざっくり言うと、ユーザーが行動を起こすために必要な3条件を示している。 このモデ

グロースの参考本「Hooked ハマるしかけ」

日常的に使っているスマートフォン。 人は毎日平均150回以上もチェックし、気づけばスマホの虜になっている。 毎日スマホを見る行動は"意識して"行なっているわけではない。 人々は、開発者が意図した設計のとおりに自然と、習慣的に利用している。 小さなスマホの画面に表示されたわずかな文字や記号の塊によって、何がそれほどまでに人々を惹きつけるのか。習慣を作り出すのか。 「Hooked ハマるしかけ」 を読んで 自分用のメモ的に書いた内容をnoteでも公開しようと思います。 (

あこがれの存在から身内の関係に変わったブランディング戦略:ファンベース

前回紹介したPURPOSEはおもに企業の内側の視点でしたが、今回紹介する本は外側=ユーザー(ファン)に向けてのことが書かれた本です。 どちらの本も共通しているのはブランディングという考え方に対して「好きになる仕組みや仕掛け」をつくることで、「便利だから買う」「性能が優れているからこっちにする」といった合理的な判断ではない人間の感情を大切にしていることだと思います。 ファンベース 佐藤尚之 ちくま新書 2018.02 これまで多くの本を読んできた経験上、新書系の本(文庫本

アンダーマイニング(報酬とやる気):行動経済学とデザイン04

「お金じゃなく、やりたいからやってるだけ。」 今回は報酬(お金など)と動機(やる気やモチベーション)についてのことです。僕が尊敬してやまない佐藤雅彦さんとその仲間でつくった『ヘンテコノミクス』は行動経済学をマンガにした本ですが、その1つにアンダーマイニング効果のことが書かれています。 行動経済学まんが ヘンテコノミクス 佐藤雅彦 + 菅俊一 + 高橋秀明 マガジンハウス 2017.11 こんなお話です。 壁に落書きをするいたずら坊主たちは、怒鳴られても懲りなく落書きを

コンテクストデザインとは

コンテクストデザインとは、それに触れた一人ひとりからそれぞれの「ものがたり」が生まれるような「ものづくり」の取り組みや現象を指す。換言するならば、読み手の主体的な関わりと多義的な解釈が表出することを、書き手が意図した創作活動だ。 もともと現代的なデザインは産業革命以降の大量生産・大量消費を背景に成長してきた。それは、特定の使い手を一意に想定し、特定の問題を解決するためのものだ。 デザインはふつう、正しい使い手に、正しい使い方で、正しい価値を提供することを目的とする。明確に

#3-1 UX戦略の策定プロセス(UX戦略の教科書)

第3章では「UX戦略を策定する方法論・プロセス」を紹介する。本章の位置づけを明確にするために、ここまでの内容を簡単に振り返りたい。 第1章では、デジタル時代に対応するために企業が進むべき道を提示した。 デジタル社会が到来したことで企業の競争ルールが変化しており、ライフスタイル提供型の事業モデルへの転換が必要になっている。また、ライフスタイル提供型に転換するためには、いきなり個別のデジタルサービスの開発に取り組むのではなく、事業・ブランド単位でUX戦略を策定することから取り組

心を動かすUXライティング  ープロダクトに命を吹き込む魔法の言葉ー

おめでとうございます! あなたの記事がはじめてスキされました! わたしの書いたnoteがはじめて「スキ」された時、スマホの画面にこんなメッセージが表示されました。その時わたしは、心がポッとあたたかくなるような、すごくうれしい気持ちになったことを覚えています。ユーザーにポジティブな変化があった時、ひと言声をかけてあげる。それだけで、ユーザーとプロダクトの心の距離は一気に縮まる。noteを利用するひとりのユーザーとして、そのことを実感した事例です。 「スキ」という言葉にも「n

横断的なデータドリブン組織に必要な、定量調査と定性調査の使い分け方

過去にアンケートを実施したことがある方に質問です。なぜ「アンケート」という調査方法を選んだのでしょうか?その案件は「インタビュー」ではだめだったのでしょうか?そもそもこの2つの調査方法には実施形式以外にどんな違いがあるのでしょうか? 調査の監修を依頼される立場で相談者と話すと、「なんとなくアンケートだったから」「アンケートと決まっていたから」「インタビューは慣れていないから」など、特に深い理由はなく決定される(積極的な選択ではない)ことが多いように感じます。 実は調査のプ

欧州往復書簡3 サービスデザインと人の「変容」を考える

*このマガジンは、欧州の大学院に修士留学をしている3人が、いま感じていること、考えていることを伝えあう往復書簡です。 *執筆 森一貴(Kazuki Mori):フィンランド・アアルト大学修士課程Collaborative and Industrial Design 牛丸維人(Masato Ushimaru):デンマーク・オーフス大学修士課程Visual Anthropology 田房夏波(Natsumi Tabusa):イギリス・ロイヤルカレッジオブアート修士課程Servi

2022年もいろいろUXリサーチの教材をつくったので無料配布するよ!

羽山 祥樹です。日中は某大手企業で働きながら、2年前に日本ウェブデザイン株式会社を起業しました。UXデザインやUXリサーチのコンサルティングやコーチングをする会社です。 ここ数年ずっと、自分のもっているノウハウをひたすら外化して、SlideShareやメディアでの連載記事で「このとおりやれば誰でもUXデザイン・UXリサーチができる」という、具体的でやさしい教材にしてガンガン無償公開する、ということを続けています。 30代の前半に「自分の手元にあるノウハウもお金も自分が死ん

自分の手で考える(ブックヨット デザインのひみつ)

「本を出す。それだけでいいのかな?」 TENTの本『アイデアとかデザインとか』の企画がスタートした時から、僕はちょっとモヤモヤした気持ちを抱えていました。 デザイナーさんって、歳を重ね実績を重ねメンバーも増えていくと、本を出したり講演したりが増えて。 そっち側が忙しくなってしまって。ディレクションはするものの、実際の作図や試作はスタッフが担当しているという例が多いと思うんです。 「たとえ本を出したとしても、自分の手を動かして製品を考えるぞ!」 そう思った僕は、『アイ

事業開発者・プロダクトマネージャーが知っておくべきフレームワーク7選

プロダクトマネージャーという仕事はビジネス・デザイン・エンジニアすべてのスキルが求められる総合格闘技のような仕事です。その分、やることも多く忙しくなりがち。 しかし、再現性の高いプロセスというのは仕事が変わってもそのまま活用できます。その代表例がフレームワークです。 今回は世の中に数あるフレームワークのうち、プロダクトマネージャー・事業開発者が絶対知っておいた方が良いと判断したものを厳選してみました。 プロダクトマネージャー向けフレームワーク4選1. Product P

ユーザビリティテストのタスク設計の手順

こんにちは。note株式会社でUXリサーチをしている仙田です。 ユーザビリティテストのタスク設計、今まで雰囲気でやってたんですが、自分なりにポイントと手順を整理してみました。 「はじめてのユーザーテストでどんな準備すればいいのかわからない!」という方の参考になれば。できるだけ具体的に書いてみました。 ユーザビリティテストの(個人的)準備ちなみに、僕は基本的に準備〜定性分析までをMiroで完結させることが多いです。 分析までやるとこんな感じになります。↓ 画面のキャプチャ