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ガバメントクラウドを公開情報から読み解く

こんなことを言っている奴がいる

このツイートを見返すと「なんか大口叩いてるけど、お前は本当にガバクラの公開情報を把握してんのか?」と小心者の私は不安になるのです。

今回はこの不安を払拭するという個人的な目的で、ガバクラの公開情報をまとめていこうと思います。
要はただのリンク集です。オチとかはありませんので期待せずにお読みください。

おことわり

  • 私はお仕事でもガバクラを扱うことがありますが、この記事の内容は全て公開情報(かつ、なるべく無料のもの)に基づくものです。業務上知り得た秘密等は一切含みません。また、所見や見解は全て個人のものです。

  • この記事の執筆時点で公開されている情報をまとめます。RFIや入札公告資料などは公開期間が限定的であるため、極力扱いません。

ガバメントクラウドって何なの?

デジタル庁Webサイト

デジタル庁のWebサイトにはガバメントクラウドのページが設けられており、概要や最近の取組、対象サービス一覧などが掲載されています。ただ、情報量は多くありません。

政府共通のクラウドサービスの利用環境です。クラウドサービスの利点を最大限に活用することで、迅速、柔軟、かつセキュアでコスト効率の高いシステムを構築可能とし、利用者にとって利便性の高いサービスをいち早く提供し改善していくことを目指します。地方公共団体でも同様の利点を享受できるよう検討を進めます。

ガバメントクラウド|デジタル庁 (digital.go.jp)

この記事の執筆時点で、ガバメントクラウドの対象サービスはAWS、Google Cloud、Azure、OCIの4つです。

出典:ガバメントクラウド対象クラウドサービス一覧

日経BPガバメントテクノロジー「電子行政キーワード」

デジタル庁のサイト以外では、この日経BPの記事が大変わかりやすく参考になります。
個人的ポイントを要約します。

  • 政府機関と自治体のための共通クラウド利用環境。

  • 政府はガバメントクラウドによって、組織ごとにサイロ化している行政システムの統合・共通化や標準化を目指している。

  • 民間クラウドサービスによって構成されており、デジタル庁はその利用環境と、利用者に対する支援体制の構築を担っている。

  • デジタル庁は、マネージドサービスやIaCなどのクラウド技術を取り入れることで、システム構築・運用管理のコストや手間を大きく削減できると見ている。

  • マルチクラウド構成、IaCのテンプレートによるガバナンスと標準化、標準サービスやマネージドサービスの積極活用、SDNなどによって、従来型の政府システムが抱えている課題の解決を目指している。

AWSブログ「本日閣議決定された『デジタル・ガバメント実行計画』を”クラウドのレンズ”で読み解く」

2020年時点の重点計画に基づくAWSのブログ記事です。
ガバクラと自治体標準化、公共サービスメッシュの関係性が非常に分かりやすく解説されています。今でもこのグランドデザインは変わっていません。
(この記事では標準化や公共サービスメッシュまでは解説しません。ご容赦ください。)

出典:Amazon  Web Services ブログ


で、普通のパブクラと何が違うのか?

ここまでで、ガバメントクラウドは「政府と自治体向けのクラウド利用環境」であり、「民間クラウドサービスを活用して構築」されたものであることがわかりました。

では、民間向けのパブリッククラウドを直接利用する場合と比べて何が違うのでしょうか?また参考情報を並べていきます。

「クラウドファースト」から「クラウドスマート」へ デジタル庁が取り組む、ガバメントクラウド利用の最適化 - ログミーTech (logmi.jp)

ほかにも参考情報は色々あるのですが、このCloudNative Days Tokyo 2022のセッションログが分かりやすく、文字なのでアクセスもしやすいかなと思いました。

以下の図はデジタル庁さんのガバクラ講演でたびたび出てくるスライドなのですが、この図が「結局ガバクラとは何ぞや」を一番理解しやすいのではないかと思います。
(このセッションの中でも、図の黒い部分を「ガバメントクラウドそのものを表している」と発言されています。)

出典:logmi Tech

この図の黒い部分が「民間クラウドをそのまま使う場合との違い」であり、それが「ガバメントクラウド(の実質的な部分)」と理解することができます。
それぞれの要素を抜き出しておきます。

  • IaCテンプレート

  • ガバナンスルール

  • リファレンス構成

  • ベースライン構成、コスト

  • リスク、ガバナンスを実装した統制基盤

  • ガバメントクラウド開発運用体制

上記に関連する考え方として、以下の「ガードレール型のガバナンス」もガバクラの思想を理解するうえで重要なスライドです。
ただし「ガードレール型のガバナンス」自体はパブクラ全般の昨今のトレンド(ベストプラクティス?)であり、ガバクラ特有のものではありませんのでここでは説明割愛します。

出典:logmi Tech

デジタル庁 ガバメントクラウド テックブログ (note.jp)

実はガバメントクラウドの「テックブログ」がnoteで公開されており、(もう1年くらい更新がないのですが)ここから情報を得ることができます。

上記までに出てきた「IaCテンプレート」などを含む多くの技術要素は、このテックブログで解説されています。
かなり技術寄りの話にはなってしまうのですが、どれも単純な技術解説ではなく、ガバクラの考え方や思いが読み取れる記事になっていますので、ガバクラに携わるコンサルやエンジニアの方は一読をお勧めします。(そして、ぜひ更新再開していただきたい。)

以下、特に関係しそうな記事です。

③AWS Summit 2022 「日本が目指すデジタル社会の姿と、それを実現するために必要な考え方と取り組みについて」

上記までのガバクラの概要、背景、考え方、技術などの解説を含むデジタル庁の講演動画をAWSのコンテンツアーカイブから視聴することができます。
約1年前のAWS Summit 2022のセッションですが、梅谷 晃宏 氏のセッションは個人的な一押しの一つです。

Microsoft Blog 「ガバメントクラウド x IaC x 生成 AI」 -デジタル庁 クラウドユニット シニアエキスパート 山本教仁様の「Microsoft Build Japan」 キーノート登壇の模様をお届けします

こちらは、つい先日のBuild Japan 2023でのセッションの記事です。IaCが重要なテーマなのは今までどおりですが、そこでの生成AI(Copilot)の活用が示唆されています。

出典:Microsoft blog
出典:Microsoft blog

【JAWS-UG朝会】ガバメントクラウド・デジタル庁の基本方針から考えるクラウドサービスの適切な利用 - Speaker Deck

AWSの国内ユーザコミュニティであるJAWS-UGの朝会でのBTC クマ松さんのセッション資料です。ガバクラだけでなく、政府のクラウド基本方針についても大変わかりやすく整理・解説されています。ガバクラと政府のクラウド基本方針の概要を学ぶ上で、一押し資料の一つです。

その他の参考情報

①ガバメントクラウドの調達仕様

ガバクラの調達仕様はデジタル庁Webサイトで公開されています。令和3年度、令和4年度の案件とも、現在でも閲覧することができます。
「別紙1」には大量のクラウドサービス仕様一覧が定められており、デジタル庁がどのようなサービスをガバメントクラウドで利用するつもりであるのか、といった観点で読むことができます。

デジタル庁 中途採用のJob Description

デジタル庁のガバメントクラウド関係の求人情報には、より具体的な技術スキルなどが列挙されています。ガバクラがやっていること/やろうとしていることをもう少し具体的に想像できるかもしれません。
(以下、一部ポジションを抜粋。)

出典:【C_01】クラウドアーキテクト (ガバメントクラウド)
出典:【C_05】フロントエンドエンジニア (ガバメントクラウド)

まとめてみてどうだったか?

やはり、もう少し公開情報が欲しいです!
個人的にはIaCテンプレートや「ガードレール型のガバナンス」の構成、それに伴うマルチアカウント管理の情報がもう少しあると、オープンな場での議論がしやすいのになーと思います。

私はガバクラのモダンな取り組み姿勢は、公共業界のみならず国内のベンダ・エンジニア全体に良い影響をもたらせるのでは、と勝手に期待しています。
その一方、現状の公開範囲だとガバクラ関係エンジニアが喋れることがあまりに少なく、メガクラウドの大きな強みの一つである技術者コミュニティを活かせていません。
ガバクラはまだ走り始めたばかりのフェーズだと思いますので、今後徐々にナレッジやノウハウをオープンにしていくことで、技術者がコミュニティを活用してガバクラを扱えるようになり、業界全体のモダン化を盛り上げられると素晴らしいなと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2023/7/24: 続きを書きました。

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