『「生成AIに仕事が奪われる」と焦ってから1年……あなたの仕事はどうですか?デジタルラッダイト運動よりAI活用』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.12.5
■「生成AIに仕事が奪われる」と焦ってから1年……あなたの仕事はどうですか?
ChatGPTが登場してちょうど1年が経ちました。
画像生成AIは半年くらい早く登場していましたが、やはりインパクトが大きかったのはChatGPTのほうですね。
生成AIに仕事が奪われる、仕事がなくなる、と心配され続けていますが、たった1年では仕事がなくなるほどの変化は起きませんでした。むしろ、生成AIを使った新しいビジネスがたくさん生まれたり、既存の業務がAIで効率化できたり、多くの人にとって好ましい変化だけが起きたようにも思えます。
それでもAI製クリエイティブは増えてきた
それでも、伊藤園をはじめとしたAIがデザインしたパッケージデザインやCM映像、上記のようなパルコのCM動画などAI製のクリエイティブは増えてきました。
これらのケースだと、人間のデザイナーや映像クリエイターの仕事が、この案件においてはAIに奪われたわけです。
産業全体がAIに置き換わり人間が要らなくなるような変化は1年では起きませんが、
1.少数の案件単位でAI製の事例が登場し、
2.案件数が増え、
3.AI専業のクリエイティブ会社が勃興し、
4.クオリティが上がり、価格は下がり、
5.最終的には「それは人間の仕事ではない」と多くの人が思うようになる
という変化が数年かけて進んでいくはずです。
イギリス産業革命で起きたこと
AIの登場で人間の仕事が奪われるという事象は、歴史上は何度も繰り返してきた産業革命のひとつだと考えられます。
歴史上有名なイギリスの産業革命は、1764年にハーグリーヴズがジェニー紡績機を発明したころから始まり、1830年代に蒸気機関車の鉄道が各地に開通したころまでとされています。
ジェニー紡績機の発明から24年後の1788年には、ストッキングフレーム等保護法という、機械化で仕事を奪われた人が機械を破壊するデモを禁じる法律が作られています。このころには機械化で人間の仕事が奪われる事象が顕在化していた表れです。
その後、より大規模で長期間の機械打ちこわし運動、通称ラッダイト運動が1811年から1817年頃にかけて発生しています。ジェニー紡績機の発明から45年もあとのことです。
AIの産業浸透のステップになぞらえる
紡績産業の機械化を先述のAIの産業浸透のステップになぞらえると
1.少数の案件単位で機械製の衣類が登場し、
2.案件数が増え、
3.機械生産専業の紡績工場会社が勃興し、
4.クオリティが上がり、価格は下がり、
5.最終的には「それは人間の仕事ではない」と多くの人が思うようになる
ということが、イギリス産業革命では20年~40年もかけて起きていたということです。
今は変化のスピードがずっと速く、転職も昔よりやりやすく、リスキリングという転職時などのスキル転換もやりやすくなってきたため、イギリス産業革命とは違い、10年もかからずに産業構造や労働環境の変化は起きるだろうと思います。
1年では確かにAIに仕事が奪われるということは起きていませんが、産業構造がAIによって大きく変化し、最終的には「それは人間の仕事ではない」と多くの人が思うようになる、という流れは必ず起きます。
完全に置き換わるまでには結構かかる
洋服は手織り布と手縫いで作るものだとは、今は誰も考えません。
元記事のライター業も、おおもとは紙に手書きで原稿を書いていましたが、手書きの原稿で入稿して作る出版物は、文章に関してはほぼなくなりました。マンガは未だにありますが。
これらの例のように完全に機械化・AIに置き換わってしまう産業や仕事は、紡績業ほどは多くない可能性はあると思っています。また、仮に完全にAI化され自動化されるとしても、イギリス産業革命と同じく20年単位の時間は必要じゃないかと予想しています。
それでも、機械化・AI化される産業は長期的には人間が手作業することがコスト的に見合わなくなるなど、ラッダイト運動的な抗議をしたくなるほど追い詰められ衰退する可能性はあります。SNS上でAIの普及に反対するデジタルラッダイト運動もきっと起きるでしょう。
デジタルラッダイト運動よりもAI活用側に立つ
普及しきる時期が短いか早いかはともかく、紡績の機械化と同じようにいつかはAIに置き換わると考えれば、デジタルラッダイト運動に勤しむよりも、AIを前提とした産業構造への転換を積極的に進める側に立った方が上手に時代の波に乗れるはず。
来年の今頃は何が起きているんでしょうね。確かにワクワクします。AIの進化はあまりにも早いので想像もつきません。しかし歴史上の流れからAIによる産業革命は想像できます。少なくとも今よりずっと普及しているし、実用的なソリューションもたくさん出ているはずです。この流れは止まりません。
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