[寄稿] 『教育』2018年9月号 | 踊り場を迎える景気とアベノミクス

教育科学研究会編『教育』2018年9月号に寄稿しました。

その一部を転載します。

 政権の経済政策との兼ね合いで6月短観を分析してみましょう。まず、政権の看板政策であった「物価上昇」は、まったく実現の兆しがありません。小売りの現場では、消費低迷のあおりを受けて値下げ競争が常態化しています。
 次に、最近の原油高や人手不足も追い打ちをかけています。これらは、原材料費の高騰や物流コストの上昇につながり企業収益を圧迫。「トリクルダウン」の前提すら危ぶまれる事態になっています。
 これをダメ押しするのがトランプ米政権の保護主義です。日本の製造業は依然として輸出に頼る経営を続けていますが、同政権は日本車の輸出規制を検討。そもそも原油高もトランプのイラン政策の見直しに端を発したものでした。
 経済政策の破たんが明らかなうえに、国外要因によって振り回される――。日銀の6月短観は、このことを端的に示しているのです。


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