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『Twitter 「X」に変更はマーケターの頭痛の種になり、分散型SNSの普及を加速する(2)』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.7.30


■Twitter 「X」に変更はマーケターの頭痛の種になり、分散型SNSの普及を加速する(の続き)

昨日の記事の続きです。

・ユーザーもマーケターもTwitterを使い続けたい本音
・フォロワーを引き継げればいいのに
・分散型SNSとは?

についてお伝えしています。分散型SNSの構造を理解しておいた方が今日の内容が理解していただきやすいと思うので、ぜひ先に昨日の記事をお読みください。


ブーム→トレンド→バズる の変遷

企業のマーケティング担当者の主戦場は今やSNSですが、ひとつの媒体で誰しも皆が知っているレベルの流行を作ることができた大昔のテレビCMを羨ましく思うことがあります。

テレビ離れが進み、同じCMで大勢が共通の話題を持つことは幻想になりつつあります。

Twitter、Facebook、Instagram、TikTokなど、大勢の人が同じ場所にいることを、ユーザーも企業のマーケティング担当者も期待しますが、この発想はもしかすると旧来のテレビCMへの羨望と同じかもしれません。

ひとつのメディア、ひとつのCMで、大勢が同じ話題で語り合っている状況を「ブーム」と呼びました。

これがインターネット登場以降、人によって見ているWebメディアが違うというパーソナライズ化が進みました。それでも比較的共通の話題で話せる状況は「トレンド」というかたちで表されました。

GoogleやYahoo!の人気検索キーワードである「トレンドワード」、Twitterのトレンドハッシュタグなどがそれです。

その後、YouTube、Instagram、TikTokと新しいSNSが登場する中で、若者向けすぎてそのSNS自体を使わないというユーザーの偏りが生まれたり、YouTubeとTikTokが顕著ですがレコメンドロジックによって人によって表示されるコンテンツが全く違うという、話題の共通化がより生まれにくい状況が生まれました。

そんな中で共通の話題となるのが「バズる」という現象です。

・投稿者自身がバズらせることを狙うことが多い・投稿されたSNS以外のメディアで話題にされることで共通化される

が特徴です。


「バズる」は分散型ブーム

トレンドはブームを検索ログから可視化したものですが、ひとりの人が狙ってトレンドを生み出すことは、よほどのインフルエンサーでなければ無理です。

しかし「バズる」現象は多くの人が自分にもラッキーが巡ってきて当てられるかもと夢見ています。つまり、バズの源泉がテレビCMの広告主から大衆に分散しているとも言えます。

そして、大きく「バズる」時は投稿したSNSメディア内だけではなく他のSNSやニュースメディア、地上波テレビの情報番組などに後追い波及するかたちで伝播していきます。つまり、バズを媒介するメディアがさまざまに分散しているとも言えます。


テレビCM全盛期の中央集権的SNSの再来を夢見ていないか?

「バズる」時代においては、Twitterのようにひとつの巨大SNSが必要なわけではなく、分散型SNSの小さなインスタンスを伝播するかたちで広まっていくことでも何ら問題なく、むしろテレビCM全盛期のような同じメディアで大勢に同じ話題を伝えることを目指すのは発想が古いとも言えます。

Threads が大きくなるか、Twitterを超えられるかを考えてしまいがちですが、1社が運営する巨大なSNSメディアが今後誕生し、それをみんなが見ているような、中央集権的CMメディアの再来を待望するようなものです。


分散型SNSは時代と消費者のニーズに根差している

「昔はテレビのようなマスメディアしかトレンドの発信源がなかった」と「発生するトレンドがひとつにまとまっていた」の間には因果関係があると思います。

しかし、人々のニーズはもともと個々に分散しているもので、Web1.0→Web2.0とテクノロジーの進化に伴って分散したニーズを表現できるようになった結果、フォロワーネットワークやハッシュタグ単位でトレンドが分散したわけです。

そして今、Twitterの混乱を多くの人が目の当たりにした結果、ひとつの大きなSNSに全員が集まることの弊害が可視化されました。

この課題を解決するのがWeb3の分散型SNSです。

消費者のニーズに根差して分散したわけですから、情報の震源地の中心であるSNSは一層に分散化が進むと考えた方が自然です。


ニーズが時代をWeb3に導く

ほとんどのユーザーと広告主はおそらく、Twitter(正確にはX)に留まり、不確実性を我慢するか、それともTwitterを捨てて別の場所に行くかをすでに決めているだろう。なぜなら、マーケティング担当者が既存の戦略やアカウントのパフォーマンスに混乱が生じる可能性を、依然として懸念しているからだ。

Twitterを使い続けられるか、ThreadsがTwitterを超えるかどうかについて、企業のマーケティング担当者にとっては頭痛のタネになるとしているのがこの記事だったわけです。

確かにこれまで培ったフォロワーをそのまま維持できるならTwitterを使い続けられるに越したことはありません。しかし同時に、今後Twitterが崩壊した時のリスクヘッジのために、フォロワーを持ち出せる分散型SNSのインスタンスを育てる準備をしておくことも重要です。

多くのユーザーとマーケターがフォロワーとの関係を維持したいと思うことで、自然とSNSは分散化されていきます。SNS以外でも同じようなトラブルが起き、分散化発想での課題解決が提示され、それを実現できるブロックチェーン技術が組み合わさることで、時代はWeb3へと突入していくはずです。

Web3における分散化という言葉遣いは「非中央集権化」と呼ばれれることもありますが、ガバナンスが効かない無政府状態、アナーキズムだと言われることがあります。しかしアナーキズムが進んだ世界は住み心地がよくない。つまりニーズに根差さない解釈です。

いろんなものが分散していくのは消費者のニーズの表れです。より心地よく使いやすくなるために、Twitterの混乱のような不安定さを解決するために、分散していくわけです。

利益を独占したい、市場をコントロールしたい、というニーズも、運営者や経営者にはあります。しかし市場は消費者のものです。消費者のニーズを的確に捉えて売り上げを上げることが経営者の才覚ならば、独占欲を捨て、分散ニーズを理解し適切な打ち手を繰り出す価値観のアップデートが必要です。

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