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『「私が撮影した写真です」を証明するC2PA規格はAI時代に必要なソリューション』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.4.8

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■「私が撮影した写真です」って証明できる日が近づいてきた

これからのキーワードは「真正性」。

ソニーが「C2PA規格対応を含む真正性カメラソリューションを報道機関向けに提供」したと発表しました。…と言われてもよくわかりませんよね?

ざっくり言うと、誰が撮影した写真なのかをデジタル的に証明する手段を提供していきますよというもの。これからの時代、必要となっていくであろう仕組みです。

生成AIによる画像や動画がホンモノと見分けがつかないレベルになりつつある昨今、「AIではなく人間がカメラで撮影した写真であること」「誰がいつどこで撮影したかの来歴」を証明する必要性が生じてきました。

コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)」と標準化団体「Coalition for Content Provenance and Authenticity(C2PA)」が規格を制定し、キヤノン・ニコン・ソニー・ライカといったカメラ機器メーカー、写真や映像を報じるBBCやNHKなどのメディア、その他映像や写真にまつわる世界中の企業・団体がこの規格に準拠し、報道において根拠のある写真や映像を流せるようにする取り組みが進んでいます。


写真に来歴情報=NFTと電子透かしを入れる仕組み

C2PAに対応した撮影機器で撮られた写真や映像は、確かにカメラで撮影されたことを証明するためにブロックチェーンに刻まれます。つまりprovenance information=来歴情報はNFTです。

この来歴情報NFTの存在を写真や映像から確認できるようにするのがdigital signature、つまり電子透かしです。

電子透かしを検知し、ブロックチェーン上から該当する来歴情報を参照しやすくするメディア向けの仕組みまでをCAIは提供しています。


生成AI側もC2PAに対応

OpenAIは7日、画像生成AIモデル「DALL·E 3」で生成された画像にC2PAメタデータを追加すると発表した。出版社、企業、その他の団体がメディアコンテンツの起源や関連情報を検証するためにメタデータを埋め込むことを可能にするC2PA標準に基づいている。

「この写真はAIによって作られたものだ」という、人間が撮影していないこともC2PAの来歴NFTに記録することができます。

OpenAI社は2月7日にDALL:E3で生成された画像のC2PA対応を発表しました。これにより報道機関は誤ってAI生成されたフェイク動画を流すことを避けやすくなります。

もちろんすべての画像や動画がC2PAに対応しているわけではないため、来歴NFTが付いたものしか報道しないという運用はできませんが、普及するにつれ効果を発揮していきます。


スマホやブラウザにも広がるか

今はプロの報道機関向けで、対応機器も100万円を超える高額なものからとなりますが、SNSで個人が流すスマホの写真や映像のほうが身近で、だまされる人が多くなりやすいものです。

個人が撮影したものの場合はプライバシーへの配慮などプロ向けとは異なる運用が必要になりますが、たとえば災害が起きた場所「ではない」、事件が起きた日時「ではない」ということを証明するような使い方は可能かもしれません。

また、SNSを表示するアプリやブラウザ側がC2PAに対応することで、表示されている写真や画像がAI製なのかどうか、事件と無関係な場所なのかどうかなどを確認でき、警告を発する機能が搭載されるようになることも求められます。

現在のブロックチェーン技術ではコンシューマーがスマホで撮影したすべての写真の来歴情報を記録する容量もスピードもなく、ガス代を負担する仕組みもありませんので、スマホ対応するには時間がかかると思います。

しかしC2PAが高速大容量を実現しやすいセンターサーバ方式を採らずブロックチェーンを採用したことには、AppleとGoogleの覇権争いとは一線を画した、オープンで共通化された来歴証明を実現するのだというポリシーを感じます。

AI普及のためにも、C2PAのような真贋判定の仕組み化と、スマホやSNSも含めた幅広い応用がより強く求められるようになるでしょう。

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