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『AIによる生成ブームに合わせて判定器AIのニーズが高まる。広告クリエイティブも自動判定できる時代に』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.10.21

■プロ並みの画像を作ってくれる「画像⽣成AI」が次々に登場する理由--今後求められる「判定器」

判断基準が曖昧であるデザインやクリエイティブ評価の“定量化”が行われることと、一定の質を保っていると判定する「判定器」のようなツールが必要とされるようになるでしょう。

大量に生成したクリエイティブを「判定器」にかけ、フィルタリングを行い、一定の質以上と判断されたものを活用することができるようになれば、クリエイティブ制作に関わる人々はより生産的なことに時間を使えるようになります。

判定器、大事です。
AIでコンテンツが量産できるようになったのは良いのですが、量産スピードにチェックスピードが追い付きません。

上記の引用部分では「デザインの良し悪し」を定量化して判定することを想定しています。StableDiffusionに画像を生成させても、明らかに使えない的外れな画像になることがとても多いのが実情。

生成された画像から良いものだけを抽出してくれれば、最終決定する人間の作業を大幅に減らしてくれます。ここにもAIが活きてきそうです。


■バナーやLPの自動採点を行う「AIR Design」~ネット広告受託企業が淘汰される時代の流れ

マーケター向けにLP(ランディングページ)やバナー、動画などの広告クリエイティブデザインを提供するガラパゴスの「AIR Design」というサービスでは、マーケティングに効果のあるデザインを定量化し、制作したLPやバナーを約160項目で採点した上で顧客に提供しており、今後はその採点の自動化も行う予定です。

StableDiffusionで出力された画像の良し悪しを判定する場合、画像に求めている目的や基準が明確である必要があります。

広告デザインであれば広告としての効果、広告ターゲットの特性、過去データからクリックされやすいバナーデザインやLPのレイアウトの型など基準を明確にしやすいはずです。少なくとも芸術作品よりは判定しやすい。

「AIR Design」は制作された完成品を判定するものですが、裏返して高得点を得やすい基準がわかっているならAIが制作してしまうこともできるかもしれませんし、制作アシスタントツールのように指示やアドバイスをくれるようなアプローチもあり得そうです。

広告デザイン領域では、1020万人のデータを元にAIがパッケージデザインの評価を予測する「パッケージデザインAI」や、脳情報をもとにした NeuroAIを用いて「ヒトがコンテンツに対しどのような印象を抱くか」を予測しクリエイティブの制作や検証を支援する「D-Planner」といったサービスも出てきています。

上記の通り、広告のAI制作支援ツールも実際に登場してきています。

更に発展してLPをまるごと作ってくれるAIツールがあれば、最初のラフづくりの時間を大幅に短縮できます。

広告というデータが大量に取られてきた分野だからこそできることだろうと思います。量産型広告のクリエイターはAIに置き換わる未来が見えます。

ネット広告の制作とレポーティングを請け負うベンダーは非常にたくさんありますが、ガートナーの予想通り多くが淘汰されるでしょう。

広告の制作領域のコストがAIによって下がり、広告効果が出稿前からAI判定器によって精度高く予測できるようになれば、結果データの分析はほぼ不要になります。


■論文の自動生成と偽造判定

テクノロジーに精通した今どきの学生は、高度な言語ジェネレーター (Vice・Motherboard によると、おもにOpenAIの非常に高度なGPT-3)を使用して論文を書いているらしい。しかも、AIによって書かれた回答は盗用ソフトウェアによって検出できないため、学校側はこの行為を取り締まるのに苦労しているというのだ。不正行為を行う生徒の成績は、のきなみAだという。

AIによる制作とAIによる判定のイタチゴッコがもう始まっています。

AIツールを使いこなし、AI判定ツールでもバレない論文を書かせるセッティングができる学生は論文制作能力も元々高いんじゃないかという気はしますが(笑)、調査データに基づかない論文が大量生成された場合は査読と追検証が追い付かなくなりそうです。

「テキストは何かの文献からコピーされたものではなく、機械によって生成されたものであるため、盗作チェックソフトウェアは検出ができない。盗用チェックツールがどのように機能するか、また将来どのように開発されるかを知らなければ、AIテキストは今後も検出できないだろう」と、カナダのInnovative Learning & Technologyの上席研究員でRoyal Roads Universityの准教授でもあるGeorge Veletsianosは、Motherboardに語った。

引用盗用は発見しやすいですが、論文偽造についてはオリジナルに生成された文章では検出ができないのが現状。まったくの偽造論文について査読と追検証を行うのはしんどいですが、もともと査読制度はこういう不正を発見するために行われていたわけです。AIで偽造された論文が量産されるようになれば査読についてもAIで省力化するニーズが高まりそうです。


■ホワイトペーパーのAI生成もできそう?

逆に、敢えてAIに論文を偽造させて研究の着想を得るという使い方もあるかもしれません。虚構新聞のような、あり得ない面白ニュースを作るのもAIでできそうです。

web3プロジェクトではホワイトペーパーという企画書&仕様書のようなものを作るのが一般的ですが、ある程度テンプレート化されているようにも感じます。

企画概要を与えるとざっくり初期案を作ってくれるホワイトペーパー生成AIがあると便利そうですし、論文偽造と同じようにアイディアの着想を得るために敢えて偽造ホワイトペーパーを作らせるというのもアリかもしれません。ラグプル悪用厳禁ですが。

AIによる生成器と判定器の技術は表裏一体。過去のAIブームと違って目に見える実用性の高さがAIを実感しやすくしています。広告の制作と判定、ホワイトペーパーの自動生成など、AIをより実用度高くサービスに昇華させるケースがあと1年くらいで一気に出てきそうな予感がします。

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