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『NFT版バーコードバトラー?「Seretan」の試みと企画予想』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.10.17

■NFTに新たな使い道を!NFTゲームの開発によるNFTのユースケース創出と価値向上を目指し、株式会社Seretanが1100万円の資金調達を実施

株式会社Seretan (北海道札幌市、代表取締役:宮川滉平、以下「Seretan」)は、イーサリアムなど複数の対象チェーン内全てのNFTを使用できるゲームを通してNFTの新たなユースケースを提供するため、VC・エンジェル投資家から総額1100万円の資金調達を実施しました。

着眼点はおもしろいと思います。

NFTは共通規格として相互運用性、インターオペラビリティを実現できるのが利点だと言われてきました。もうちょっとわかりやすく説明すると、ゲームの中のアイテムをNFT化するべき理由として「NFTだったらこのゲームが終了しても他のゲームに引き継げる」というイメージです。

しかし実際には、ゲーム内アイテムがNFT化されてもゲームごとにアイテムの性能や役割が決められていて互換性はありません。STEPNのシューズNFTをAxie Infinityに持っていって戦わせることはできません:-p

そこで今回のニュース「Seretan」では、逆に世の中に出回っているNFTすべてを使えるゲームを作ってみよう、という試みを始めました。


■New uses for all NFT、乱数を活かしたカジュアルゲーム

NFT使用用途のひとつとしてあげられるのがNFTゲームですが、既存のゲームでは基本的にプレイのために新しく専用NFTの購入が必要であったため、これはプレイヤーがもともと保持していたNFTに新たな使い道や価値を与えるようなものではありませんでした。 

今回私たちははこの課題に着目し、イーサリアムをはじめとした対象となる複数チェーン内全てのNFTが使用可能なゲームを開発、今まで使い道の少なかったアート・デザイン系を含む全てのNFTに新たなユースケースを提供することでNFT全体の価値を底上げします。 

このプレスリリースを読んで想起したのは、世の中にあるすべてのバーコードを読み込ませて戦う「バーコードバトラー」や、音楽CDを読み込ませてモンスターを生み出して戦わせる「モンスターファーム」です。

バーコードバトラーは1991年にエポック社から発売されたハードウェアゲーム機だ。当時すでに隆盛を極めていたファミコンをはじめとするテレビゲームをものともしない勢いで爆発的ヒットになった珍しいゲーム機で、そのコンセプトも斬新。同時期に普及し始めたコンビニにあやかった「コンビニウォーズ」という触れ込みで商品のバーコードを読み込んで戦闘力などに変換、対戦するというものだ。

たとえば、Mr.Childrenの『深海』からはアンコウ、DREAMS COME TRUEの『7月7日、晴れ』(映画のサントラ)からはアマノガワ。ゲームなら『バイオハザード』からはゾンビ、『ときめきメモリアル』からはセイラーなど、CDと関連深いモンスターが誕生する場合もあって、探す行為自体が宝探し気分で非常に楽しいものだった。

これらはそれぞれ結構流行りました。今でもこのゲーム性は非常に楽しいものだと思います。

「Seretan」も同じようなゲーム性だろうと思います。NFTのコントラクトアドレスなどを基にモンスターが召喚できて対戦出来たり、生み出したモンスター自体が基のNFTの絵柄にある程度影響を受けた見た目をしているとか、複数のNFTを掛け合わせると合成獣が作れるとか、そんな遊び方がイメージできます。

特に元のNFTがCC0であれば見た目をアレンジする二次創作まで許されますから、「元の絵柄を引き継いだ新たなモンスターの召喚」「2体の召喚獣をさらに合成して2つのNFTの見た目要素を持った魔獣」StableDiffusionなどのAIアートの技術を使って作画でき、それを二次創作NFTとしてMintできるという楽しみ方も現実的に作れそうです。


■NFT市場の狭さをどう乗り越えるか

「Seretan」の今回の資金調達額がいろんなプロジェクトのリリースと比べて小さめなのは、「NFTを使ったバーコードバトラー」というひとつのゲームタイトルが当たるかどうかに投資価値判断が収斂しているからだろうと思います。

ゲームを当てるのは大変なうえ、NFTが広まっていない現状でNFTを読み込ませるゲーム性を扱えるユーザーの人数も少なければ、上記のようにCC0で扱えるNFTの種類もそれほど多くありません。

CC0でなければ見た目を引き継げず、それはちょっと物足りない。

また、所有しているNFTだけを読み込ませられるとしたらユーザーにとっては相当お金がかかるゲームになってしまいます。

今まで使い道の少なかったアート・デザイン系を含む全てのNFTに新たなユースケースを提供することでNFT全体の価値を底上げします。  

NFTがより買われる状態を目指すという意味だとすれば、自分で所有しているものだけが使えるということにもなります。しかし何でも読み込み可能な方がゲームを遊べる人は増えますし、ゲームを通じて強い魔獣が呼び出せることが分かったNFTに人気が集まるというストーリーで初めてNFTを買う人を増やすというミッションの方がよさそうな気もします。

持っているNFT×商品バーコードの組み合わせで進化させるなど、もっと手に入りやすいものと組み合わせた方が流行りそうでもあります。

NFTを数多く買い集めてやっと遊べるゲームだと参加者が少なすぎます。NFTにもっと共通性とユーティリティーを、というコンセプトはよいと思いますが、NFTが流行っていないことが普及阻害要因にならないようにする工夫が必要だと見えます。

今回は勝手に妄想しているので予想が当たっているかどうかはわかりませんが、もし当たっているなら、NFTを楽しむためにもNFTを広めるためにも遊べる人のすそ野が広いゲーム性が大事。バーコードバトラーやモンスターファームはとても面白いゲームであることは間違いないですからね。

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